本誌読者投稿コーナーViewsやウェビナーにご参加いただいた読者の皆様限定で無料体験モニターを募集。1カ月間、実際に使っていただいた読者の今福彩夏さんにDJIのアクションカメラ・Osmo Action 3の使用感をレポートしてもらいました。

テスト・文●今福彩夏

 

株式会社ai move 代表取締役。1993年生まれ。福岡県北九州市出身。高専で化学を勉強したのち、大阪のガス会社に入社。働き方に違和感を感じ、2年目で退職を決意。退職希望日から1カ月を切ったタイミングで上司に「辞めます」と伝える。 準備や知識ゼロ、知り合いも居ない関⻄の地で、幼い頃に夢見た「プロのカメラマン」として生きていくことに挑戦。 2016年8月に映像制作事業とメインに ai move(アイムーヴ)を開業。2021年1月に法人化。退職金で購入した機材と共に少しずつ道を開き、現在では国内だけでなく、海外でも28ヵ国で撮影を実施。「映像」をツールに「繋ぐ」ことを意識した制作を実施し、ドキュメンタリー調の映像を得意としてプロモーション制作などを手がけている。

 

Osmo Action 3を海外ロケで使用

今回、ミュージシャンのヨーロッパツアー撮影にてOsmo Action 3を使用させていただいた。海外での撮影でできるだけ身軽にしたい、またキャラバンでの生活がメインとなるため、充電環境なども限られている中、どこまで活用できるか試してみた。元々、初代のOsmo Actionも所有していたので、比較も合わせながらレビューしていきたいと思う。今回の撮影ではアドベンチャーコンボをメインに使用した。

 

 

■外観について

Osmo Action 2ではデザインが一新されていたが、再び初代と同じタイプのデザインになっていた。

 

サイズ的には初代と比べるとひとまわり大きく、少し重くなったが、ポケットなどに入るサイズには変わりなく、カバンの隙間に入るので荷物が多くなりがちな撮影でも気兼ねなく持ってまわることができた。

 

バッテリーやUSB端子部分の蓋の作りは、閉まった時のカチッと感が強くなり、中途半端な状態での使用による水濡れの可能性は低くなったと感じる。初代に関しては特にバッテリー部分に爪が2カ所あるのだが、締まり方が中途半端になってしまうことが多々あり、その状態でも電源が入ってしまうので、気づかず水中に浸けてしまい水没させてしまったことが過去に2回ほどある(幸い、数日乾かしたら動いた)。

ロックが掛かっていないことをわかりやすく教えてくれるオレンジのラインもバッテリー部とUSB端子部と両方に入ったことで、私のようなミスでの水没はかなり減るのではないかと感じる。

▲初代OSMO Actionはこのような形でバッテリーの蓋が片方だけ締まらないことが多々あった

 

 

カメラを衝撃から守るための純正カバーについては、慣れるまで着脱が難しかったのと、カバーを取り付けるとバッテリー部の蓋の開閉ができなくなるので、バッテリーやSDカードの交換の際に少し煩わしさを感じた。これに関しては初代も同様であったため、サードパーティー製を上手く取り入れることでさらに使用感が向上するかと思う。

 

液晶モニターの視認性は初代と比べて向上していた

また、本体サイズは変わったがモニターの表示サイズはほぼ変わらず。しかし、大きな違いはモニターの輝度が初代と比べて各段に上がっており、天気の良い屋外でもモニターの見づらさを感じることはなかった。モニターに表示される文字のフォントの太さなども以前より太くなっており、視認性は大きく向上していると感じた。

また、前面のモニターもタッチパネル式になったことで、画面の切り替えもスムーズになり、セルフィーの際の設定もかなりスムーズに調整できるようになっていると感じた。今回セルフィーでの撮影はしなかったが、背面モニターが確認できない壁面ギリギリからの撮影でも前面モニターに切り替えて画角や明るさを確認してから撮影することもでき、前面モニターの存在はセルフィー以外にも活用できると感じた。

 

