親指サイズで超小型・軽量ながら4K/30p、1080/200pのハイフレームレート撮影に対応するアクションカメラInsta360 GO 3S。日頃はドローン映像クリエイターとして世界各地・日本全国を飛び回るRonさんにセブ島へのロケに持ち出してもらい、その使用感をレポートしてもらった。
レポート●Ron
東京都を拠点に全国で活動する。ドローン映像クリエイター、映像ディレクター。ドローンで撮影した作品が国内外でタイトルを受賞、近年はドローン撮影だけでなくディレクターとして企画や構成の立案に携わり、チームで1つの映像作品を生み出す事も多い。ドローンの撮影では躍動感のある映像から繊細な映像まで幅広く手掛ける事ができ、誰も見たことのない世界の一瞬を捉える。マレーシアのNitiin国際映画祭 国際ショートフィルム部門最優秀賞のドローン撮影や、東京都「伝わる広報大賞」クリエイティブ賞のドローン撮影などがある。現在では全国に活動の幅を広げながら、海外にも踏み込んでいる。Instagram
はじめに
Insta360 GO 3Sは6月に発売されたGOシリーズの最新機種で世界最小級アクションカメラである。GOシリーズはカメラ本体をアクションポッドから取り外すことができる点が特徴的だ。
首にネックレス式の専用磁気ペンダントをかけてカメラをセットするだけで胸元でのハンズフリー撮影ができ、簡単に超広角POV撮影が可能となる。今ではSNSでの縦動画の需要も高くなっていると思うが、GO3Sは横から縦に向きを変えるだけでわずか数秒で横動画から縦動画に切り替えることができる。とにかくストレスなくスムーズに使用者のニーズを意識したカメラである。
新開発のメガ広角FOVは、歪みが少なく、綺麗なエッジでシャープな写真や映像をよりリアルに近いような形で映し出すので、今回の撮影ではかなりの場面でこの機能を活用した。あらゆる旅のお供としても活躍すると確信している。カメラ本体だけでの撮影だけでなく、ポッドの背面モニターがフリップ式スクリーンとなっているので、自撮りをする際も画角を確認しながら撮影を行うことができる。
従来のカメラはSDカードなどに記録をする場合が多いが、GOシリーズは内蔵メモリ(64/128GB)なので、SDカードが不要となる。プレビューしたい場合はカメラをポッドに接続した状態であればすぐに確認することも可能だ。また、なんと言っても親指サイズのコンパクトさと39gというかなりの軽量なのにも関わらず、4K動画が撮影できることが嬉しい。今までのGOシリーズと比較してもよりシャープで鮮明な撮影を楽しむことができる。
私の場合は様々なカメラをFPVドローンに搭載して日本や海外で撮影することも多く、その時に重要視しているのが、
①画質
②持ち運びの手軽さ
③撮影スタートの早さ
となるが、いずれも兼ね備えているアクションカメラと言える。
Insta360 GOシリーズは、手軽さと高性能を併せ持っているカメラでありつつ、新しい撮影体験を欲している人にとって待望とも言えるカメラだと思う。今回は、そんなGO3Sの機能・性能に加え、旅先での実際の使用感などを紹介していきたい。
動画作例
今回のレビューではその撮影能力と持ち運び安さ、POV撮影の楽しみ方をリアルに体感したく、フィリピンのセブ島をロケ地として選定し撮影を行なった。FPVドローンと共にGO 3Sを用いて撮影した映像を紹介したい。私は普段から旅先にカメラを持っていき撮影することがほとんどない。というのも荷物になってしまうのと持ち運びの不便さを感じてしまうからだ。
今回のGO 3Sは4K映像がここまでコンパクトなサイズでかつ直感的に素早く撮れてしまうのはかなり好印象だった。手軽に持ち運べて気兼ねなくストレスなく撮影できる。それがGO 3Sであり、このカメラの魅力のひとつであることは言うまでもない。
ファーストインプレッション
ここではGO 3Sの外観や使い勝手、機能のそれぞれの面から私なり感想を書きたいと思う。使用して感じたのは、GO 3Sはもはや旅先での気軽な撮影やアクションカメラとしての用途だけではなく、あらゆる場面で重宝される可能性のあるカメラの印象を受けた。
外観
GO 3Sを手に取った時にまず感じた印象は「コンパクト&ノンストレス」。私は撮影に行く時にFPVドローンの機材が多く、重たくて大きいキャリーケースを持ち運びしているので、旅先でのふとした時にカメラを取り出して撮影することに、どうしても腰が重くなってしまうことも度々ある。だが、GO 3Sはカメラとポッドを含めてもコンパクトな上に、さらにカメラを取り外すことができるので手持ちのみならず様々なところに取り付けることでハンズフリーの状態でよりストレスなく直感的に撮影を行うことができる。
これほど高画質で撮影できる気軽なカメラをどこかで求めていたのかもしれない。
FPVドローンに取り付けた際のブレ補正の精度は?
