軽量を求めるか、操作性を求めるのか…。ドキュメンタリー用の三脚選びは難しい。頭を悩ませてきた伊納さんが見つけたのがLeofotoのLS-255CEXという脚とビデオヘッドBV-5の組み合わせだ。
レポート:伊納達也
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inahoFilm代表。ノンフィクション映像作家。 1988年愛知県に生まれ、高校時代に映像制作を始める。栃木県鹿沼市を拠点に、スポーツや教育など様々な分野で「挑戦する人々」を描いたノンフィクション映像の制作に取り組む。
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協力:レオフォトジャパン
二択の間を埋める三脚はないか
「充実した機材を揃えることと、機材を最小限に絞ること、どちらがいい作品作りにつながるのか?」この問いは自分にとって重要な意味を持っている。それはこの問いにどんな答えを出すかということが、自分はどんな界隈で仕事をしたいのか、どんな映像を作りたいのかということに直接つながってくると言ってもよいからだ。
撮影スタッフが複数人いて、撮影する内容を事前にきちんと決めて準備するような映画や広告映像的な現場なら、もちろんシーンごとに最適な様々な種類の機材を揃えることがクオリティアップにつながるだろう。その一方、撮影スタッフがひとりで、撮影する内容も現場にあわせて臨機応変に変化していくような撮影では、機材数を減らすことでその瞬間瞬間の選択肢をあえて絞ったり、機材の運搬に余計な手間や体力を使うことを避けることで、迷いなく撮影を行えるようになってクオリティが上がるという考え方ができる。
後者のような撮影スタイルは映像が使われる場が限定的だった時代にはマイナーだったかもしれないが、現代のようなあらゆる場で映像が使われるようになった時代では珍しくなくなっている。私はこうしたスタイルのことをビデオグラファーと呼び、2010年代前半からそのスタイルで映像作りを行なってきた。
近年では現実世界の出来事や活動を切り取ってコンテンツとするような、広い意味での「ドキュメンタリー映像」が作られることも増えており、そういった映像の撮影で特にこのスタイルで撮影が行われることも多い。ドキュメンタリーの撮影は究極的には「いつ、どんな場面を、どこから切り取れたか」がすべてと言ってもよく、 それが美しく撮れているか、いい機材で撮られているかはプラスアルファの要素になってくるからだ。
そんな考えのもと、私がワンマンでドキュメンタリー撮影を行う際は、できるだけ機材は少なく、小型軽量にしたいと思っている。
しかし、その中で最も頭を悩ませてきたのが三脚選びだった。三脚は他の機材よりも「小型軽量であること」と「安定性・操作性が高いこと」がトレードオフの関係にあるからだ。そのため、一部の場面でしか三脚を使わないであろうという密着的な撮影の場合は「軽量であること」だけを重視して軽量なトラベル三脚を、 それなりに三脚を使う場面がありそうな撮影では「安定性・操作性が高いこと」を重視してカウンターバランスの設定ができる75㎜ボールの三脚を重いけれど頑張って持っていく、 という二択の状態が長く続いていた。
LS-255CEX+BV-5
二択の間を埋められる三脚はないものかと探して出会ったのがLeofotoのLS-255CEX+BV-5だ。私には動画用の三脚にはレベリング(水平出し)機能を最低限求めたいという気持ちがある。写真用の自由雲台だとカメラの向きを変えるたびに水平を確認し直さねばならず、アングルの微調整がしにくいと感じることが多いからだ。
LS-255CEX+BV-5にはレベリングベースが搭載されており、レベリング機能がありながら持ち運びやすい1.5kg程度の重さと約54㎝の収納高に収まっているという意味で、私にとっては軽量か操作性かの二択のちょうど間の選択肢となる三脚だった。
脚部分はレンジャーEXシリーズLS-255CEX
雲台部分のBV-5は水平出しが可能。プレートはアルカスイス互換を採用
LS-225CEX+BV-1R
同じシリーズでさらに小型軽量となったモデルがLS-225CEX+BV-1R。
雲台部分はBV-5が542gなのに対してBV-1Rは433g。三脚のほうもLS-255CEXの最大径25㎜からLS-225CEXは22㎜に細くなっており、重量も雲台と脚のセットで約1.56kgから約1.3kgへと軽くなっている。ただし収納高は538㎜と528㎜で違いは1㎝のみ。
少しでも軽量なほうが良いという方はこちらのモデルもオススメだ。