Insta360の主軸であるXシリーズの最新モデルのInsta360 X4が、360度撮影、アクションカム、AI搭載アプリといった従来の特徴を活かしつつ、8K/30pの動画性能を実現するなど機能を大幅にアップグレードさせて新登場。この4月16日に発表・発売された。本レビューでは、多目的360度アクションカメラInsta360 X4のパワーアップした特徴を中心に、いち早く実機による検証レポートをお届けする。

レポート●染瀬直人

*ベータ版のアプリと評価機を試用して、検証しています。

目次

Insta360 X4の特徴

仕様と外観について

アクセサリーについて

操作性について

撮影性能について

まとめ

X4と前モデルX3のスペック比較


Insta360 X4の特徴

Insta360 X4は、同社のXシリーズとしては2022年9月に発売されたX3以来、約1年半ぶりの登場となる。Insta360 X4(以下、X4)の主な特徴は以下の通りである。

・8K/30pの高解像度360度VR動画撮影が可能に

・5.7K/60p、4K/100pの360度VR動画に対応

・4K/60pのシングルレンズモードが利用可能

・ミーモードが2.7K/120pに対応

・5.7K/120pのバレットタイム撮影

・11Kタイムラプス撮影

・AIジェスチャー&音声制御(日本語初対応)により、直感的な操作が可能に

・取り外しがスムーズな新レンズガードが同梱

・バッテリー寿命が約67%延長

また、X3から以下の機能が、引き継がれている。

・ハウジングなしで10m防水

・アプリの動画編集で、AI映像処理のエフェクトや動画作成用のテンプレートを適用できる「編集ラボ」が利用可能

・360度で撮影した後に、好きなアングルにリフレームして書き出しが可能

・見えない自撮り棒で、三人称視点を実現

・強力なFlowState手ブレ補正 + 360度水平維持

仕様と外観について

X4のイメージセンサーのサイズは1/2インチ。レンズはF1.9。35mm換算の焦点距離は6.7mmである。筐体の大きさは、46✕123.6✕37.6mm。重さは203g。8Kの高解像度に対応したため、X3よりはサイズは上回っている。ボディの片側の表面は、グリップ感が良好な凹凸加工が施されている。

▲Insta360 X4
▲筐体のサイズを比較(左:X4 右:X3)。
▲グリップ感も良好なX4のボディ表面の凹凸加工。

カメラの各種設定、画像のモニターやプレビューが行えるタッチスクリーンのサイズは、X3の2.29インチから2.5インチに拡大し、操作性や視認性が良くなった。素材には、Corning Gorilla Glassが採用されて、堅牢性も向上している。

▲X4の2.5インチのタッチスクリーン。

また、X4のために新規にバッテリーが開発され、容量が2290mAhに拡大。メーカーのアナウンスによると、X3よりも67%程度長い135分の撮影(ラボ環境で、5.7K/30pでテスト)が可能と謳われている。筆者の撮影でも、X3より、長時間の記録ができることが確認できた。撮影可能時間は、気温等の環境の影響により変化することが予想され、高解像度における撮影では、サーマルシャットダウンする場合もあり得るので、引き続き、試用して確認してみたい。

▲X4の2290mAhのリムーバブルバッテリー。
▲充電中。充電の進捗がディスプレイに大きく表示されるので、わかりやすい。

その他、X3のType-C USB 2.0からType-C USB 3.0に変更したことにより、データ転送のスピードが大幅に改善。Wi-Fiの速度も、X3と比較して58%ほど向上し、ファイルの転送時間が短縮されている。ハウジングなしのカメラ本体単独で、10mの防水性能を備えている。360度撮影用の見えない潜水ケースを使用した場合、50mまでの水中撮影が可能となる。X3同様、マイクは4つ搭載されている。

アクセサリーについて

標準セットの同梱物は、以下の通りである。

  • Insta360 X4本体
  • 標準レンズガード 
  • バッテリー
  • サーモグリップカバー
  • Type-C to Cケーブル 
  • 保護ポーチ
  • レンズクロス
  • クイックスタートガイド
  • 保証書

