Samsung Galaxyシリーズのフラグシップモデル・Galaxy S25 Ultraを音楽ライブやMV制作の現場で活躍するクリエイターに実際の現場で使ってもらった。ライブ映像の撮影に協力してくれたのは、若年層を中心に人気を集める3人組ロックバンド・マルシィ! ライブハウスを借り切って本番さながらに撮影したマルシィのライブ映像を手掛けたクリエイターに現場でのGalaxy S25 Ultraの使用感をインタビューした。

出演●マルシィ(吉田右京〈Vo.Gt.〉、 フジイタクミ〈Bass〉、 shuji〈Gt〉)
取材・文●Arihito Numakura/構成●編集部 萩原/協力●サムスン電子ジャパン株式会社

マルシィ – 青空(Shot on Galaxy S25 Ultra)

Director : UDO(koe Inc.) Shooting Director : Shingo Tanaka (SARAVA) Lighting Director:Seigo Hirao(SHUHEI Inc.) Stylist:Shuhei Kai Hair&Make up:madoka Production Manager:Kai Kasai(tAo Inc.) Producer:Hitoshi Sugai(koe Inc./tAo Inc.)

「君中心に揺れる世界」LIVE映像は7月10日(木)21時マルシィのYouTubeチャンネルで公開!

UDO |ディレクター

1995年生まれ、多摩美グラフィックデザイン学科卒。ギークピクチュアズで大手メーカーのCM・WEB CM制作を担当後、2023年よりMV監督として活動を開始し、コエに所属。マルシィの映像作品では『ピエロ』MVを手掛けている。
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田中伸吾|撮影監督

株式会社 SARAVA代表。ライブ撮影からMV、CM、番組、映像演出まで幅広く手掛ける。マルシィの映像作品では『願いごと(Piano Ver.)』『マルシィ TikTok LIVE』を手掛けている。
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SAMSUNG
Galaxy S25 Ultra
199,800円(256GB/12GB)
217,800円(512GB/12GB)
253,800円(1TB/12GB)

サムスンGalaxyシリーズのフラグシップモデル。最大8K/30pの動画撮影に対応。今回のモデルからGalaxy Logを新たに搭載している。

 

クレーンやジンバル、
スライダーなども駆使して
プロの音楽ライブ撮影カメラとして
Galaxyを使ってみた

クオリティを妥協せずに、新たな撮り方を試せる


――今回の映像ではGalaxy S25 Ultraをどう使いましたか?


UDO:Log収録ができてハイクオリティな映像が撮れるGalaxy S25 Ultraの特徴を活かそうと思い、10台のマルチカムで撮りました。シネマカメラを10台も使ったら、予算的も嵩むし、配置やアングルの制約も増えてしまいます。その点、Galaxy S25 Ultraは小型だから、普段は撮れないアングルにチャレンジすることができました。


田中:マルシィさんのTikTok LIVEでは7〜8台のマルチカムで撮影しています。スマホでライブを撮るのは初めてでしたが、Galaxy S25 Ultraはカメラ機能にかなり力を入れて開発されたと聞いたので、スマホであることはあまり意識せずに普段ライブで使っているシネマカメラと同じ感覚で使ってみました。ジブアームやスライダーなど、通常のライブ撮影で使う機材と組み合わせた撮り方も試しました。


UDO:スマホを使ってプロが本気で撮ってみる企画って、外付けのレンズやフィルターを付けたりしがちですが、今回はそうしたことはしていません。田中さんにはGalaxy S25 Ultra搭載のレンズと、純正カメラアプリの「プロ動画モード」だけを使って、撮っていただきました。


田中:最初はサードパーティのアプリ「Blackmagic Camera」を使うことも考えましたが、「プロ動画モード」はISOやシャッタースピード、ホワイトバランスなど、マニュアルで設定できる項目が多く純正アプリで撮影しました。画が綺麗で感心しましたが、レンズが4つ付いていて超広角からスマホなのに光学10倍相当のズームで撮影できるので、いろいろなアングルを選ぶことができました。あとは手ブレ補正が優秀でした。例えばハンディーの場合、アーティストの表情に寄りたかったので最初はGalaxy S25 Ultraをジンバル(DJI RS 4)に載せていましたが、手ブレ補正がよく効いたので途中からジンバルなしに変えました。


UDO:ライブハウスは音響設備が素晴らしいわけですが、特に重低音が鳴り響くスピーカーの近くはかなりの震動が起こるし、アーティストもステージ上で動くので撮れた映像が揺れていないか心配でしたが、まったく気にならなかったです。Galaxy S25 Ultraの手ブレ補正機能が優れていることが実感できました。

 

 

純正カメラアプリのプロ動画モードで撮影。プロ動画モードではシャッタースピードやISOを固定して撮影ができる。画面左上の「LOG」アイコンをタップするとLogでの撮影が可能になる。

プロ動画モードには、ヒストグラムのほか、「フォルスカラー」や「ゼブラパターン」といった露出アシストの機能も搭載している。


――カメラ10台を編集で同期させる方法は?

