EVA1とEFレンズの組み合わせは、ウェディングで女性の肌を美しく撮るのに向いている 


パナソニックEVA1とキヤノンEFレンズの組み合わせはウェディングで女性のしく撮るのに向いている

Report◎酒井 洋一(HIGHLAND)  ビデオサロン2018年2月号EVA1レポートを再構成しています。
名機の血統

パナソニックから EVA1 の発表があった時、久しぶりに高揚感を覚えた。それは私自身、ハリウッドで映像を学んでいた時、常に傍に置いていたカメラこそ、同じく Panasonic の DVX100A だったからだ。24p での撮影をいち早く学生、インディーズの現場へ落とし込んでくれたそのカメラは、まさに今だに語り継がれる名機であった。10年以上前の話になるが、当時アメリカの学生の間で DVX を持っていると、今でいう RED を持っているのと同じくらいヒーロー的扱いを受けるほど、所有している喜びや楽しさを感じさせてくれるカメラだった。

そして時は流れ現在、多くの支持を受ける上位機種 Varicam の DNA を感じられるカメラとして新に登場する EVA1 に、非常に興味と期待を持って見ていた。読者の皆さんそれぞれが放送系、ドキュメンタリーなどこのカメラを使用するシーンが異なるため、重要視する機能やインプレッションもそれぞれだと思う。今回は、私が EVA1 を手にし、使用を想定する用途としてウェディングムービー、企業のプロモーションムービーなどの撮影機会が多いことを前提として話を読み進めて頂きたい。

スモールプロダクション

世界で発表された EVA1 のプロモーション映像のメイキングを見て感じたことがある。それは多くの周辺機器やシネレンズ、大型のドローンなど、最新の機材を交えての比較的大掛かりな撮影だったことだ。しかし、私はこのカメラのターゲットとしてワンマンでもオペレーションできるほどのスモールプロダクションにこそ、需要があるのではと考えていた。まずカメラ本体のみで1.2kgほどという、持った時の圧倒的な軽さは正義だ。見た目は重厚感のある感じだが、持った瞬間にふわっという、想像している重量をはるかに下回る感動がある。あまりに大きいレンズをつけると前が重くなりバランスも心配されるが、プレートが前後に移動できるような通常の三脚を使えば問題ないだろう。また、特徴、機能としての AF や感度が上がった時のノイズにめっぽう強いとは言えないが、暗所や夜景撮影時に、色のしっかりとした乗り方には他のカメラと比べリードしていると感じた。私自身、最近、感度を上げられることを武器にしている他社製のカメラを使ってみたこともあるが、色が乗ってこないのと、何より女性の肌色の再現がうまくいかず、そのカメラを置いてしまった経験がある。AF の正確性や速度などもトップとは言えないが、多少腰を据えて撮影出来る「シネマカメラ」としての使い方をするのであればメインではMF使用、AFは補助的使用ということで問題にはならないだろう。また、搭載している3.5インチのモニターは心もとない気もするが、必要最低限の機能を満たしてくれている。それよりもハイエンドな撮影をする場合、見やすくするため7インチ以上のモニタや、今後ファームウェアのアップデートで期待される5.7KのRAW収録を活かすため、外部レコーダーを利用すれば良いだろう。今回は1日のみの使用だったため、使っていく中でいろいろ気がつく点もあるかと思うが、ここは手の中に収まる軽量コンパクトでバランスの良いシネマカメラの登場を素直に歓迎したい。

最小限での活用

今回はショートフィルムの撮影に EVA1 を用い、実際の現場でのレポートをシェアしていきたい。

撮影協力:HOSHINO VESPOKE SHOES
モデル:武石 愛未
ヘアメイク:田中 智子(maison de blanche)
制作/写真:宝 隼也(HIGHLAND
カラリスト:大田 徹也(digital egg)
撮影/監督:酒井 洋一(HIGHLAND
撮影機材:[カメラ]Panasonic EVA1 [レンズ]Canon 50mm f1.2L / 24-105mm f4L [三脚]Manfrotto MVK502AM-1[スライダー]MVS060A [マイク]SHURE VP83F

 

撮影当日、光の状況は曇り。光がフラットな状況で撮影できたことは作品の内容、ムード的にもとても良かった。女性が奥から歩いてくるシーンはカメラを三脚に乗せているが、使ったのはここと店内の引き2カットのみで、後はすべて手持ちで撮影している。ストーリー的に女性の「イガイガ」している不安定な心情を表すために色味を多少ブルー、シアン系に振っているのと、手持ち撮影で微妙な心の揺れも同時に表現している。この時、EIS を ON にして揺れを多少救ってもらっていて、ON にした時に生じる15パーセントのクロップも、ぐっと演者の心情に近づいている感じが出て良かったと思う。

私自身、ウェディングの現場を中心に女性を撮ることが多いので、カメラ、レンズによる肌の表現、色味に関しては普段より気を使っているつもりだが、 EVA1と Canon の50mmLレンズによるスキントーンの表現、綺麗さは目を見張るものがあった。

雑居ビルの階段を上がっていくシーンでは窓から入る自然光と、建物に備え付けの蛍光灯がミックスするような場面もあったが、うまく表現してくれている。色味の方向性として「この階段の先に何があるか」という、期待と不思議さのような比較的フラットな感情を表したく、寒色でも暖色でもなくニュートラルめな色味を目指した。

階段前の場所では、さすがに暗すぎと感じたのと、壁と女性の分離を図りたく、コンパクトなLEDを影から弱めに打っている。階段を上り始めると、LEDなしの場合でも思いの外、自然光が回ってしまい、想定していた演出よりも全体的に明るくなってしまったので、後から少しコントラストをつけた際にもV-Log収録のメリットを感じた。

