【レビュー】ルミックス Sレンズ F1.8シリーズ 映像制作にどこまで使えるのか(作例あり)


【レビュー】ルミックス Sレンズ F1.8シリーズ 映像制作にどこまで使えるのか

パナソニックが展開するレンズ群であるルミックス Sシリーズ。F1.8単焦点レンズは映像制作に適したレンズと評判も高い。その実力を試すために今回、カメラマンの早見紀章さんに、同シリーズから「S 24mm F1.8」「S 50mm F1.8」「S 85mm F1.8」の使用感をレポートしてもらった。

レポート●早見紀章

Profile
日本大学芸術学部写真学科卒業後、風景写真家林明輝氏に師事。写真集・広告・雑誌・出版・映像など幅広い分野で活動。2017年に映像業界に転向し、数々のCM、VPの撮影に従事している。
Instagram:https://www.instagram.com/kishohayami/

 

私は普段、映像制作の撮影を主な生業としてる。今までに大型のシネマカメラから小型カメラまで様々なカメラを使用してきた実績がある。普段はPLマウントレンズやEF、E、MFTマウントなどのレンズを複数使用しているが、以前からパナソニックのF1.8シリーズはお手頃な値段と妙に動画向きなスペックが気になっていた。

今回、機会をいただきパナソニックのS5とF1.8の単焦点レンズを使用して、どこまで作品作りが可能なのかという点をレビューしていきたい。
※撮影時には35mmは未発表だったため3本が中心のレビューとなります。

早見紀章さんが撮影した映像

「SAME DAY BORING PLACE————」

・スタッフリスト

Production:ELEPHANTSTONE(https://elephantstone.net
Starring:Nanako Matsuba
Camera:Kisho Hayami
Camera assistant:Miri Saito
3DCG:Itsuki Baba
Stylist:Haruka Kawakubo
Hair&make:Junko Yamazaki
Production Assistant:Hanna Sekido
Director:Nao Okuno

 

レンズの外観とその使い勝手

まずは、レンズの大きさ及び外観を見ていきたい。

(左から)24mm、50mm、85mm。サイズ、形状がすべて統一されている。

Sシリーズレンズは、35mmフルサイズのイメージサークルをカバーしたレンズ群であり、ズームレンズ及び単焦点レンズが展開されている。発表から年月も経ち、昨今はラインナップも充実してきているが、他社にはないレンズラインナップが前々から気になっていた。それがF1.8のレンズラインナップだ。

現在、24mm、35mm(撮影時は未発表)、50mm、85mmという4本のレンズラインナップとなっており、映像業界でも注目が集まっている。特にユニークな点としては、外観の統一感だといえる。サイズやフィルター径、フォーカスリングの位置は全て統一されており、どのレンズを使用していても操作感の点において不具合を感じることが無かった。この統一感はスチールでの用途だけを前提とした設計ではなく、動画における用途もかなり意識して設計されているように私は感じている。

一般的にシネマレンズと言われているレンズ群は、レンズ口径やフォーカスリング位置などが一緒であり、レンズ交換後のフィルター交換をスムーズに行えるように設計してある。このF1.8のレンズ群は、遥かに高価なシネマレンズと同じ設計思想を持ち合わせているので、ただただ驚くしかない。

また重量や全長にそこまで差がないということは、三脚やジンバルに搭載した時にレンズ交換後のバランス調整が最小限で済むことを意味している。これは使い勝手という点で、全長や重量バランスが変化するズームレンズや大口径の単焦点レンズより大きなメリットといえる。

今回の制作における運用システムは?

次に運用していたシステム面を簡単に説明させていただこう。

7インチの外部モニターを使用。

今回の撮影は、カメラマン、ディレクター、キャスト他5人ほどのスタッフ数となった。そのため外部モニターは必須となり、7インチモニターを画像伝送装置を介して接続している。

今回の撮影スタイル。AFも概ね良好だった。

通常、この規模感になるとレンズのフォーカスマンが必要になるケースが増えてくるが、今回はAFのみにして小規模な案件でも使用できるのかテストしてみた。テスト結果としては良好なAF機能ではあったが、一部合焦がフォローしづらいシーンがあり、そこはMFでピントを合わせながら撮影を続行した、今後のファームアップにより合焦精度の向上に期待したい。

NDフィルターはバリアブルNDを使用。

また、NDフィルターはバリアブルNDを用意した。手持ちのバリアブルNDは77mmしか無かったので、ステップアップリングを活用することになったが、全て同じレンズ口径だったので基本的には使い回しで対応することができたので助かった。

●各レンズのボケ味は?

最後にレンズのボケ味をレビューさせていただこう。

・85mm

85mm/F5.6
85mm/F4
85mm/F2.8
85mm/F2.2
85mm/F1.8

単焦点レンズのメリットはなんといっても開放値の大きさからくる豊かなボケ味だろう。テストで近所の被写体を撮影してみたが、開放値から見事なシャープ感とボケ味といえる。特にF2.8はボケ味も素晴らしくシャープ感も申し分ないので、あらゆるシーンで活用が楽しみなレンズといえる。

・50mm

50mm/F5.6
50mm/F4
50mm/F2.2
50mm/F1.8

50mmは特にお気に入りのレンズといえる。開放値の時には周辺光量の落ち込みが気にはなるが、絞りを少し絞ってあげると改善するのでそこまで気にはならないだろう。

手前及び奥のボケ感は立体的であり、背景や前ボケを多用する撮影においてはボケ過ぎないので使い勝手が良いレンズといえる。

・24mm

24mm/F5.6
24mm/F4
24mm/F2.2
24mm/F1.8

24mmは今回の撮影でよく利用したレンズだ。今回お借りしたレンズで最も引けるレンズが24mmなのだが、気持ちよく使用できたレンズといえる。作例を見ていただけるとお分かりになると思うが、ボケ味が広角レンズとしてはとても優れているので、使っていて気持ちの良いレンズだ。

24mmで撮影した森の中のシーン。

作例の森のシーンでは森の立体感を前ボケ、奥ボケによって表現することができている。これもまた、ボケ味の硬いズームレンズでは表現しづらい点を見事に表現することができている。

●開放値F1.8という強み

最後に、全てのレンズに言えることだが、開放値がF1.8という点が予想以上に強みと言えた。今回、撮影の後半では夜間撮影にチャレンジすることになったが、想像以上に光量が少なく撮影に苦労した。全てのシーン、F値を開放で撮影しており、もし通常のズームレンズだったと考えた場合、撮影は不可能だったと想像できてしまう。

夜間撮影で開放F1.8の力が発揮された

レンズの開放値が大きいことは、予期しない撮影現場や環境に遭遇した場合、特に力を発揮することになるだろう。撮影の予定が押してしまい夜間撮影になった場合でも、このレンズ群ならば撮影をやりきることができると感じた。心強い撮影の相棒と言えるだろう。

◉製品情報

Sシリーズ 交換レンズーデジタルカメラ LUMIX(ルミックス)

https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens.html