▲標準セットの内容物。

X4ではレンズガードの構造設計を見直して、X3の粘着式から、スムーズに着脱可能なデザインへと変更された。カメラを潜水ケースに入れる場合などでも、簡単に取り外すことができる標準レンズガードが同梱されている。傷がつきにくい強化ガラスを採用したプレミアムレンズガードは、別売りとして用意される。

▲同梱されている標準レンズガード。
▲熱対策用のサーモグリップカバー。

その他、レンズキャップ、Insta360 X4用の差し込み型のmicroSDカードのクイックリーダー、バレットタイム用のアクセサリー、フェイクドローンショットが可能となる3mの自撮り棒なども別途用意されている。

▲レンズキャップ。
▲X4用の差し込み型のmicroSDカードのクイックリーダー。

操作性について

操作面の改善としては、英語、中国語に加えて、日本語の音声制御に対応したことが挙げられる。検証でも、「写真撮影」、「動画開始」等の音声コマンドにより、スムーズに動作することが確認できた。

また、AIの活用で、ハンドジェスチャーを利用しての録画開始と停止、写真撮影が可能になっている。手のひらをカメラに見せることで録画開始、Vサインで写真撮影が実行される。アプリや音声を使用しにくい環境、また自撮り棒に取り付けて撮影することが多い360度撮影の際には、とても便利である。バイクやスキー、スノーボード等のスポーツ利用時でも、グローブを外すことなくカメラを制御することができるのだ。因みに、ジェスチャーは、カメラから0.6~1.6mほど離れた位置で、よく認識されるようだ。

▲音声制御。
▲ジェスチャー操作。

撮影性能について

今回のX4の性能における特筆すべきこととしては、何と言っても、360度動画において、8K/30pを達成したことが挙げられるだろう。プロ向けのInsta360 Pro2やTitanは別として、コンシューマー向けの360度カメラとしては、同社において最高解像度の実現となる。8Kの高解像度は全体の一部を視ることになるVRヘッドセットの視聴やリフレームの際に都合が良い。


そして、5.7Kでは60p、4Kの場合は100pと、いずれも前機種のX3からフレームレートが向上しており、アクションスポーツ撮影に、より一層、適応した形となった。また、低照度下の撮影においても、X3より、解像感、色再現性が向上している。

▲Insta360 X4 360度 8K/30p

▲Insta360 X4 360度 5.7K/60p

▲Insta360 X4 360度 4K/100p

Insta360 X4 360度 5.7K/30p(低照度撮影)

ファイル管理面では、以前はふたつだった360度の.insvファイルが、X4では、ひとつにまとめて生成されるようになり、動画コーデックについても、H.265 がデフォルトとなったことで、合理化が進んだと言える。

▲1つにまとめられて記録される.insvファイル。

片側のレンズのみで撮影するシングルレンズモードを選択すると、広角アクションカメラとしての利用が可能となり、最大4K/60pが選択できる。シングルレンズ撮影の際に、FreeFrame動画から「Max」広角を選択した場合、170度FOVが利用できる。

Insta360 X4 シングルレンズモード 4K/60p

▲Insta360 X4 シングルレンズモード (FreeFrame動画→Max広角) 4K/30p

ミーモードでも、最大170度のフラット動画を録画することができ、見えない自撮り棒効果と三人称視点の自撮り撮影が可能である。リフレームが不要なので、360度撮影が不要な場合に、後編集の手間を省いて撮影することができるというわけだ。最大4K/30p、また、2.7K/120pがサポートされている。2.7K/30pを選択した場合は、カメラ内スティッチングが実行され、.MP4で記録されるので、SNS等で素早く共有することができる。

▲Insta360 X4 ミーモード(Max View) 2.7K/120p

バレットタイムについては、 X3では、最大4K/120p、または3K/180pの性能であったが、X4では、5.7K/120pのスローモーション撮影が可能となり、よりドラマティックな表現に仕上げられるようになった。

