富士フイルムから11月28日に発売されたコンパクトながら最大6.2K/30pの動画が撮影できる本格仕様のエントリーカメラX-M5。日頃の仕事で、写真も動画も撮影するビデオグラファーのCrazydoさんに街に持ち出し、スナップ感覚でカメラをテストしてもらった。

レポート◎Crazydo

株式会社COLORS代表取締役。ダンサー、ダンスインストラクター兼YouTuber、ビデオグラファー、フォトグラファー。 カメラはZ8、Z6Ⅲ、α7RⅢとZ6Ⅲ使用中。奄美大島出身。XYouTubeチャンネル

CrazydoさんのYouTubeチャンネル。こちらは私のYouTubeチャンネルで動画をアップしているので確認していただけると嬉しいです。

X-M5は2013年に発売したX-M1の後継機となるエントリーモデルです。発表された時には「ついにFUJIFILMのVlog用カメラが発表になったんだな」という印象でしたが、実際にお借りして使ってみると、写真も楽しく撮影できて出てくる画も素晴らしくFUJIFILMが単純にVlog用カメラとして売り出さなかった理由がここにあるのかなと感じました。

そうは言っても私が思うこのカメラの1番の特徴はフィルムシミュレーション、FUJIFILMのカラーで気軽に動画が撮れるという点だと思うので、まずは動画性能について感じたことをお伝えします。


355gの小型・軽量サイズで6.2K/30p撮影が可能

FUJIFILMのカメラでいえば、X-S20が気軽に動画撮影ができる機種で、491g(バッテリー、メモリーカード含む)という軽量設計ですが、X-M5はさらに100g以上軽い355gで、サイズも小さく持ち運びがしやすくなっているのにかかわらず、X-S20と同等の6.2K/30p 4:2:2 10bit、4K/60p(1.18倍クロップあり)での撮影が可能となっていることに驚きました。

手のひらにすっぽり収まるほどのサイズ感

Vlogモードと使いやすいUI

Vlogモードでより気軽に動画を撮ることが可能になり、設定の変更もモニターに表示された項目にタッチをして変更ができるのでいちいちメニューを開いて操作をする手間も省け、とにかく使いやすいUIになっているのが好印象でした。

左側がモード選択ダイヤル(Vlogモードも搭載)、右側がフィルムシミュレーションの選択ダイヤル


9:16の縦位置動画モードも搭載

ますます需要の高まっている縦動画の撮影に対応して、9:16のショート動画モードの搭載。タイマーで15秒、30秒、60秒と撮影ができ、新たに低ビットレート(8Mbps、25Mbps)を選択することでSNSへのシェアが格段にしやすくなっています。内部マイクもかなり進化しており指向性(全方位・フロント・バック・フロント&バック)が選べたり定常ノイズ低減とVlog、SNSに特化した造りになっています。

バリアングルモニターに干渉しない端子配置

Vlog撮影に必須のバリアングルモニター周りはケーブル類が干渉しないようにマイク端子がカメラ後部についていたり、USB端子、HDMI端子がグリップ側についているなどこだわりを感じました。

マイク端子は背面側に。
液晶はバリアングル
microHDMIやUSB-C、イヤホンジャックなどの端子類は液晶と干渉しない配置に

Log撮影や外部RAW記録に対応し、冷却ファンも装着できる

そして、より本格的に動画撮影をしたくなったら、F-Log、F-Log 2、外部モニターレコーダーを使ってProRes RAWやBRAWの収録ができる、長回しが可能になる冷却ファン FAN-001が使用できるなど、このコンパクトさからは信じられないくらい動画用途に適した高性能なカメラになっています。

手ブレ補正は電子式

個人的に動画性能についての懸念点はカメラに光学式の手ブレ補正がついていない点でした。電子手ブレ補正はついているのですが昔のFUJIFILMのカメラ(X-T4やX-E4)は電子手ブレ補正を使うと歪みがでて正直使いづらかったので心配していたのですがX-M5の電子手ブレ補正は歪みがかなり抑えられていてVlogで充分使えるなと感じました。

写真性能と撮影が楽しくなるフィルムシミュレーション

ここからはX-M5の写真性能についてのレビューとなります。小型のボディにメカシャッターと裏面照射型イメージセンサー「X-TransCMOS 4」最新のエンジン「X ‒Processor5」を搭載していて写真もX-S20と同等の撮影が可能になっています。写真撮影をして1番に感じたことはシャッターフィーリングが良いこと、これはメカシャッターの恩恵が大きいと感じました。

シャッターを切るたびにテンションが上がり、撮影した写真がフィルムシミュレーションの素敵な色で出てきて感動する、これはFUJIFILMのカメラすべての特徴だと思いますが、X-M5には軍艦部にフィルムシミュレーションダイヤルが搭載され今どのフィルムシミュレーションなのかを視認でき簡単に変更出来るのでより便利に楽しく撮影ができました。

X-M5には最新のREALA ACEを含む全20種類のフィルムシミュレーションが入っていますが、さらにグレインエフェクト、カラークロームエフェクト、トーンカーブの設定で自分の好みに細かく調整ができるので初心者の方からこだわりをもって撮影をされる方まで楽しめるカメラになっています。

EVFは非搭載

ただX-M5にはEVF(電子ビューファインダー)がついていないので注意が必要です。私は普段はファインダーがあるカメラを使っているのでX-M5を使い初めてすぐはカメラに顔を近づけてEVFを覗こうとしてしまいましたが2、3日使ってようやく慣れました。ファインダーなしの撮影に慣れるか慣れないかは個人差があると思うのですが、普段スマートフォンで撮影をしている方は全く違和感なく撮影できると思います。X-M5は写真も動画も気軽にしっかり撮れて可愛くて格好良くて毎日持ち出したくなる最高のエントリーモデルカメラだと感じました。




◎X-M5の製品情報
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-m5/