【VLOG連動レポート】マンフロットのナイトロテック608とiFootageのTC6の組み合わせを試す


▲マンフロットnitrotech(ナイトロテック) 608iFootage TC6の組み合わせ。今回、様々なフィールドで使える動画三脚としてテストしてみたかった。

Report◉岸本 康

 

新たな動画用三脚を探して

マンフロットからの昨年末に発表されたnitrotech(ナイトロテック) 608という、0-8kgでカウンターバランスの取れるという雲台とiFootageという聞きなれないメーカーのセンターポールにレべリングベースが付いて、しかもポールが取り外せるというTC6という三脚を組み合わせたら、きっと新たな動画用三脚になるのではないかと思い、VIDEO SAON.webのレポートとしてまとめるべく、それぞれメーカーと代理店にお借りして試用してみた。

 

nitrotech(ナイトロテック)という雲台

マンフロットのナイトロテックは、3年ほど前に発売されて今回テストしたものはその第二世代になる608という機種だ。初代の発売時は、今までとはまったく違う構造でカウンターバランスが取れるということで、実際の動きはヴィンテンやザハトラーとは異なったもので、繊細な動きができないという評判を聞いていた。確かに油圧シリンダーのようなものが押される構造だと押し込まれていない時と押し込まれた時にトルクの差が起こって滑らかに動かせないのではないかという筆者の先入観もあって、今回まで触る機会もないままだった。ただこのヘッドにはもう一つの利点があって、雲台の下がフラットベースに作られている。75mmのお椀が取り外せる構造になっているので、普通の動画用三脚でも、写真用三脚などにも取り付けられるように設計されている。ヴィンテンのBlueなどは、お椀は外せないのでセンターポールの三脚には付かない構造になっている。ここが大きな分岐点だ。

ナイトロテックは2世代目ということと、動きが改善されているという噂を聞いて、たまたまネットで見つけたiFootageのセンターポールのカーボン脚と組み合わせたら最強じゃないかと思い今回のテストをすることになった。

 

iFootageってご存知ですか

iFootageはスライダーやカメラバランサーなどを発売している中国のメーカーだが、一脚や最近は三脚にも参入してきた比較的新しいメーカーだ。今回試用したのはGAZELLE UPRISE TC6というカーボンの三脚でマンフロットの190シリーズより大きめでGITZOのお椀の取り付くカーボンよりも小型になる。GITZOのセンターポール、マウンテニアGT2532との競合になるだろうか。価格はGITZOGT25328万円台に対してiFootageTC64万円台と価格差は大きい。


▲カーボンの3段脚にセンターポールのiFootageTC6

TC6はセンターポールをすぐに外して、ローアングルにすることができる。

 

 

なぜセンターポールなのか

動画三脚としては、なるべくしっかりとしたねじれにも強く雲台の動きを100%発揮できる脚が良いのだが、実際の現場では頻繁に高さを変えながら撮るような場合も少なくない。舞台や音楽などを撮る場合は、最初に決めた三脚位置で動かすことなく撮ることが当たり前だと思うが、場所を移動しながらの物撮りなどになると、まったく違った撮り方になる。どちらかというとスチルカメラと同じような動きが三脚に必要になる。私の場合、美術作品を数多く短時間で撮らなければならないことがあるので、GH5を使う場合はセンターポールに自由雲台を付けてその上に動画用のヘッドMVH500をセットした組み合わせて使っている。これはこれで自由度も高く良いのだが、たまにもう少し大きいカメラ、FS5などを乗せたい時があるが、当然カウンターバランスが取れないのでFIXかパンしかできない。チルトができないのだ。チルトのために普段から少し大きめのヘッドを持ち歩くかというと、なかなかそれも考えものだけれど、ヴィンテンを持ち歩くことを考えると、もう少し楽して大きいカメラを乗せたいというのは誰もが考えるところだろう。そこでこのiFootageTC6とマンフロットのナイトロテック 608を組み合わせることが現状のベストではないだろうかと思えてきたのだ。

 

ナイトロテック 608 使ってみた

ナイトロテック 608の雲台とともに645FASTカーボン三脚 MVTTWINFCMVH608AHのセットが送られてきた。645FASTカーボンはこの夏前に発売の新作で、高さ調節が一箇所で上段と下段の脚ロックが解除、ロックできるという三脚でこちらも現場での省力化が期待できる。一箇所と言っても3本の脚なので3箇所の操作が必要だけど、今までは6箇所だったので労力は半減かな。またお椀の取り付け部も工夫されていて、取り付け部が75mm用と100mm用に変更できる仕様になっている。GITZOもお椀の受けが別売されているので対応できるが、これと同様のことが可能で汎用性が広がる。


▲新しいマンフロットのFASTシリーズ。上下2段のロックを一箇所で操作できる。

 

さてナイトロテック。GH5FS5でそのチルトの動きを調べてみた。動きについては文章にするよりも実際にどの程度動くかを見ていただくほうが正確なので、VLOGの動画をご覧いただきたい。30分あるので興味のある人はじっくりとご覧いただきたい。

 

