ひとつのノブですべての可動部をロック&リリース。今回はシネマカメラの必須アイテムLeofotoのマジックアームをピックアップ!
レポート●竹本宗一郎(ZERO CORPORATION)
——————————–
暗闇から光を取り出して魅せる日本で唯一のナイトカメラマン。世界各地の夜の絶景をフィールドに
ネイチャードキュメンタリー番組やCMなどの特殊撮影を数多く手掛ける。
——————————–
協力●レオフォトジャパン
香港にほど近い中山市に本社を置くLeofoto は、スチル用三脚メーカーとして2014 年に誕生した中国ブランド。現地工場は多くのマシニングセンターを導入しアルミ部材からの削り出し加工による高精度で素早い商品展開が注目されている。近年は映像用の製品にも注力。国内ではワイドトレード(https://widetrade.jp/leofoto/)が総代理店として製品の販売・保守サービス(並行輸入品は対象外)を行なっている。
AM-3/AM-4/AM-5/AM-6
▲左からAM-3(13,200円)、AM-4(14,520円)、AM-5(14,300円)、AM-6(16,500円)。AM-3(短)とAM-4(長)は細身のアームで軽量化されたスタンダードタイプ。AM-5(短)とAM-6(長)は、ステンレス製ロゼットギアを採用したヘビーデューティータイプ。製品によってアーム両端のアタッチメント構成が異なる。
▲表面に細かなスパイラルパターンが刻まれたアーム両端のボールヘッド部(AM-3、4)。Cリング(金属製の止め輪)と組み合わせ摩擦力を高めている。
止まらないはあり得ない
カメラケージやリグに様々な外部機器を組み合わせ運用するミラーレスカメラやシネマカメラ。シングルノブで多関節のロック&リリースを実現し自由な位置や角度で機器を固定できるマジックアームは、撮影現場に不可欠なパーツだ。
ところが見た目は似ていても品質にこれほど格差のあるアイテムも珍しい。安いものは数百円から上は1万円を優に超えるものまで、その違いは固定力にある。安価な製品の多くは望んだ位置で「止まらない」のだ。短いアームであってもプロが1万円を超える製品を使う理由がそこにある。
固定力の差はロゼットギア
安価な製品は金属同士を強く押し付けその摩擦力で固定する。この方法だとどんなにノブを強く締めてもアームを伸ばしモーメントが大きくなると、作用する力に摩擦力が耐えきれず滑り始める。一方、高価格帯の製品では、ロック部にロゼットギアを採用し構造の違いで確実なアンチローテーションを実現している。
AM-1からAM-8まで多彩な製品バリエーションを展開しているLeofotoのマジックアーム。一般的なロッドスタイルのラインアップではすべてにロゼットギアを採用しスチル、ムービー両方のユーザーからの信頼が厚い。細めのアームとアルミ加工のロゼットギアで軽量化したAM-3(短)とAM-4(長)に対し、耐荷重がおよそ2倍のAM-5(短)とAM-6(長)は、太いアームと大き目のノブでより堅牢性と固定力を高めたヘビーデューティーなプロ仕様。ロック部は嚙み合わせの深いステンレス製ロゼットギアを採用し、固定力は折り紙つきだ。
▲AM-3、4、5、6はロゼットギアの採用でアンチローテーションを実現する。安価な製品は金属同士を強く押し付けその摩擦力で固定するものが多く、モーメントが大きくなると作用する力に摩擦力が耐えきれず滑り出す不安が否めない。
多彩なマジックアーム群
ロッドタイプのAM-3、4、5、6のほかLeofotoのマジックアームは、ユーザーのイマジネーションをくすぐる多用なスタイルの製品を展開する。例えばAM-2は全長約12cmのミニタイプだが、別売のアタッチメント、クランプユニットを組み合わせることで接続先を選ばない自由な装着を実現する。そのAM-2のボディを4連結させたAM-1は全長約34cm、合計8つの関節部があり複雑な変形を可能にする汎用性の高い製品。小型照明やマイクの仕込みなどで重宝する。
昨年の秋に発売されたAM-8はLeofoto初のカスタムマジックアームシリーズ。メインボディをベースに12種類のカスタムボールパーツを自由に組み合わせシステム化できるユニークな製品。長短2種類のアームパーツで複数のAM-8をジョイントした多関節スタイルも可能。撮影機材に合わせながら徐々にパーツを増やしていくのも楽しみのひとつだ。
外部モニターやマイク、照明等の接続で目にするマジックアームだが、その用途は無限大だ。撮影する映像にも影響するパーツなだけに、製品を選ぶ際には、固定方法に妥協しないこと。
これまでスチルユーザーに占有されてきたブランドだけに、まだまだ知られていないアイテムが隠れていそうだ。
交換用アタッチメントが付属するKITパッケージも展開
AM-3、4、5、6は単体製品のほか交換用アタッチメントが付属するKITパッケージも展開。単純なねじ込み式だと偏荷重搭載時に緩みの原因になるが、KITパッケージのアタッチメントは軸にネジで固定するプロ仕様。
▲左からAM-3 KIT(15,840円)、AM-4KIT (17,160円)、AM-5 KIT(18,700円)、AM-6KIT(19,800円)。
▲AM-3KITのアタッチメントパーツ
▲アタッチメント交換
ミニタイプのマジックアームAM-2
▲AM-2は固定力の高いミニタイプのマジックアーム。ワイヤレスマイクの受信機やスマートフォンなどをカメラケージ横に取り付ける時などに便利。先端がオスネジのAM-2(左)とメスネジのAM-2T(右)があり、このふたつを連携して使うこともできる。
▲スチルユーザー間では、Leofotoのマジックアームを使い三脚に傘を固定する簡易防雨スタイルが人気を呼んでいる。オリジナルの傘ホルダー(UH-1)も発売され雨脚と風が弱ければ動画撮影でも思いのほか便利そう(画像はAM-2使用例)。
カスタムマジックアームシリーズAM-8
▲作年秋に発売されたAM-8は、メインボディに全12種類のカスタムボールパーツを自由に組み合わせできるカスタムマジックアームシリーズ。長さの違う2種類のアームパーツを介せば複数のAM-8をジョイントすることも可能だ。ボールパーツが付属するAM-8KITもラインアップする。
▲AM-8KIT(9,240円)。
●VIDEO SALON 2024年2月号より転載