【ライブ配信 関連記事】ライブストリーム機器のゲームチェンジャーか!? 3万円台スイッチャーATEM Miniをギュイーントクガワさんが試す


インターネットでのライブ配信に興味があったギュイーンさん、ATEM Miniならできそうですか?

 

ビデオサロン2020年1月号付録より転載

 

▲ゲーム配信時用の画面を作ってみた。グリーンバックで背景を透過したカメラ映像をゲームの画面に合成。臨場感のある配信ができそうだ。

 

ブラックマジックデザインから2019年11月に発売された「ATEM Mini」。メーカーからサンプル機をお借りして一か月ほど使い込んだので、簡単な解説とレビューをさせていただきます。

「ATEM(エーテム)」といえば同社のライブプロダクションスイッチャーシリーズにつけられている名称です。こちらはそのATEMの「Mini」ということで、放送業界向けの本格的な機能をコンパクトな筐体に詰め込み、エントリーユーザーにむけてリリースされたもの、ということでしょうか。

このATEM Miniで何ができるようになるのか、機能を簡単にまとめると、

①一眼デジタルカメラやゲーム機等のHDMI信号を4つまで入力し、リアルタイムでスイッチングできる。

②なめらかなディゾルブやピクチャーインピクチャー、クロマキー等、様々なエフェクトを使って映像・音声をミキシングできる。

③USBケーブル一本でPCに映像をキャプチャーできる。

ということになります。いかがでしょうか? 放送機器や映像に詳しい方なら、上記の仕事を一台でまかなえる機材、と聞くと、だいたいの金額感が頭に浮かぶと思いますが、なんとこの機材、メーカー希望小売価格35,980円(税抜)なんです。これまで様々なメーカーがどう頑張っても超えられなかった10万円のラインをぶっちぎりで下回ってきました。安すぎる!! びっくりですよね(笑)これなら僕らのようなホビーユーザーにも手が届きます。

▲YouTube Live配信時の機材セッティングの例。ゲーム機(PLAYSTATION 4)をINPUT1に、INPUT2~4にカメラ1~3を接続。WEBCAM OUTからUSBケーブルでPCへ。これで各ソースをPCのライブ配信ソフトへキャプチャーすることができる。HDMI入力は、そのソースの解像度やフレームレートを気にする必要はなく、接続すれば自動で信号を判別してスケーリングしてくれる。特別な知識を必要としない親切設計だ。

 

普段YouTubeというプラットフォームで活動する僕の使いみちとしては、やはりライブ配信です。ATEM Miniを使うと、一眼デジカメを複数台使った非常に高品質な生放送が可能になります。入力したいHDMI機器を各チャンネルに接続し、USBケーブルでPCと接続するという、非常にシンプルなセッティングです。対応するボタンをポチポチと押すことで、映像をリアルタイムで切り替えながら配信をすることができます。

また、2つのMIC INPUTはそれぞれステレオ音声の入力ができるようになっています。内部でゲインレベルを切り替えることもできるので、マイクだけでなく、シンセサイザーやアナログオーディオミキサー等、LINEレベルの入力も可能です。マイク入力を含めた各チャンネルのオーディオのON/OFF、ボリューム調整は、本体のボタンで簡単にコントロールすることができます。

付属のPCアプリケーション「ATEM Software Contoroll」を使うと、さらに細かいセッティングが可能になります。HDMI OUTのソースを選択できたり、オーディオミキサーをフェーダーで細かく調整したり。コンプレッサーなどのオーディオエフェクトもここで使えるようになっています。

PinP(ピクチャーインピクチャー)やクロマキーのセッティング等も、このソフト上で行います。ゲーム配信用にグリーンバックを使ったクロマキー合成をしてみましたが、性能がとても良く、適当な緑の布をつるした簡易的なものでも、きれいに背景を透過することができました。

他にも、ライブ配信時に便利に使える機能が充実しています。静止画を登録しておき、ボタン一発で画面に表示させる「スチル」機能は、ライブ配信のオープニングやエンディングにピッタリです。また、スイッチャーの操作を記録して再生するというような簡単なマクロ機能もあるので、配信中に一定間隔でカメラをオート切り替え、というような凝った使い方もできます。エントリー機とは思えない機能の充実っぷりです。これが4万円弱で買えるなんて、いい時代になったものですね(笑)。僕は以前からインターネットでのライブ配信に興味があり、ライブスイッチャーやHDMIキャプチャーデバイスといったような機材には結構お金を使ってきました。それぞれ決してお値段は安くなく、そして取り扱いも難しいというもので、大枚をはたいて手に入れたのはいいがうまく使いこなせない、という長い冬を過ごしてきたものです(笑)。僕と同じような思いをしている方がどれほどいるのかはわかりませんが、とにかく「やっと来てくれたか!」という感じです。

ブラックマジックデザインの機材は、なにか新しいモノが出るたびに「〇〇界のゲームチェンジャーだ!」と言われているような気がしますが、このATEM Miniもまさにライブ配信機材のゲームチェンジャーでしょう。これで高品質なマルチカム配信が誰にでもできるような時代がやってくるのではないでしょうか。ライブ配信によるコミュニケーションが一気にポピュラーになってしまいそうですね。

 

付属のPCアプリケーション「ATEM Software Contoroll」を使う

▲HDMI OUTから出力される映像は、初期設定ではプログラムアウト(ATEM Mini内部での処理の結果を出力する)となっているが、ここはPCの専用アプリケーション「ATEM Software Contoroll」でソースを選択することができる。特にINPUT1は「Camera 1 Direct」が選択できるようになっており、ATEM Mini本体の処理をスルーした、遅延のない映像を別のディスプレイに出力させることができる。したがって、ゲーム機はINPUT 1に接続するのが良いだろう。タイミングのシビアなゲームをプレイするときに必須の機能だ。


▲ATEM Software Controllを使って細かなセッティングが可能。PinPのマスク処理やオーバーレイのサイズ・位置、クロマキーの調整はここで行う。

▲オーディオミキサーの画面。フェーダーによるボリューム調整、パンニング調整が可能なのはもちろん、グラフィックEQやコンプレッサーなども搭載。オーディオまわりの処理機能もかなり充実している。

 

 

VIDEOSALON 2020年1月号より転載