レベリングセンターポールで素早い水平出しだけでなく、俯瞰撮影やローアングルなど、これは便利に使える三脚だ!
レポート:栁下隆之
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写真家アシスタント、現像所勤務を経て、撮影機材全般を扱う輸入販売代理店で 17 年余り勤務の後に、撮影業界に転身。一眼カメラによる撮影を得意し、記録映像から WEB CMなど幅広いジャンルの撮影をこなす。
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協力:レオフォトジャパン



LV-284C主な仕様 | |
全伸長 | 1,500mm |
伸長 | 1,235mm |
最低高 | 95mm |
収納高 | 480mm |
段数 | 4 |
耐荷重 | 10kg |
重量 | 1,550g |
付属品 | 専用メンテナンス工具、 専用キャリーバッグ |
希望小売価格 | 68,200円(税込) |
レバー1本のワンアクションで
筆者は動画中心で商業撮影を営んでいるが、仕事や趣味で写真も嗜むハイブリッドシューターである。本誌で幾度となく写真用三脚とビデオ雲台の組み合わせを紹介したことがあるが、さらなる理想の三脚を求めてアンテナを張り続けている。そんな筆者が最近気になっていた製品が「Leofoto LV-284C レベリングセンターポール三脚」だ。
一番の特徴はレベラー兼用のセンターポールで、筆者の知る限り同社独自の機構であるはず。 レバー1本のワンアクションで、 センターポールの上下とレベル調整が同時に可能となっている。 操作に多少の慣れが必要と感じたが、 素早く構図が決められる点は唯一無二と言える。
使い方のコツは、センターポールを持って水平を出すのではなくて、カメラを保持しながら水準器を目安にして位置決めするのが良い。
初めて操作した際には、高さと水平を個別に調節できない不便さがあると思ってしまったが、慣れるとワンアクションで両方が決められるスピード感のほうが何倍も便利だと感じた。精度とスピードのどちらを重視するかで考え方が変わると思うのだが、必要充分な精度とスピードの両立という面で、Leofoto社のユーザー視点のアイデアを感じることができた。
実際の話、筆者は物撮りなどで微妙なアングルの上下を探りたい時に、3本の足の伸縮にストレスを感じており、センターポールの上下でアングルが探れることを優先して写真用三脚を使っている。従来の製品であればレベラーを後付けする必要があり、その分機材の重量が増えてしまっていたが、本製品では軽量かつシンプルな操作を実現している点が高く評価できる。
センターポールの上下が不要という方は、標準で付属するショートセンターポールに付け替えればビデオ三脚のように使うことができる。ただし、ビデオ雲台はフラットタイプに限定されてしまうので注意したい。
他社製でレベリング機能付きセンターポールを内蔵したものもあるが、内部構造的に重量が増えるという欠点があった。本製品はレベリング構造を脚部根元に内蔵したことで、センターポール自体に特殊な構造を必要としないため、軽量になっている。また基部のボールロックの精度が秀逸で、軽い力でガッチリと固定できるあたりは、写真用三脚で定評のある同社の真骨頂を感じることができた。
脚部のカーボン素材の強度や伸縮のロックレバーの滑らかな動きも同様で、近年写真用三脚でシェアを伸ばしていることは頷ける。


俯瞰撮影に便利に使える
さて、ここからは筆者がこの三脚に注目した点を使い方を踏まえていくつか紹介したいと思う。
まずはセンターポールのレベリング構造を活かした俯瞰撮影。雲台でのカメラワークを要さない撮影なら、センターポールを斜めに突き出して俯瞰撮影の補助として使うことができる。他社製でセンターポールを水平に差し替えられるものがあるが、脚の長さが足りず充分な高さが稼げなかった。本製品であれば、充分な突き出しと高さで撮影することができるので「ちょうど良い」使い方ができるうえに、斜俯瞰の場合も突き出し距離の分だけ自身の脚が邪魔にならず撮影できるので、自由にカメラアングルを探ることができる。
第二にセンターポールの逆さ付け。センターポールの抜け落ちのロックを解除すれば、簡単に上下の逆さ付けができる。これにより開脚側に雲台を付けることができ、思い切ったローアングル撮影が可能になる。ショートセンターポールを利用してローアングル撮影をする方法もあるが、この方法ならレンズ高を地面ギリギリまで下げることができるので、従来の三脚では難しかったアングルで撮影ができる。
センターポールのレベリング構造を活かして俯瞰撮影

ショートセンターポール


極端なローアングルでも
ちなみに開脚と伸長を組み合わせれば、逆さのまま多少のカメラワークも可能。これもセンターポール基部でレベリングできる本製品ならではの使い方。従来であれば、カメラワークを犠牲にして地面に直置きしていたが、この三脚と組み合わせれば雲台によるカメラワークもでき、従来難しかったアングルでの撮影が容易に実現できそうだ。これだけ見ても応用次第で他にも様々な使い方ができそうな本製品だが、まだまだ応用的なカメラアングルやワークを探せそうだ。
「どれを持って行こうか迷ったら、取りあえずこれ一本」と言える製品ではないだろうか。
このローアングルでカメラワークが可能になる


石突き部分


●VIDEO SALON 2024年7月号より転載