3本のバッテリーを収納できるバッテリーケース

新たに採用されているバッテリーケースは、個人的にとても気に入っている。まずは、使用したバッテリーが一目でわかる点。撮影時、バタバタすることが多く、使用したバッテリーと未使用のバッテリーの見分けをつけるための作業(違うケースに入れたり、養生テープで目印をつけたり)が疎かになってしまうことがあるが、ケースのランプを見れば、使ったかどうかが一目瞭然でわかるので気にする必要がない。

▲Osmo Action 3のバッテリーケース
▲初代Osmo Actionのバッテリーケース(バッテリーケースを開くとフルとエンプティのマークがある)

初代のバッテリーケースはプラスチック製で、バッテリーマーク(フルとエンプティ)があり、バッテリーを収納する際に、端子の向きをマークにあわせて収納することで、そのバッテリーを使用済みかどうかを判断していた。Osmo Action 3では充電の際もわざわざ充電用のアダプターを用意する必要がなく、ケースに直接USBケーブル(タイプC)を繋ぐだけなのは、荷物も嵩張らずにとてもありがたかった。また、バッテリーを入れた状態でモバイルバッテリーのような使い方もできる。欲をいえば、ケース自体を充電式にして、電源がない場所でもバッテリーを収納したら充電できるような形になると、長時間の屋外撮影でも安心だと感じた。

▲Osmo Action 3のケース。側面に充電・給電用のUSB-C端子を備える

 

▲左が初代、右がOsmo Action 3のバッテリー

 

 

しかしながら、バッテリー容量も1300mAhから1770mAhに増えており、コンサート中のサブカメラとして1時間以上RECしてもバッテリー交換なしで問題なく撮影できた。長時間連続RECなどする必要がなければ、旅行中の撮影などでも手持ちの3本(もしくは1本でも)充分に安心して撮影できると思う(メーカ値では1本で160分駆動可能)。

▲コンサート中、観客込みの広い画角を撮るためにサブカメラとして使用した

 

 

HorizonSteadyという新機能に感動!

今回、Osmo Action3を使って最も感動したのは、スタビライズ機能。「アクションカム=手ブレしづらい」というイメージはもちろんあったが、最近はiPhoneなども手ブレ補正機能が向上し、防水機能や広角レンズまでついてきているので、正直、iPhoneでいいのではないか?と思うことが多々あった。実際に初代Osmo Actionの使用頻度は落ちてきていた。

今回のOsmo Action3に関しても、手ブレ補正機能に期待はしていなかったが、実際に使ってみて、これだけでも価値があるのではないかと思えるほど進化していた。以前からある「RockSteady」機能についても、バージョンアップされており、初代と並べて動かしても明らかにスタビライズ機能が強化されており、ナチュラルに手ブレを補正してくれていた。さらに感動的な機能が「HorizonSteady」という新機能。どういう機能なのかと思いながら使ってみて驚いた。本体を斜めに傾けても、画面は水平のまま保たれるのである。4K撮影の場合は±45°まで、2.7Kまでの場合は90°傾けても、画面の中の映像は水平が保たれている。もはや、どういう仕組みになっているのか全くわからない。

▲HorizonSteady±45°使用時。カメラをこれだけ傾けても映像は水平を保って撮影できている

 

歩きながら人物撮影をする場合など、周りの交通状況や被写体との会話などもしながらになると画面を注視できないので、手ブレや画面の傾きが発生してしまうこと多々ある。もちろん通常使っているミラーレス一眼などに、そんな機能はないので、あとから素材を見返すと、画面が微妙に斜めになったままといったこともある。この機能を使えば、ノールックになってしまう場合でも、水平を保ちつつ、さらには手ブレも抑えてくれるという画期的な機能は、さすがDJIの製品だなと感じた。

 

 

今回、ツアー中に欧州で電動キックボートで街中を移動したのだが、この「HorizonBalancing」が多いに役立った。トルコは道がかなり悪く、段差や石畳もあるので、片手運転をするわけにもいかず、ハンドルを持ちながらカメラを挟んだままライドするという強行作戦をしたのだが、この機能のおかげで、カメラが斜めになったり路面が悪くても奇跡的に安定した映像を撮ることができた。

 

メインでつかっていたGH6を持って乗ることは確実に無理だったため、このOSMO Action3が思いがけないシーンで役立った。日本でキックボードに乗ることは少ないかもしれないが、自転車やバイク、スポーツなどのアクティビティをするときには間違いなく活躍する機能だと思う。