▲Insta360 X4 バレットタイム 5.7K120fpsで撮影、HDで書き出し

360度タイムラプス動画は、11Kの高解像度を実現。後からリフレームして利用する場合でも、高画質の書き出しサイズを担保できるようになった。据え置きのタイムラプスに対して、移動撮影でハイパーラプスとして表現したい場合には、8Kのタイムシフトを利用することができる。

▲Insta360 X4 360度タイムラプス動画 11Kで撮影、8Kで書き出し

▲Insta360 X4 360度タイムラプス動画 11Kより、4Kでリフレーム

X4の静止画の解像度については、X3と同等の72MP(12K)である。ノイズ低減を図り、鮮やかな画像を生成するAI (PureShot) やDNGが選択できる。FOVオプションとして、新たに「メガ広角(MegaView)」が登場、周辺部の歪みを抑えた広角FOVとなっている。アスペクト比は、1:1、9:16、16:9、4:3、3:4、2.35:1などが用意されており、選択肢も豊富だ。

▲静止画データ。Insta360 X4 360度72MP(クリックすると原寸大のデータにジャンプします)。

▲真で超広角 9:16を指定した状態のアプリの画面。

まとめ

Insta360は、そのブランド名通り、360度カメラの開発が主軸のメーカーであるが、このところは、Insta360 GO2、Insta360 Flow、Insta360 AceやInsta360 Ace Proなど、360度以外のウェラブルカメラやアクションカム、ジンバル等の発売が目立っていた。そんな中、NAB SHOW 2024開催中のこの時期に、満を持してのX4の発表・発売となった。

コンシューマー系のVRカメラでは、これまで6K解像度が一般的な落とし所であったが、プロ向けVRカメラでは、8K以上の解像度が必要とされている。コンシューマー向けとしては、Insta360に先んじて、同じく中国・深圳のカメラメーカー Kandaoから、すでにQooCam 8Kが市場に投入されている。X4のメリットとしては、小型軽量化の達成や防水性能などを、8Kの高解像度と両立させたことであろう。

KandaoもQooCam 3 Ultraという8Kの新製品の発売を予定しており、今後は、コンシューマー向けVRカメラにおいても、最大8K解像度が一般的になってくることが予想される。

X4のアプリ面では、アルゴリズムが改善され、動作がスムーズになった。クイック編集では、従来の直感的な操作方法に加えて、仮想ジョイスティックを使用した視点の変更が行える。360度のリソースについては、AIに編集を任せることで、初心者ユーザーの負担が軽減されるが、このAI自動編集の開発も同社の大きなアドバンテージである。もちろん、キーフレームをマニュアルで追加して、動画を思うようにカスタマイズするプロ向けのニーズにも対応している。その他、モーションNDエフェクトの追加や、アプリのバックグラウンドダウンロードがサポートされるなど、使い勝手が向上している点も見逃せない。

▲新Insta360アプリの編集画面

X4と前モデルX3のスペック比較

 Insta360 X4
Insta360 X3
最大 360度動画解像度
8K/30p & 5.7K/60p
5.7K/30p
最大 360度スローモーション
4K/100p 
3K/100p
最大. 広角解像度/
フレームレート
4K/60p
4K/30p
ミーモード
4K/30p 
2.7K/120p 
1080p60fps
バッテリー
2290mAh
1800mAh
駆動時間
135, 67% 延長 
*5.7K/30p, 実験環境下
81分
*5.7K/30p, 実験環境下
堅牢性
簡単取り外し可能レンズガード 
堅牢な Corning Gorilla 強化ガラスを使用
2.5 インチ タッチスクリーン
粘着式レンズガード
通常の強化ガラス製 2.29 インチ タッチスクリーン
音声制御
英語、中国語、日本語
英語、中国語
ジェスチャー操作
値段
79,800円
60,520円

●Insta360 X4製品情報

https://www.insta360.com/jp/product/insta360-x4