今回の撮影では手ブレ補正機能のFlowstateがかなり優秀な印象を受けた。FPVドローンでの高速飛行かつ過酷な環境でも安定した映像が得られる。手ブレ、揺れ、回転を除去し、空撮や歩きながらのVlog撮影にも素晴らしい機能を発揮してくれた。
ただ、まだ慣れていないので、空撮の際に若干の歪みが発生してしまう場面もあったが、設定を細かく追い込むことで改善できそうな印象だった。
バッテリー
実はバッテリーに関しては使用する前は少し不安だった。ただ使ってみると最終的にはバッテリー残量を気にすることなく1日使い回せていた。よくぞ親指サイズのこのカメラにこれだけの能力を組み込めたモノだと感心する。そして、このことからGO 3Sはかなりのスタミナがある機種であると言える。
防水性能
今回セブ島での撮影を選んだ理由はふたつある。空撮の観点での絶景ポイントが多い点とメインコンテンツとしてジンベエザメと泳げるというインパクトのある海中撮影ができる点だ。
上記動画作品をご覧頂けたら分かるようにカメラ本体だけで海の中に入ることができ、そのまま水深10mまでの海中撮影が可能だ。正直ケースなどに入れなくて本当に大丈夫かなと思うところもあったが、すぐにそんな不安は払拭されるぐらい素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれた。水中での完璧なパートナーと言える。
Apple Find My
そして、FPVドローンのパイロットとしてあって嬉しい機能がこのApple Find My だ。これはGO 3Sをうっかりどこかに置き忘れてしまった場合でも、AppleのFind My ネットワークを使って探し出せるというもの。例えばドローンが様々な理由でホームに帰ってこれなかった場合などでも正確な場所を検知して探しに行けるという優れた機能だ。これがあるかないかで撮影への安心感と自由度が増すと言っても過言ではない。
動画性能に関わる性能に関して(ハード、ソフト両面の観点から)
撮影に関して
演算能力が50%向上した強化チップと新しい広角レンズを搭載したGO 3Sは、4K撮影の際のシャープでクリアな印象を受けた。画素数は2.7Kの約2倍で、あらゆる瞬間を洗練されたディテールで捉えることが可能だ。
FPVドローンパイロットとしては欲を言えば4K/60pに対応していると、なお良しではあったが、このサイズ感で4K/30pを実現しているので十二分に満足できると思う。
さらにこの数年、縦動画を含め動画の制作&視聴環境は大きく変化している中、POVの際にわずか数秒で横から縦に切り替えることができ、クイックキャプチャー機能でカメラ前面のボタンを押すだけで録画が開始されるので、できる限りスムーズな撮影をしたい新たな感覚をもった若い動画制作者に広く受け入れられる可能性を秘めている。
スマートフォンアプリInsta360
Insta360にはスマートフォンと連携するための専用アプリがある。それはスマートフォン側でGO 3Sをコントロールし、設定やライブプレビューが見られたりする。また撮った映像をアプリにダウンロードしデータを取り込むことでAIが自動編集してくれる機能も搭載している。クリップを選ぶだけでAIが勝手に編集してくれるので、すぐにSNSなどにアップロードしたい人にはかなりオススメの機能だ。
まとめ
Insta360 GO3Sがもたらす新しい映像体験
GO 3Sの肝のひとつはその大きさ、重量によって気軽な撮影ができるという部分だ。GO 3Sを自撮り棒につけっぱなしにして、いつでもカバンのサイドポケットに入れられるようにするのも良いだろう。またちょっとした散歩やPOV撮影の場合にはアクセサリーに取り付けたまますぐに持ち出せる大きさは撮影体験そのものを変化させるものだ。
動画撮影においては連続撮影時間がカメラ本体は38分、ポッド装着時140分だが、余程の長尺の映像を撮らない限りは充電しなくても1日中使用できるカメラだった。撮影時間の観点から言えばGO 3に若干劣るが、画質やその他の機能に関しては言うまでもなく前機種を遥かに超えている。それが親指サイズのコンパクトなボディに収められていることで、ストレスフリーにいつでも高画質な撮影ができる。
現在ではスマートフォンでの色調整・加工は多くのスマホユーザーが行なってきていることだ。その上で、編集の効率化やSNSへのアップロードの時短を求めている人々も少なくないはず。Insta360のアプリでのAI自動編集などのソフトな部分での進化もし続けているのに加えて、撮影時のクリエイターの創造性を刺激してくれる新たな体験をもたらしてくれるカメラになるのだ。
我々クリエイターの可能性と、もっと自由な発想で独創的な世界を創造できると改めて感じさせてくれる機種であった。
スペック
Insta360 GO 3Sの主なスペック