女性がアトリエの前に到着した際も、若干手前のタングステン光と奥の窓からの自然光がミックスになっているが、こちらもうまく表現できている。このシーンは特にこちらでライトなどは足さず、室内の地明かりだけで撮影している。

中に入るといくつか裸電球やフロアランプが元からあったので、同じくこちらの照明は使わずに、それらを存分に活用させて頂いた。アトリエというコンパクトな空間の中、引きじりを多少心配していたが、手持ちの24-105mmの最広角で三脚に乗せて引きを撮影、結果としてさほどワイドになりすぎず臨場感が出て良かったと思う。

この画を撮るときに植物の葉っぱの色味を綺麗に出すため、アトリエにあったフロアランプを葉っぱの逆めから点灯。同時にモデルさんに対しても、若干逆めのライトとなると考えた。加えて、後のコーヒーを飲むシーンなどでは肌やカップのツヤ用にも効いてくる。最初はできればライトを画面からアウトさせたいと思ったが、あまり距離を離すと電球のワット数が足りず、被写体への影響が薄れたため、見せライトとして最終的に画面に残した。今回は使わなかったのだが、このような実際の部屋やライトで撮影する場合には、予備電球や調光器を持っていくと便利だと思う。

職人さんの作業風景撮影も手持ちと単焦点50mmで攻めている。作業する場所は、その職人さんが手を伸ばせば何でも道具が取れるように棚で囲まれていた。決して三脚と大きなシネマカメラが入っていけるようなスペースはなかったので、EVA1 のコンパクトさに助けられた。画としては、肩や棚を舐めながら立体感が出せるように心がけた。仕事のシーンは、Panasonic が得意とするしっとりと湿度を感じられるトーンを再現できていて、大変素晴らしいと感じた。靴職人さんの仕事ぶり、そこにある道具や材料は肉眼でも心を奪われるほど美しかったのだが、EVA1 がさらに上質な「本物」として表現することを手伝ってくれたことに感謝したい。

ラストシーンはまた外に出て、歩き出すというところ。カメラをスライダーに乗せてじんわり動かしている。重ねてになるが、カメラが軽いとセッティングチェンジが全く億劫ではない。以外とこれはクリエイティビティに大きく影響してくるであろう。重いカメラと重い三脚は、過去の経験上、すごく説得力、重厚感のある画が撮れる。加えて、カットを厳選する力が養われる良い面もあるが、扱いが一人では難しく、機動力が減るためカット数が極端に減る。一眼レフと大きいシネマカメラの丁度中間に位置する EVA1 のサイズ感が改めて好印象だ。決して、主張が大きいわけではないのだが、撮影者の想いやクリエイティビティにすっとついて来てくれるカメラという感じを受けた。

ウェディングでの使用を考察

ウェディングでは三脚を現場に持っていかない私にとって、現場で使えるかどうかは、取り回しのトータルバランスが良い一脚に乗せることができるかどうかにかかっている。結論から言うと、この EVA1 は可能だ。また、今回の撮影を通して手持ちが多かったが、意図的に揺らしたい場面以外に「嫌な揺れ」は感じなかった。過去にギリギリ RED なども乗せて撮影したこともあるが、他社製のシネマカメラに関しても重量やサイズの点で厳しい物が多い。その中にあって今回の EVA1 はシネマカメラであることを忘れさせてくれるほどの快適さを実現している。

また、ウェディングの現場で EVA1を使いたい大きなアドバンテージとしてデュアルネイティブISOの恩恵を是非とも受けたいところだ。晴れの日のロケーション撮影など、感度を100に設定する場面は訪れるが、ほんの数十分。全体の時間から考えるとほんの数パーセントだろう。1日のほとんどはメイクルームやチャペル、披露宴会場などの室内で多くの時間を過ごすこととなる。つまるところ、メイクルームはちょうどISO800くらいに設定するシーンが多いし、ISO3200というような感度にすぐ上がってしまうチャペルやパーティー会場の暗い環境下において、ノイズ低減の点からして、標準感度が2500に設定できることは素晴らしい。

ウェディング撮影において、故意にわざとらしい演出をすることは個人的に好きではないし、カップルもそれを望んでいると常に感じている。しかし、完全なる記録、ドキュメンタリーではなく、撮影者のさりげない演出や準備ができる瞬間もゼロではなく、必ず訪れる。そんな時に様々な選択肢を与えてくれる EVA1 という軽量シネマカメラが傍にあることは、今後の流れとしては歓迎されるべきだと思う。現在、一眼を使っていて、次のステージへステップアップしたい方や他社のカメラを使っていて異なるアプローチ、異なるトーンを得たいと考えている方には、選択肢に必ず入ってくるカメラの一つと考えてよいと思う。

最後

このカメラに触れる機会を頂き、一番に思ったことは「めっぽう綺麗に撮れる」ということ。それと同時にあまりにクリーンなイメージを吐き出してくれるので、撮影者の力量を問われるカメラだとも感じた。現場での照明の状況や、シーンの小道具や背景、役者さんの表情、表現など。V-Log でダイナミックレンジを閉じ込めるのも、暗部からハイライトまで、どこのスイートスポットを使うかということも大切だ。はたまた、現場やポストプロダクションで汚しをかけるまではいかないが、トーンを作っていくという作業が肝になってくるであろう。しかし、撮影後その先に作者の無限のクリエイティビティが開放されている感じこそ、 EVA1 が「シネマカメラ」という肩書きをまとっている所以だと思う。