渋谷駅を出てすぐのところにあるハイエンド機材レンタル、CAPSULE(カプセル)。2023年夏にウェビナーに登壇していたいだたいた小池“wong”光章さんが今、番面白そうな機材レンタルだと話していたこともあって気になっていたが、ここで業務委託で働いている株式会社PEACEKIDSの池田和子さんにご紹介していただいて、取材させていただくことになった。(撮影・文/編集部 一柳)

 

お話を伺ったのは、CAPSULEの代表でディレクターのJames Latimer(ジェイムス・ラティマ)さんと統括部長の舟山美千代さん。CAPSULEは以前は広尾にあったが、そのときは舟山さんはARRIに所属していてCAPSULEでARRIのシネマカメラが非常によく動いていることで注目していたという。そんなCAPSULEが広尾から渋谷に移転したのは、これまでのユーザーだけでなく、30代を中心とした日本の新しい若い世代にCAPSULEを知ってもらい、利用してほしいという意図があるとCEOのジェイムスさんは言う。

 

Stephen Goldblatt氏のワークショップを開催

今回、初の試みとして、1980年代から活躍し、リーサル・ウェポンシリーズやバットマンシリーズを手がけてきたベテランのDP、Stephen Goldblatt(スティーブン・ゴールドブラッド)氏を招いてワークショップを開催。ジェイムスさんは「今回Stephen Goldblatt氏を招いて第一回目のワークショップを開催できることを大変嬉しく思います。今後も日本と海外をつなぐ役割を果たしていきたい」と冒頭に語った。

ワークショップの冒頭に挨拶をするジェイムスさん。

ワークショップはStephen氏のプロフィール、作品事例を紹介する映像後に登壇し、質疑応答形式でモデレーターの米倉リエナさんが日本語通訳を務めて行われ、立ち見が出るほどの盛況だった。このワークショップには前述の小池氏も参加。

「今なお世界の第一線で活躍する彼のワークショップに参加させていただき、Director of Photographyとしての心構えと立ち振る舞いを再確認させていただきました。そしてストーリーを芸術的に伝える責務をもって事前準備を怠らず、リーダーシップを発揮し、アクシデントや事故さえも乗り越えることができるクルーに成長していくことで、素晴らしい映像を撮れるようになる!という内容には説得力がありました。ローバジェットの撮影であっても、ストーリーを伝えるために、予算が見合わなくてもロケハンからプリプロダクションに参加することが大事で、バジェットはロケハンから生まれるという言葉が印象に残りました。若い後継者に対しても、この仕事は大変だけど、技術をあげて素晴らしい映像を撮れるようになってほしいと激励する姿が印象的でした」と感想を寄せてくれた。

Stephen Goldblatt氏(ワークショップの写真は池田さん撮影)

 

希少なヴィンテージレンズを見せてもらう

CAPSULEのレンタル器材についてはぜひサイトを見てほしいが、まずカメラは、ARRIとREDが中心でハイエンドのシネマカメラが揃っている。ALEXA 35やALEXA MINI LF、ALEXA MINI、RED V-RAPTOR、KOMODO-X STなど。ソニーはVENICE 2だけでなく、ミュージックビデオなどではFX6はないのかという声が多かったので導入したそうだ。

CAPSULEで特徴的なのはヴィンテージレンズを揃えていること。ラインナップはこちらを見てほしいが、日本にはここにしかなというものも数多い。Cooke Speed Panchroのリハウスレンズセットや、Minolta Rokko(ミノルタロッコール)で12本を揃えているというのも貴重。 

Minolta Rokkor(ミノルタロッコール)をリハウスしたセット。ミノルタの一眼レフ用のレンズは、かつてシネマ用にリハウジングされていた。35mm一眼レフ用なのでフルフレームもカバー。17mmから200mmまでがリハウスされて、シャープでありながらヴィンテージ感もあるということで現代の撮影にも利用されている。

当時のミノルタのロゴも再現されて刻印されている。

日本の一眼レフ全盛時代のキヤノンFDレンズをベースにリハウスしたセット。K35とも近いということで人気がある。

現場でレンズケースを開けてテンションが上がるデザイン。


LOMO Super Speed Primesは1980年代のロシアの映画用レンズ。これも希少なレンズ。


LOMO Super Speed Primes リハウス レンズ 6本セット。

さらに特徴的なレンズも用意されている。




Zero Optik社がステディカム&ジンバルに対応しやすいようにリハウスしたCanon Rangefinder 50mm  F0.95。


機材庫スペースの片隅でレンズの調整をするスタッフ。

 

ミュージックビデオ撮影などに使えるセット CAPSULE STUDIO

CAPSULEが他のレンタル機材ショップと違うところは、撮影スタジオとしても利用できる空間とインテリアだ。まずCEOのジェイムスさんがふだん業務をしているブースそのものが、まるで映画のセットのようにデザインされている。映画の空間デザイナーに依頼して作ってもらったもの。

モニターは宇宙船の中から外を見ているようなデザイン。

宇宙船の中をイメージしたレトロフューチャーデザインのグッズが集められていた。

ブラウン管のテレビが集められ、ノスタルジックな雰囲気のアイテムに囲まれたスペース。

SHOWA DINER(昭和ダイナー)と名付けれたスペース。

「THE WORKSHOP」というコーナーは、右側の机は実際に業務で使われているようだ。ソニーのHDのレコーダーHDD-1000など映像機器の歴史的な遺産やオシロスコープ、エンジニアリングパーツが並んでいる。

映画の美術スタッフがコンセプトに基づいて作ったこれらの空間は撮影スペースとしてレンタルすることができるという。その場にいて見ているだけで楽しくなってくる。

もちろん、カメラを準備するレーンも充分のスペースが用意されている。

ジェイムスさんは、今の日本映像制作業界のバジェットが下がってきてしまい、元気がなくなってきているのをなんとかしたいという。そして日本の若い人が夢が持てる業界にしたい。ここにいるとハイエンドのシネマカメラも使えて、ルックにこだわったヴィンテージレンズを使えて、さらに美術セットにも凝った撮影ができるような夢のある仕事を目指したくなる。CAPSULEでは、映像制作者のネットワークのハブとして、また制作サポートを受けるためのハブとなることを考えているという。

CAPSULE https://jp.capsule.rentals/