初心者が話題のマイクロドローンを組み立ててみた


『オンナノコズ』PVを見た時、このマイクロドローンで自分もこんな動画を撮ってみたい…そう思った。しかし、発売元のep-modelsでは品切れの状況が続いていた。そんななか千葉県でマイクロドローンを含めた各種ドローンの練習場やショップなどを運営するDRONE★VILLAGEがこの機体の組み立てワークショップを行うと聞きつけた。今回は筆者と編集者ともに自腹でこのイベントに参加してきたので、組み立て体験の模様をレポートする。

レポート●青山祐介/構成●編集部

 

『オンナノコズ』の撮影に使われたことで一躍脚光を浴びたマイクロドローン。シネマレイの増田勝彦さんが撮影でも実際に使用したのが「Nano Vespa80HD DVR Drone」だ。同機は兵庫県のラジコンショップ・ep-modelsで完成機を販売しているが、今回、千葉県八千代市のDRONE★VILLAGEで開催されたワークショップでは、同じパーツを揃えたキットを自分の手で組み立てるというもの。実際に組み立てを経験することで、機体の故障やトラブルでも自分で対処することができるようになるという。

定員10名の参加者は、普段からレースドローンを飛ばしている人からDJI製の空撮機しか飛ばしたことがないという人までさまざま。ワークショップは作業手順の説明の後は、各自のペースで組み立てていく。ステップごとにDRONE★VILLAGEの古舘さんがチェックしながら進めていくため、初心者でも安心して取り組める。

ワークショップ参加にあたり機体のキットは用意されているものの、はんだごてやワイヤーストリッパーをはじめとする工具は自分で揃える必要がある。特に基板の小さな接点にモーターなどのケーブルを配線するには、こて先の細いはんだごてが欠かせない。また、細かい作業となるだけにピンセットは必須で、必要に応じてルーペなどもあるといい。

朝10時から始まったワークショップは、参加者によってペースは違うが、ほとんどの参加者が夕方までに正しくローターが回る、というところまでたどり着けた。

 

DRONE★VILLAGEで行われたワークショップの模様

9月29日にDRONE★VILLAGEで行われたワークショップ「大人の工作教室」に編集部とライター2名で自腹参加。冒頭に講師の古舘さんが撮影した組み立て手順の動画を見ながら、全体の流れを解説。その後は、実際の組み立てに入り、工程ごとに組み立てをアシストしてくれた。

 

『オンナノコズマイクロドローン』ことNano Vespa80HD DVR Droneの組み立て工程

STEP1  フレームを面取りする


▲カーボン製のフレームのエッジで、指先や バッテリーを固定するゴムが切れないように 棒ヤスリで面取りする。

 

STEP2  コネクターに配線を取り付ける


▲バッテリーを取り付けるコネクター(XT30)と配線をはんだ付け。赤いコードはコネクターの+極、黒はー極に取り付ける。配線のカットはワイヤーストリッパーを使うと便利。


▲コネクターとケーブルの接続部には熱収縮チューブを通し、燃えないように注意しながらライターであぶってシュリンクする。

 

STEP3  ESCの基盤に先程作ったケーブルを取り付ける


▲ESCの+極にバッテリーケーブルの赤、−極に黒を配線。赤いケーブルは短くして基板と並行に配線する。


▲ESCの基板にバッテリーケーブルを取り付ける。端子と被覆をむいたケーブルの芯線の両方にはんだを乗せて(予備はんだ)、両者をあてがい温めてはんだ付けするのが基本。

 

STEP4  ESCのモータータブに予備はんだ


▲ESC基板の両側に並ぶ6つの端子に予備はんだする。6つのうちひとつはすぐ脇にチップ部品があり、はんだでショートさせないように注意。

 

STEP5  ESCの基板をフレームに取り付ける


▲フレームにネジを通して、その上にOリングを配置。そして、ESCの基盤を載せる。それぞれのネジにナットを通して手締めで固定する。

 

STEP6  モーターの下準備


▲モーターのケーブルをそれぞれ5cmの長さに切る。ワイヤーストリッパーで被覆をむいて芯線を出し、配線にそれぞれ予備はんだも盛る。

 

STEP7 フレームにモーターを仮止め


▲ESCへの配線作業のために、フレームにモーターを仮止めする。モーターはケーブルがフレームに沿う向きに固定。あくまでも仮止めなのでネジ2本で取り付けるだけでいい。

 

STEP8  モーターの配線をESCにはんだづけ

▲モーターの3本のケーブルをESCの端子に写真のような順番で配線する。くれぐれも順番を間違えないように。

 

STEP9  受信機のアンテナを強化


▲グルーガンを使ってホットボンドを受信機のアンテナ端子に盛って、アンテナがぐらつかないように対策する。

 

STEP10  受信機にフライトコントローラー(FC)とつなぐための配線をはんだ付け

▲RunCam Split Mini(カメラモジュール)の付属ケーブルを使って、受信機とFCを結ぶ配線を作成。前の手順同様にケーブル、基板の端子それぞれに予備はんだしておいた上ではんだ付けする。3本のケーブルはあらかじめねじっておくと見た目にもスマートだ。

 

STEP11  VTXの使わない配線を切る

▲VTX(映像送信機)のカメラ側の使わない配線をカットする(コネクタもカットしてOK)。根本は被覆も残しておいたほうがショートの危険性が低くなる。これも受信機同様に残った3本の配線をねじってまとめておく。

 

STEP12  受信機とVTXをテープで貼り合わせる


▲両面テープでVTXと受信機を貼り合わせる。受信機のバインドボタン(プロポと接続するためのもの)が表に出るように貼り付ける。

 