総じての感想は、動きは悪くないしカメラに合わせたカウンターバランス調整も簡単だ。チルトもパンもトルクをかけないとスルスルと動く。特にパンでは真ん中あたりがすごく軽く動き、下向き上向きになるにつれてナイトロテックの本領が発揮され、その押し込まれ方によって反発の力がかかり止まるようになる。なのでトルクをかけないと真ん中あたりでは軽く動きすぎて端の方では重くなるが、不思議なことに少しトルクをかけると全体的に滑らかな操作感が得られる動きになる。この感覚は言葉では伝えにくいので是非動画を見て欲しい。ヴィンテンやザハトラーのような動き始めと停止点での繊細さがどこまで必要かは、その撮影の内容とカメラマンのこだわりがあると思うが、ナイトロテックはその動きにかなり近いところまで来ているのではないだろうか。

 

カメラを上から押し込む動作でしっかりと止まるナイトロテックのクイックリリース。

 

ナイトロテックの心臓部。シリンダーが見えている。

唯一の弱点と言えばヘッドが大きいこと。左右の出っ張りが大きいために、ある程度の太さのある三脚ケースでないと入らない。肉抜きされた筐体から分かるように重さはそれほどでもないが大きさが惜しい。せめてヴィンテンのヘッドと同じくらいの体積であればと将来を期待。

 

iFootageTC6

こちらは脚だけをテストするつもりが、KOMODO  (コモド K5という小型の雲台も付いて送られてきたので、GH5を乗せて少し触って動画にした。TC6の脚の部分はとても綺麗に仕上がっている。カラーリングが黒と赤でケースもマンフロットのデザインを意識しなかったということはないと思われるが、本体は真似しているとは言い難い機能を持っている。三脚の高さ調節のロックがスキー靴のバックルを思わせるような形でしっくりと動作して、しっかり止まる。また伸び、縮みも素直に動作してくれて製造の精度も高い。センターポールには溝が入っていて回転しないような構造になっている。三脚のすぐ上の二つの蝶ネジの下の方が上下のロック、上の方がレベル調整のロックだが、このネジはしっかり締めないと遊びができて、パンした時に微妙に動いてしまうので、締め付けには少しコツというか慣れないと、どの程度で締め付けたら良いかという感覚がつかめない。最初少し強く締め付けすぎて、いざカメラを乗せて高さを調整しようとすると両手でないと動かなかった。ただこれは私のネジの持ち方が悪かったようで、全体を包み込むように持てば、回転軸に沿って回転させる力が伝わるようでスムーズに動くことが判った。このあたりは動画でも紹介している。レベルの調整も同様でしっかりと締める必要があるが、カメラを乗せている時にはやはり左手でカメラと雲台を保持した上で、調整ネジを回すのでしっかりと締める感覚が掴むことが必要だ。レベルのお椀自体はスムーズに動く。通常のビデオ三脚のお椀は乾式で金属が擦りあわされていて、そこにはグリスなどの潤滑油はないが、このタイプのお椀が内部で固定される場合は内部にグリスが入っているので、ヌルヌルと微調整はしやすい。


▲カウンターバランス2.5kg用の小型軽量動画用雲台。iFootageKOMODO ( コモド ) K5

小型のKOMODO (コモド K5は、かなり小型の印象を受けるがカウンターバランスは2.5kgとマンフロットのMVH500などよりも重く設定されているので、ハンドヘルドやデジイチでもフルサイズなどを想定したものになっている。なのでGH5では両端で少し押し戻される感じがあったが、動きは滑らかでカウンターバランスが合うカメラであれば小型ながら良い動きをしそうな仕上がりだった。センターポールに取り付ける雲台としては軽量なのでこのくらいのサイズが本来は好ましいと思うが、今回はナイトロテックを乗せるのが目的だ。それぞれのパーツを外して組み合わせてみた。

 

 

iFootage TC6とナイトロテック 608を組み合わせてみた

ちょっと頭でっかちになるのは否めないが、この重さで機動力のあるセットが完結できた様に思った。ただナイトロテックにFS5を乗せると流石にセンターポールの上下はなかなか腕力がいる。これは三脚の問題でなく私の体力の問題だが、FS5を乗せて上下を頻繁にすることはないので、GH5を乗せて上下したりチルトしたりして動きを確認したものを動画にした。

 

この組み合わせは悪くなかった。ちょうどJVCからお借りしてテストしていたHC550も乗せてみたが、屋外でもローアングルからハイアングルまでしっかりと対応できる。GH5には少し大きすぎる感じもあるが、同時にフルサイズ機を使う場合などを考えるとカウンターバランスが合わせやすいこともあって、いろんなカメラを使い分けされる人には良いかも知れない。もちろん、常にカメラに合わせた雲台を数台準備できればそれがベストかも知れないが、遠征などで物理的に持参できない場合などでは大が小を兼ねてるナイトロテックはベストなのかも知れない。

iFootageTC6は小型雲台を前提に60mmのお椀だが、ナイトロテックは75mm。フラットなので付いてしまうが、一つ注意したいのはTC6のお椀には雲台のストッパーが付いていない。マンフロットの動画用のお椀の上側には押しネジが付いていて、取り付けた雲台を回転しないように固定できるが、TC6にはそれがなく、センターのネジまわりに貼られているゴムの摩擦だけで止めるというものになっている。なので今回のテスト操作でも、急なパンをした時に供回りして接合部が緩むことがあったので、将来的にはぜひ回り止めを設けてもらいたい。組み合わせて使ってマイナス点はそのくらいだった。実際に自分でこの組み合わせで使う場合は回り止めとして接着なども考えても良いかもしれない。

今回の組み合わせで試用できて、この後の動画三脚の進むべき一つの方向性が提案できたのではないかと思う。