・動画記録フォーマット(代表的なもののみ記載) | 動画(MP4) 4K:3840×2160@30p/25p/24p 2.7K:2720×1536@30p/25p/24p 2.7K:2752×1530@50p FHD:1920×1080@50p/30p/25p/24p FreeFrame動画 4K: 3840 x 2880@24/25/30fps 2.7K: 2720 x 2040@24/25/30/50fps 1080p: 1920 x 1440@24/25/30/50fps タイムラプス 4K: 4000 x 3000@30fps(Insta360 Studioを使って最適な画質で書き出し) タイムシフト 4K: 4000 x 3000@30fps(Insta360 Studioを使って最適な画質で書き出し) 2.7K: 2720 x 2040 @30fps スローモーション 2.7K: 2720 x 1530@100fps 1080p: 1920 x 1080@120/200fps プリ録画 4K: 3840×2160@24/25/30fps 2.7K: 2720×1536@24/25/30fps, 2752×1530@50fps 1080p: 1920×1080@24/25/30/50fps ループ録画 4K: 3840 x 2160@24/25/30fps 2.7K: 2720×1536@24/25/30fps, 2752×1530@50fps 1080p: 1920 x 1080@24/25/30/50fps |
最大動画ビットレート | 120Mbps |
写真解像度(JPG、DNG) | 4000×2250 (16:9) 2880×2880 (1:1) 3968×1472 (2.7:1) 4000×3000 (4:3) |
サイズ (幅 x 高さ x 奥行き) | GO 3S: 25.6×54.4×24.8 mm アクションポッド: 画面格納時: 63.5×47.6×29.5mm 画面展開時: 63.5×86.6×29.9mm |
重量 | GO 3S:39.1g、アクションポッド:96.3g |
バッテリー容量 | GO 3S:310mAh、アクションポッド:1270mAh |
連続録画時間 | GO 3S:38分 GO 3S + アクションポッド:140分 |
前モデルInsta360 GO 3との比較
本記事はGO 3Sの動画性能にフォーカスするものだが、その動画撮影機能・性能に関しては前のモデルであるGO 3と比較して見てみよう。動画性能の向上だけではなく、新たな機能も多く追加されている。
Insta360 GO 3S | Insta360 GO 3 |
4K@30fps 最大解像度 | 2.7K@30fps 最大解像度 |
1080p@200fps 最大フレームレート | 1080p@120fps 最大フレームレート |
簡単切り替え | – |
メガ広角FOV | – |
インターバル録画 | – |
ジェスチャー操作 | – |
Apple Find My | – |
FlowState手ブレ補正& 水平維持 | FlowState手ブレ補正& 水平維持 |
2.2インチフリップ式 タッチスクリーン | 2.2インチフリップ式 タッチスクリーン |
リモート制御& ライブプレビュー | リモート制御& ライブプレビュー |
10m 防水(カメラ単体のみ、アクションポッドは非対応) | 5m 防水(カメラ単体のみ、アクションポッドは非対応) |
Insta360 GO 3S | Insta360 GO 3 | |
絞り | F2.8 | F2.2 |
35mm判換算焦点距離 | 16mm | 11mm |
写真解像度 | 4000×2250 (16:9) 2880×2880 (1:1) 3968×1472 (2.7:1) 4000×3000 (4:3) | 2560×1440 (16:9) 2560×2560 (1:1) 1440×2560 (9:16) 2936×1088 (2.7:1) |
動画解像度 | 動画 4K: 3840×2160@24/25/30fps 2.7K: 2720×1536@24/25/30fps, 2752×1530@50fps 1080p: 1920×1080@24/25/30/50fps0fps | 動画 2.7K: 2720×1536@24/25/30fps 1440p: 2560×1440@24/25/30/50fps 1080p: 1920×1080@24/25/30/50fps |
写真フォーマット | JPG DNG(アプリまたはStudioで書き出し可能) | INSP(アプリまたはStudioで書き出し可能) DNG(アプリまたはStudioで書き出し可能) |
動画フォーマット | MP4 | MP4 |
動画モード | 動画、FreeeFrame動画、タイムラプス、タイムシフト、スローモーション、プリ録画、ループ録画、インターバル録画 | 動画、FreeeFrame動画、タイムラプス、タイムシフト、スローモーション、プリ録画、ループ録画 |
カラープロファイル | 標準、鮮やか、フラット、ポートレート | ファイル 標準、鮮やか、フラット |
重量 | GO 3S:39.1g アクションポッド:96.3g | GO 3:35.5g アクションポッド:96.3g |
Insta360 GO 3Sの製品情報