映像業界に向けてLeofotoが満を持して展開する「FHシリーズ」。今回はその第一弾「FH-10」をピックアップ!
レポート:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION)
——————————–
暗闇から光を取り出して魅せる日本で唯一のナイトカメラマン。世界各地の夜の絶景をフィールドに
ネイチャードキュメンタリー番組やCMなどの特殊撮影を数多く手掛ける。
——————————–
協力:レオフォトジャパン
香港にほど近い中山市に本社を置くLeofoto は、スチル用三脚メーカーとして2014 年に誕生した中国ブランド。現地工場は多くのマシニングセンターを導入しアルミ部材からの削り出し加工による高精度で素早い商品展開が注目されている。近年は映像用の製品にも注力。国内ではワイドトレード(https://widetrade.jp/leofoto/)が総代理店として製品の販売・保守サービス(並行輸入品は対象外)を行なっている。
[主な仕様]
ボール径:75mm
重量:1.7kg
耐荷重域:2〜8kg
カウンターバランス:8段階
ドラッグ数:3段階およびフリー
チルト角度:+90°から-70°
温度範囲:-30℃から+60℃
プレート:アルカスイス互換(PLA130D付属)
希望小売価格:89,760円(税込)
映像業界向け新シリーズ
魅力的なスペックと価格に見合った高品質な製品展開でフォトグラファーからの圧倒的な支持を得ているLeofoto。その人気ブランドがInter BEE 2023への初出展で映像業界に向けた新製品開発を強く打ち出したのは記憶に新しい。
これまでもBVシリーズというビデオヘッドのラインナップを持っていたが、主なターゲットは野鳥や航空機など超望遠レンズでの撮影が必須なフォトグラファー。トルクユニットに粘性の高いグリスを採用したオイルフリュード機構のため、本格的な映像制作用としては物足りなさもあった。
新たなラインナップ「FHシリーズ」は、Leofotoが満を持して映像業界に向けて展開する新シリーズ。その第一弾「FH-10」がいよいよ登場する。
新開発ビデオヘッドFH-10
75mmフルードビデオヘッド「FH-10」の開発にあたってはベンチマークとなるプロ機器を徹底的に研究、そこにLeofotoならではの味付けを施し製品化にこぎつけたという。軽量化が図られた樹脂製の筐体はわずか1.7kg。最大8kgまでのカメラ&リグをサポートする。8段階のカウンターバランス機構を備え、ミラーレスカメラからハンドヘルドカメラまで幅広い制作用カメラに対応する使い勝手の良いヘッドだ。
寒暖差に左右されにくい金属クラッチユニットを採用した3段階調整のドラッグ機構により、多くのシチュエーションで理想的なカメラワークを実現する。強いフリクション設定を搭載したヘッドは特に極低速の繊細なパンニングがやりやすい。例えばFH-10の[3]はザハトラーのFSB8の最大トルク[5]に近い味付けで好印象だ。なお、試作機ではドラッグの段数によってクリアランスにバラつきを感じたが、しっかり追い込んだものになることを期待したい。
ミラーレスやデジに最適
カウンターバランスは搭載機材の総重量だけでなく重心高も大きく影響する。例えばソニーの小型シネマカメラFX3では、カメラ上部に外部モニターを接続するなど重心を上げるだけでバランス範囲を広げることができる。ちなみに筆者が8K番組のロケでよく利用する縦グリップ一体型のニコンZ 9にLeofotoのロングレンズサポート「VR-250KIT」を装着したZ 70-200mm f/2.8 VR Sとの組み合わせでは、カウンターバランス[2]でちょうど良いイメージだった。
カウンターバランスとカメラと組み合わせ例
ニコンのZ9にロングレンズサポート「VR-250KIT」を装着したZ 70-200mm f/2.8 VR Sとの組み合わせでは、カウンターバランス[2]でバランスがとれた。
アルカスイス互換を採用
映像業界でビデオヘッドのクイックリリースシステムといえばマンフロット規格が一般的だが、「FH-10」はミラーレス一眼や小型シネマカメラの運用を意識し、写真業界で世界標準となっているアルカスイス互換を採用することで差別化を図っている。アルカスイス互換はメーカーを超えて様々なプレートやクランプを組み合わせることができる高い汎用性をもつ規格だ。市場は圧倒的なコストパフォーマンスとユニークなアイディアの製品で溢れており、動画ユーザーがアルカスイス互換へ乗り換えるモチベーションにもつながっている。
フォトグラファーへの全方位戦略で成功を収めてきたブランドが次に狙うは、プロユースの映像制作用ラインナップの充実。フォトアイテムだけでないLeofotoの新たな魅力と可能性に期待が高まる。
FH-10の構造と機能
●VIDEO SALON 2024年6月号より転載