STEP13  受信機とVTXをフレームに取り付ける

▲貼り合わせた2枚の基板ののうちフレーム側と六角ステー側に接する2面に両面テープを貼る。ステーを取り付け、ネジでフレームと固定する。フレームの前方2ヶ所にもネジで六角ステーを取り付けておく。

 

STEP14  FCに予備はんだ


▲フライトコントローラー(FC)の基板で、VTX(赤枠)とカメラ(青枠)を接続する端子に予備はんだをしておく。

 

STEP15  ブザーを取り付ける


▲ブザーから出ている2本の足を上写真のように折り曲げる。折り曲げた足を基板の穴に挿して、裏側からはんだ付けする。

 

STEP16  FCに配線


▲予備はんだしておいたフライトコントローラー基板の端子に、カメラからのケーブルをはんだ付けする。

 

STEP17  カメラのステーをフレームに取り付ける


▲カメラステーのネジ穴にゴムグロメットを取り付け、タッピングビスでフレームに固定する。ビスの緩み防止に裏側には接着剤を流しておく。

 

●STEP18 FCと受信機を配線

▲FCをネジに通してフレームに乗せてナットで固定。受信機とVTXそれぞれの配線を最小限の長さに切る。ケーブルと基板の端子の両方に予備はんだをして、合計6本のケーブルを配線する。

 

●STEP19 カメラモジュールを取り付ける

▲RunCam Split Mini(カメラモジュール)はカメラ部とmicroSDやUSB端子のある記録部の2枚の基板からなる(最新モデルのRunCam Split Mini2の基板は1枚)。カメラ基板をFC基板の上に乗せ、さらにその上に記録部の基板を重ねて、ナットで固定する。

 

 

●STEP20 カメラとFCを配線

▲STEP16で取り付けたFCから伸びるケーブルを、カメラモジュールの記録部基板の端子にはんだ付けする。

 

●STEP21 カメラをステーに固定する

▲RuncamのカメラをSTEP17で取り付けたカメラステーに固定する。

 

●STEP22 プロペラガードを取り付ける


▲仮止めしておいたモーターを一度取り外し、プロペラガードをフレームとモーターの間に挟んで3本のネジを使って再び固定する。

●STEP23 アッパーデッキを取り付ける


▲アッパーデッキ後端の穴にゴムグロメットを取り付け、そこにアンテナを通してからVTXの端子に接続。同時にアッパーデッキを3本のネジでシャシー側の3本の六角ステーに固定する。

 

●STEP24 プロペラを取り付ける

▲プロペラにはCW(時計回り)とCCW(反時計回り)があるので取り付け位置に注意してモーターに取り付ける。プロペラを押し込むだけだが、シャフトにごく少量の瞬間接着剤を付けて緩め止めにするといい。


▲バッテリーは本体底面にゴムで取り付ける。機体の組み立てとしてはこれで完成。あとはプロポとのバインド・BETAFIGHTというソフトで飛行させるための設定が必要になる。

 

組み立てることで仕組みがわかる

組み立てはESC、FC、受信機、VTX、カメラをそれぞれ配線しながら順にフレームに取り付けていく。ポイントはいかに配線を間違わずに基板の接点にはんだ付けできるかに尽きる。実際に筆者と編集者の二人は、持参のはんだが思うように溶けず、端子とケーブルのはんだ付けに苦戦。はんだごてやはんだ選びも大事だと痛感した。

もうひとつ戸惑ったのが配線だ。4つのモーターそれぞれから出る3本のケーブルに加え、受信機、VTX、カメラとFCを結ぶケーブルと配線は多い。黒、赤、黄のケーブルの順番を間違えて、各基板が動作しないということも経験した。

今回、機体を組み立てたからこそわかることもあった。それは例えば、配線は後で絡んだりしないように必要最低限の長さにすることが基本ということや受信機のアンテナ端子のぐらつき防止にホットボンドを盛るといったこと。

結局、筆者と編集者の二人は朝から夜7時まで作業して、配線の間違いかパーツの故障かで結果としてモーターが回らなかった。しかし、各パーツや基板の配置やそれらがどう配線されているかは、ただ完成機を手に入れただけではわからなかったこと。今後、フライトで機体が故障したときにも、自分でパーツを交換できる自信が付いたワークショップだった。

 

ドローンの組み立てを教えてくれたのは…

古舘佳史 さん

今回、マイクロドローンの組み立てを指導してくれたのはDRONE★VILLAGEの古舘さん。古舘さんはパイロットとして、映像作品のドローン空撮を手がけるほか、インストラクターとしてJUIDAライセンスの講師も務める。

 

古舘さんの一言

組み立ては難しく感じますが、基本的に・電源・アース・信号線で構成されています。その組み合わせが複数あるため、複雑に見えますが、落ち着いて作業すれば大丈夫です。今回、ワークショップを通して感じたことは、はんだの処理に苦戦されている方が多かったです。マイクロドローンはパーツが小さいので、はんだの難易度が高いです。はんだ付けが不安な方はラジオ作成キット等はんだを学べる教材などもおすすめです。

DRONE★VILLAGEとは 


DRONE★VILLAGEは千葉県八千代市にあるドローン練習施設。屋内外にドローン練習コースを備え、JUIDAライセンスの認定講習も実施する。敷地内にはドローン関連のセミナーを行うセミナールームの他、古民家を活かしたマイクロドローン専用コースも整備されている。
WEB●http://dronevillage.co.jp/

 

ビデオSALON2018年12月号より転載