9月号特集「感動するビデオの作り方」の動画リンク集です。
まずはこのムービーからごらんください。
CMディレクターの大石健弘さんが撮影、編集、ディレクションした「親から子へのサプライズ卒業式」。コウノトリで有名な兵庫県豊岡市から依頼された作品。この市の多くの高校生にとって卒業するということは県外へと旅立っていくこと、そして育ててくれた親元から巣立っていくこと。兵庫県豊岡市の高校での卒業式の後に行われた親から子へのサプライズ卒業式。このムービーは今年3月に公開され、現在約25万回ほど再生され、自治体がスポンサーのムービーとしては大きな効果を上げています。
特集記事では大石さんがこのムービーをどうやって作っていったのか、そのノウハウに迫ります。
次に、長濱えみなさんがディレクションしている、「おばぁちゃんに、届け」という、リッチメディアという会社の社内向け映像です。冒頭の数分はちょっとドキュメンタリーテイストが入った企業ビデオ風なのですが、途中から「物語」が始まります。ここには、ウェディングムービーを経験してきた長濱さんの演出テクニックが秘められています。さて、それは何でしょうか? これもぜひ本誌をお読みください。
この特集のきっかけになったのが、先日出版された酒井洋一さんの「フィルムメイキング・ハンドブック」と酒井さんに影響を与えたSTILLMOTIONのAminaさんのセミナーでした。
「感動」ということでは、日本語がわからないAminaさんをも感動させたこのムービーも、ぜひ見ていただきたい1本です。(この作品については、5月号の特集「映像ストーリーテリングの手法」で触れていますので、そちらをお読みください)
さて、そのSTILLMOITONに影響を受けたことを公言しているビデオグラファーはたくさんいますが、クリス・モアさんはその代表的な存在でしょうか。
そのクリスさんがSTILLMOTIONから学び、カップルから聞き出した本音から実現した上高地での前撮りムービーがこちら(2014年)。二人の生き生きとした楽しそうな表情を引き出すことに成功しています。
今、クリスさんは、企業のブランディグムービーやインバウンド用のムービーを手がけることが増えていますが、企業に所属する人、チームに所属する人からいかに本音の言葉を引き出すかに腐心しています。いくつかのヒントを語っていただきました。
そのひとつの例が「relentless today −輝ける場所へ−」二人のアスリートのトレーニング風景とコメントで綴った富士通のブランディングムービーです。インタビューの映像シーンはなく、ひらすらトレーニングのシーン。リアルさを引き出すべく、声は音声のみで別に録音したそうです。インタビューを受け語る側は取材に慣れていないいわゆる普通の人が大半です。台本を用意すると、どうしても読んでいる感じになってしまいますし、カメラが回ると緊張してしまいます。そこでクリスさんがとった手法が、音声だけ録るということ。カメラを回さず、時間をかけて本音を引き出していきます。映像はないので、背景など場所を気にする必要はありません。映像は、その人がプレイしたり、仕事をしているところを撮っていきます。
「感動」するビデオの要素はいろいろありますが、今は、いかに「リアル」に感じられるかということが重要なのかもしれません。しかし、その「リアル」が普通に撮れてしまうのがアマチュアビデオだとしたら(その先にストーリーの構築は必要になりますが)、プロが作るプロモーションムービーの場合は、クオリティが高いことは当たり前で、その先の「リアル感」は計算して自分で作っていかなければなりません。
各ビデオグラファーのノウハウからそのヒントが掴めるのではないでしょうか?
●ビデオSALON2018年9月号より転載。他にも充実した記事が盛りだくさん!