【ライブ配信 関連記事】毎週木曜日夜にアドビ本社から配信される人気番組「Creative Cloud道場」の舞台裏に潜入!


毎週木曜日の夜8時からアドビからライブ配信されているCreative Cloud道場。エヴァンジェリストの仲尾毅さん(画面右から3人目)をホストに、CCの最新情報やクリエイターをゲストに迎えて話を伺ったりと、バラエティ豊かな構成で、人気番組になっている。どんな環境で配信しているのか、その舞台裏を取材した。

ビデオサロン2020年1月号付録より転載

取材当日(11月12日)の配信映像より。



毎週楽しみに見るテレビ番組があるように、ライブ配信も週1回に決まった時間に放送されるというパターンがある。視聴者はそれを見るのが習慣になってくるというのが強みだ。アドビがAdobe Blogのなかでもう300回近く配信してきたCreative Cloud道場(以下CC道場)もそんな性格の配信番組だろう。

エヴァンジェリストの仲尾毅さんをホストに、CCの最新情報やCCを使うクリエイターを招いてのトーク番組であり、アドビらしいのが、フル画面で表示されるメイン画像がPCからの映像だということ。人物はサブ的にグリーンバックの合成で登場する。

現在でこそ番組の体裁がととのっているが、アドビくらいの会社であってもスタートの2013年1月は小さく始めている。当時はまだUstreamがメインだったライブ配信の黎明期。ほぼ仲尾さん一人で、カメラ2台とPC2台、スイッチャーを入れて、セレボのエンコーダーで配信していた。カメラ操作も自分でズーム、パンをしていたそうだ。

途中から現在Adobe XD製品担当の轟さんがディレクター的に加わってからは、番組の体裁が整い出す。まず時間管理をきっちりしようということになった。たしかに視聴する側も何時に始まり何時に終わるかが見えていたほうが予定を立てやすいし、習慣化しやすい。

機材も徐々に揃ってきた。ただし現在でも専用スタジオとして常設されているわけではなく、社内にある会議室の一つを木曜日の夕方から使用する。これなら多くの会社でも真似ができそうだ。

今回の取材はAdobe MAX直後ということもあり、レギュラーの木曜日ではなく、11月12日から14日の3日間連続放送というタイミングでお伺いした(取材は12日)。

当日17:30くらいに会議室の状態を見せていただく。本当に社内の打ち合わせ用会議室だ。ただし1面はグリーンバックになっていて、モニターの後ろには機材が置かれていた。スイッチャー、配信用のMac Pro、カメラ、ライト、マイクなどをセッティングしていく。そのうち手伝ってくれる学生スタッフさんがやって来て、セッティングを手伝う。いつもはインターンとして参加してくれる学生が4、5人いて、ライブ配信そのものは2、3人で回すことが多いそうだが、今日はなんと1人。仲尾さん、轟さんは出演しているので、裏方はホントに1人ということになる。

カメラは2台を据え置き。面白いのはテレビ番組風にクロスに撮るのではなく、左のカメラは左側のゲストを撮影し、右のカメラは右側のホストを撮影していること(カメラの向きは平行)。スタジオはもっと引きがある広いスペースだと思っていたが、  4、5人が並んでいるカットは2つのカメラの合成だったのだ! だから人物が背景の情報を隠してしまうようだったら、1カメの人物を消したり、サイズを変えたりできるというわけ。メインはあくまでPC画像。でもPinPではなく、人物をキリヌキ配置するこのスタイルはCC道場に合っている。

マイク選びも他にないものだった。オーディオテクニカのコンデンサーマイクをテーブルの両端に置く。以前はワイヤレスを使ったりしていたそうだが、出演者の出入りが多く、音声を管理するスタッフもいないので、この方法に変えたそうだ。やや部屋鳴りはするが、聞き取れるし、実用上問題ない。実はこれは本国の配信で採用しているマイクと手法をそのまま真似したという。

スイッチャーの使い方も独特。ローランドVR-50HDにHDMIに4入力とXLR音声入力の2chが入っていた。つまり全員分のPCの切り替えと音声のレベル管理を任せ、2つのカメラの入力はUltraStudioのMini RecorderでThunderboltに変換して、Mac Proに入力。合成、テロップ入れ、スイッチングなどの作業は配信ソフトのWirecast上で行なっていた。

番組は約1時間。配信はYouTube LiveとFacebook。YouTuve Liveは「限定公開」で配信し、トラブルがなければ頭部分を切って「公開」にする。Adobe BlogのページはYouTuve Liveが埋め込まれていて、右カラムにTwitterのタイムラインが出るようになっている。このインタラクティブ性が財産になる。苦労しながらも配信番組を自分たちで手がけるのは、マーケティング的な部分を社員自らが学ぶことができるから。今後はライブでの視聴者をさらに増やしていきたいと仲尾さんは言う。

 

社内の会議室から配信スタジオへ変更

▲本当に社内の会議室。番組を見て想像していたよりも狭かった(引きがなかった)。5時くらいからセッティングを開始する。


▲配信スタジオにチェンジ中。グリーンバックはそのまま。一番奥にスイッチャーと配信機材が載ったテーブルがある。

▲演者側から見たところ。素材としては演者のPCやタブレットから出力されるものがメインになるのがCC道場らしいところ。


▲カメラはキヤノンのXF105が2台。このサイズでSDI出力がある。この2台で左側のゲスト側と右側のホスト側を別々に撮影する。


▲マイクはオーディオテクニカのAT2020をテーブルの左右に置く。本国の配信で使っているのを見て真似をしたという。


▲スイッチャーはローランドのVR-50HD。ここに入力されるのはPCからのHDMIとマイクの2ch音声。2台のカメラとスイッチャーのSDI出力はUltraStudio Mini RecorderによりThunderbolt2に変換されて、Mac Proに入る。クロマキー合成、テロップ、配信はWirecastで行う。

 


▲本番直前のリハーサル。Adobe MAXの特別会ということで、今回のゲストはアドビの製品担当者。縦に配置したモニターにはTwitterのタイムラインが表示される。

▲テロップやロゴ、キービジュアルなどは事前にAdobe XDで作ったものを用意しておき、それをWirecastで利用する。

 


▲Thuderbolt2入力が6系統あるMac Proが大半の処理を行うので、強制空冷している。ローランドのスイッチャーで切り替えたPCの画とカメラ2台はUltraStudio Mini Recorder経由でMac Proに入力される。

 


▲当日のおおまかな進行については、リアルタイムで共同作業できるDropbox Paperで共有する。

 

▲左側の二人と右側の二人は別のカメラで撮られて背景画とクロマキー合成されているので、それぞれのカメラ画像のサイズを変えて位置移動したり、背景画像の邪魔なら消すことができる。

 

VIDEOSALON 2020年1月号より転載