Report⚫︎ 編集部 一柳

ニコンは、2024年10月12日に「ニコンミュージアム」をリニューアルオープンする。「ニコンミュージアム」は、2015年10月にニコン創立100周年プロジェクトの一環として品川インターシティ内に開館され、多くの来場者を集めていたが、このたび、100年以上にわたって拠点を構え、さまざまな製品やサービスを生み出してきたゆかりの地である品川区西大井に本社を移転したのに合わせ、「ニコンミュージアム」を新本社内にオープンさせる。

リニューアルオープンする「ニコンミュージアム」は、100年を超えるニコンの歩みを、「伝統と革新」を象徴する製品や技術、そしてそこに込めた思いをエピソードとともに感じてもらう施設となるという。海外からのインバウンド来場者だけでなく、地域の子供たちに技術に対する興味をもってもらえる場所にしたいと、式典で挨拶した代表取締役の德成 旨亮氏は語った。

オープニングセレモニーは来賓として品川区の森澤恭子区長などを迎えて行われた。

式典で挨拶する代表取締役の德成 旨亮氏。

旧ミュージアムよりも広くなった約670m2の新生「ニコンミュージアム」は、エントランス、インダストリー(BtoB事業)、コンシューマー(BtoC事業)、シアターの4つのゾーンで構成されている。

以下、10月9日に公開された展示内容を、ビデオサロン目線で、個人の感想も交えながら紹介していく。

リニューアルオープン時のニコンミュージアム

エントランスには、左側に1917年からのロゴが順に並ぶ。

コンシューマーゾーンには歴代のカメラが並ぶ。点数は大幅に増えているという。
このところカメラの動画強化が著しいニコンだが、8ミリフィルムカメラ全盛自体にはもちろん8ミリカメラを展開していた。1972年のNikon R8 Super ZoomとR10 Super Zoom。旧ミュージアムにはこの辺りのフィルムカメラはなかった記憶があるので、ニコンのムービーの伝統をアピールし、それが今復活しようとしているというストーリーも込められているのだろうか(個人の想像です)。
興味深いのはジャンルごとに区分けされているのではなく、時代順に並べられていること。こここは1963年から1966年にかけて。スチルカメラとムービーカメラが同列でならんでいる。プロダクトデザインの当時のトレンドを掴むこともできる。
なんとニコンにもビデオカメラが存在した。1982年のカラービデオカメラS-100。もちろん、この時代はVTR一体型ではなく、カメラ部のみで、別途VHSなどのVTRのデッキを肩にかけてカメラとVTRをケーブルで接続して収録する。8ミリフィルムからビデオカメラへの転換点で、デザインもフィルムカメラライクなものになっている。ビデオサロンの創刊はこれよりも少し前になる。一眼レフでいうと1983年のFAの時代だったということだ。
1984年のFG-20。とてもよくできた可愛らしく美しいデザインで、今のZシリーズでZ fcのバリエーションとして登場させると人気が出そうだと思った。
1992年のF90S。個人的に欲しかった…。
デジカメの黎明期にはデザイン的、機構的な様々な挑戦があった。傑作だったのはCOOLPIXのレンズ回転型で収納持ち運びと撮影時アングルを両立できるスタイル。シャープ液晶ビューカムのアイデアではあるが、テープデッキ部がない分、全体にコンパクトになり、筐体もがっちりしていた記憶がある。

大半のモデルはケース内に陳列されているが、一部、手にとれるコーナーがある。実際に稼働するモデルが置かれていた。貴重なモデルなのに大丈夫なのかと心配になる。

ニコンF。そのがっちりとした筐体を握ってみたい。
高級コンパクトカメラブーム時代にニコンが出した35Ti。ブラックボディの28Tiもあった。電源をONにしたときのレンズ繰り出しとこの大きいレンズカバーを動かすタイミングに苦労したと当時設計に関わった担当者が語っていた。たしかにこれほど大きいレンズカバー機構はあまり見たことがない。
特徴的なパネルで針がどのように動くのかも試すことができた。レバーをA(絞り優先)にして、ダイヤルを回すとこの針が動いていく。

長い歴史を持つFマウントコーナー。

1本1本見ていると時を忘れそうになる。ニコンFマウントユーザーであれば思い出のレンズもあるはず。
プロトタイプはさすがにメーカーにしか存在しないもの。

歴代のカタログをタッチパネル操作のモニターで電子版状態で見ることができる。

カタログもメーカーにとっては一つの作品であることがよくわかる。当時の写真、デザイン、センスが、カタログには凝縮されている。

ミュージアムショップ

ここに来て何も買わずに帰るのは難しいだろう。
ニコンようかんも新しいデザインにリニューアルされた!
名称ニコンミュージアム
開館日2024年10月12日(土)
所在地140-8601東京都品川区西大井1-5-20
株式会社ニコン 本社/イノベーションセンター1階
交通案内JR横須賀線、湘南新宿ライン 西大井駅より徒歩約4分
JR京浜東北線、東京臨海高速鉄道りんかい線、東急大井町線 大井町駅より徒歩約12分
東急大井町線 下神明駅より徒歩約10分
開館時間10:00~17:30(最終入館は17:00まで)
休館日月曜日、日曜日、祝日および当館の定める日※土曜日が祝日の場合は休館。※荒天や交通機関の状況などで、休館や開館時間の変更をする場合がある
入館料無料
WEBサイトhttps://www.jp.nikon.com/company/corporate/museum/