テレビやCM、音楽ライブ、YouTube番組など幅広い現場で照明を手がける榊原亮太さんにPhottix(フォティックス)から発売されたLEDライトNuada(ヌアダ)R4Ⅱを現場に投入して試してもらった。

レポート●榊原亮太

 

最近は中国製のLEDライトが増えてきているが、その進化は目覚ましいものがあります。Phottixから2月に発売になったNuada R4Ⅱをお借りすることになったので、その使用感をレポートしたいと思います。昨今、どのジャンルの映像でも主流になっているLEDライト。どんな機能があるか興味をひかれました。今回は屋内と屋外で撮影する仕事があったため、その現場で使ってみました。

▲灯体は丸型。持ち運び用のケースも付属する

 

形状は丸型。人物撮影において「人物に照射するなら丸型」というのは基本とも言えます。なぜなら目に光が入るキャッチライトで一番最適な光の形は丸だからです。四角いレフ板やカポックで顔を明るくすると、その形が目に映り込んでしまってあまり綺麗には見えません。丸型のライトであれば目の中に星があるようで綺麗に見えてきます。この丸いキャッチライトをつくるために、現場ではカポックを丸く切るなどして対応することもありますが、元々丸型というのは、人物撮影用ライトとしてまずはそれだけで好印象です。

 

 

操作性について

▲電源はVマウントバッテリーのほか、AC/DC電源に対応

 

▲背面下には操作部。ボタンは左肩BLIGHTNESS(輝度)、COLOR TEMP(色温度)、CH/GRPのボタン。右側面に調整用のツマミを配置

 

▲電源スイッチは、上下でACとDCの切り替え。中間でOFF

では、次に操作性を見ていきましょう。調光と色温度は、背面にあるボタンで選択して、右側にあるツマミを回して設定します。スイッチは感度良好でとても使いやすかったのですが、色温度は3200Kから5600Kまでで調整することができますが、最大値から最小値までたくさんツマミを回さなければならず、少し大変でした。個人的には3200K、4000K、5600Kの3つくらいをボタンでプリセットできて、そこからツマミで微調整するような形がとても作業しやすいかなと思いました。付属のリモコンでも光量や色温度は操作できるようでそちらを使うのも手かもしれません。

また、試しにカラーメーターを使って色温度を計測してみると、3200Kと5600Kで測った時に少し表記とズレがあったのですが、これは他社のLEDライトでも出荷時期で色温度が違うことがあるのでPhottixに限ったことではありません。厳密に色温度を合わせたい場合には、カラーメーターを用意し、色温度を変えられるバイカラーライトを購入することをおすすめします。もうひとつ欲を言えば、2700Kから6000Kまで可変できるともっと幅が広がって良いと思いました。

 

光量について

▲今回使用した現場のシチュエーション

 

今回はホール(劇場)のような暗い環境と、日中の屋外で使用してみました。撮影の現場では、色々な照明のパターンを求められることがあります。例えば、現場が学校だったとします。「登校時の朝陽」「日中の授業中」「放課後の教室」「夜の学校」。こうしたシチュエーションを照明で演出していく場合、重要になってくるのが光量の調整です(カメラのISO感度やシャッタースピードは固定とする)。

R4Ⅱのライトは明るさを調光できるツマミがあるため、様々な状況において多用できる照明です。元々ディフューズがかかっており、被写体に対して包み込むような、とても柔らかい光で光質も素敵でした。もしも、光量において改善を求めるのであれば、「1%時と100%時の輝度の差」がもう少しあっても良いように思いました。50wの照明でバイカラーのLED素子が内蔵されているので、難しい部分もあるかもしれませんが、1%時の明るさをもっと暗くできたら、屋内外で撮影するような現場では色々使い勝手がいいような気がしました。

 

 

セッティングの際に思ったのは、ACで給電する場合、アダプターを挿してライトを点灯するわけですが、コードの長さが足りず、ACアダプターが宙ぶらりんの状態になってしまいます。これは使っているうちに断線してしまいそうで怖かったです。他社製品にあるVマウントのアタッチメントでACアダプターを固定できるような仕組みがあれば、安心して使用できるのかなと思いました。

 

▲電源アダプター

 

まとめ

最後に今回、実際に現場で使ってみて、価格帯やライトの使い勝手、明るさ、色温度等を総合的に判断すると、このライトは自宅等でYouTube撮影される方々には、とても相性が良い機材だと思いました。昨今、自宅に簡易的なスタジオを作ってYouTube動画を撮影する人々も増えてきましたし、YouTubeに限らず、Tiktok、instagramなど自分を配信できるプラットホームはたくさんあります。そうした使用シーンで、この製品は活躍してくれそうです。これひとつを加えるだけで顔はもちろんのこと、背景も綺麗に染まるはずです。どんな機材にも言えることかとは思いますが、使い手の工夫次第でその可能性は広がります。どんなシーンでそのライトが効果を発揮してくれるのか、その可能性を探求するのもまたおもしろいものです。

 

●製品情報