 

HorizonBalancingをON/OFFして手ブレ補正検証した動画

 

オートだけでなくISO、シャッタースピードをマニュアルで設定できる

また、操作性に関しても幅広い人が使用できる形になっている。PROモードのON/OFFがあり、OFFの状態では細かい調整をすることができずフルオートの状態で、スマホ感覚でカメラの知識がない人でも使用できる。露出やホワイトバランス、音などの設定を触りたい場合は、プロモードをONにする。普段からカメラを使っている人であれば、常時ONで問題ない。

 

初代のISO感度は最大3200で暗所での撮影がかなり難しかったのだが、12800まで感度が上がっているため、夜間や光量の少ない場所でも撮影が可能になった(もちろんノイズはしっかりと乗るが)。オートはEV値と最大のISO値を決めるという方法で、初代から変わりはないが、マニュアルでの調整方法に少し追加があった。

従来と同様に、シャッタースピードとISO値を好きなように決めて撮ることももちろんできるが、シャッタースピードとEV値を希望値に設定し、ISOはオート(上限設定可能)という形でのマニュアル設定が可能になったため、屋外と屋内を行ったり来たりする場合や、屋外でも日陰の箇所がある場合など、都度ISO値を調整するのが難しいシーンでもシャッタースピードは固定で、ISO値で明るさを調整してくれるので非常に便利だと感じた。

視野角についてはHorizonBalancing機能をONにしていると標準画角しか撮影することはできないが、OFFにすると超広角での撮影が可能になる。超広角の画角をベースにクロップした形で標準画角がつくられているため、こうして比較すると超広角の方が更に解像感が高いことがわかる。座っている人ひとり分が見えるくらい画角は広くなるが、歪みが強いためこの画角の使用シーンや頻度は限られてくると思う。

 

▲HorizonBalancing ON
▲HorizonBalancing OFF

 

音声収録は指向性も選べる

音声については、指向性も選ぶことができるようになっており、BGMや雑音がある店内での撮影を実施した際も、問題なくクリアに音声を拾うことができた。

 

 

アドベンチャーコンボには延長ロッドも

延長ロッドについて、今まではサードパーティの物を使用していたが、今回はアドベンチャーコンボに純正の延長ロッドが付属している。カメラへの装着は通常であれば、三脚穴にねじ込むタイプもしくはアクションカム用のジョイントでつけるという形であるが、純正ではマグネット&ツメでつけるタイプになっていた。

ワンタッチで取り付け・取り外しが可能なので、シーンに応じての使い分けや収納時の作業がとてもスムーズだった。また、カバーをつけると縦位置でも純正スティックが使えるので、SNS用に縦位置動画を撮りたい人にも便利だと思う。

 

 

また、この純正スティックが150cmまで伸ばせるのは意外と便利で、地面から目線の高さまで上げることで三脚代わりにしたり、HorizonBalancing機能と組み合わせて手持ちで動かすことでドローンのようなショットも撮影可能だった。

 

 

 

強いていうならば、このスティックだけで自立させるのは難しいので、三脚スタンドも組み合わせたデザインであればなお便利だと感じた。今回はマンフロットのミニ三脚を使って自立させた。

 

マグネット部分の爪が、片方しか引っかかっていないこともあり、マグネットがあることで歩く程度では落下することはなかったが、激しいアクティビティなどをする際は、注意したい。

 

まとめ

今回1カ月間の使用で、試しきれていない点や機能もあるが、アクションカムとしての性能や操作性、実用性はかなり高いと感じた。スマートフォンやミラーレス一眼などとは全く違う立ち位置であること、またサイズ感や持ち運びの面から考えても、アクティビティだけでなくVlogや旅系の映像を撮る際にも1台あれば重宝すると感じた。

画質のクオリティといった点では、もちろんフルサイズミラーレスなどには負けてしまうが、これだけの機能を兼ね備え、さらにはジンバルをつかったようなカメラワークを手のひらサイズのカメラ1台で手軽に撮影できるのは大きなメリットであると思う。

 

◉DJI Osmo Action 3の製品情報

https://www.dji.com/jp/osmo-action-3