田中:シンプルにRECを止める前に、Galaxy S25 Ultraの前で手を叩いて、その映像と音で合わせていました。(UDOさんに)オフライン編集で困ることはありませんでしたか?

UDO:Premiere Proのマルチカメラ機能で編集していますが、大丈夫でしたよ。

――GalaxyのLog動画の感想は?


田中:撮影したLogデータを自分でもDaVinci Resolveでグレーディング耐性をチェックしてみましたが、ハイライトもシャドウ側もしっかりと粘りがあり、画作りがしやすいと感じました。ライブ会場はステージの上とその他で明暗差が大きいし、スポットライトやストロボなどの照明演出も入ってくるのでLogで撮れることは大事なポイントです。GalaxyのLogは、普段のライブ撮影にも使えると思いました。

 

 

スマホサイズだから色々な場所に置ける
他のカメラのフレームも邪魔しない

――10台のGalaxyの役割はどのように決めましたか?


田中:UDO監督からカメラの配置イメージ図をいただき、それをもとに撮り方や構図を決めていきました(上図)。図の赤色のカメラが有人、青色が無人です。


UDO:「とにかく良いアングルで切ってください」と、具体的なところは田中さんに基本おまかせしていました。実際に撮ってみてプレビューを確認し、マルシィさんの意見も聞きながら位置や撮り方を変えていきました。スマホサイズなので何かと融通が利くのが良かったです。色々なアングルを試すことができました。

 

ハンディor三脚でVoの吉田右京さんのソロショット。はジブアームでVoソロや3人をタイトめの画角で狙う。同じくジブアームで3人のワイドショット。ジンバルに取り付けハンディーでそれぞれのメンバーのソロショット。3人のタイトショット(固定)。電動スライダーで3人のタイトショット。Voソロ(固定)。Baのフジイタクミさんのソロショット(固定)。Gtのshujiさんソロショット(固定)。Drの俯瞰(固定)。

 


田中:本当は8Kで撮りたかったのですが、8Kを選ぶとモニターアウトが出なくなるので4K収録にしました。各Galaxyからの映像はLUTBOX(IS-mini)を介してビューイングLUTを当てて、監督や各カメラマンのモニターに戻しました。


UDO:LUTを当てて完成形がイメージできる画でマルシィさんにも現場でチェックしてもらえたので、撮影をスムーズに進めることができました。


――今後の映像制作にGalaxyをどう活かせそうですか?


UDO:Galaxy S25 Ultra10台を使ったマルチカム撮影を試してみて、このクオリティの映像をスマホサイズで撮れるメリットは大きいと思いました。普段使う機材だとサイズ的に10台は難しいだろうし、同じくらい色々なアングルで撮るにはテイクを重ねるしかないと思います。撮影ノウハウを貯めていけば、もっと効率良く撮れるだろうし、Galaxy S25 Ultra独自の企画もできると思いました。


田中:UDO監督が言われた通り、この小ささを活かした新しい撮影が色々とできると思いました。ステージ上に置く仕込みカメラとしても悪目立ちしないし、有人で撮るときにメインカメラの上に載せてサブカメラ的に使ってみても面白そうです。

メイキング映像もGalaxyで!

メイキング動画は7月1日(木)21時に公開!

嶋中彩乃 |メイキング

フォトグラファー・ビデオグラファー。マルシィがメジャーデビュー前からライブやツアーに帯同してムービーやスチルを担当。
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メイキング映像は全編をオート撮影モードで


 Galaxy S25 Ultraを手持ち撮影を中心に、メイキング撮影をワンマンで行いました。普段はソニーのFX3を使っていますが、Galaxy S25 Ultraは218gとすごく軽量で、操作もシンプルなので撮りたいと思ったら、パパッとすぐに撮れてしまうところが良かったです。
 今回はすべて純正カメラアプリの「動画モード(オート)」で撮ってみました。バックヤードではライトを使いましたが、それ以外の場面ではライトもなしに問題なく綺麗な画を撮ることができました。RECを押したら、あとはおまかせなのですごく楽でしたね。ライブ映像を撮る場合は、露出などのコントロールが必要になるので「プロ動画モード」で撮らないと難しいと思いますが、メイキング映像であればオートモードで充分な印象です。
 個人的な感想ですが、プロ動画モードの設定項目の種類が豊富でスマートフォンなのに一眼と同じ感覚で使えてしまうところが面白かったです。256GBモデルだと20万円を切る価格で、8K動画が撮れるというのは、本当に驚きました。上手く使えばプロの現場でも活躍してくれると思います。
 「一眼に興味あるけど、まだハードルが…」などと思っている人はGalaxy S25 Ultraから初めてみるといいかもしれません。初めて使う機能にはガイド文が表示されるので。初心者の方は、ゼブラパターン等の専門用語が出てくると戸惑ってしまうと思いますが、Galaxy S25 Ultraなら使いながらカメラの知識を身に付けられるんじゃないかな。