ビジュアルテクノロジーの4K/8K編集やファイルフォーマット変換用のパソコンブランドが「TRUX(トラックス)」https://www.trux.tokyo/。性能違いでラインナップを複数揃えますが、そのうちCore i9を搭載するシリーズが「NIMBLE(ナインブル)」。今回、標準モデルをカスタマイズしてグラフィックをQuadro P4000にアップグレードしたモデルで、EDIUS Pro 9を使ったビデオサロンオリジナルのリアルタイム再生ベンチマークテストを実施する機会を得たので、その結果をご紹介しましょう。

使用したモデルの主な仕様は以下の通りです。
ビジュアルテクノロジーTRUX NIMBLE Type9960X
754,000円(税別:モニター別売)
●CPU:インテルCorei9-9960X(16コア/32スレッド/3.1GHz/TB時最大4.4GHz)水冷
●メモリー:32GB
●グラフィック:エヌビディアQuadro P2000からP4000に変更(ビデオメモリー8GB)
●クイック・シンク・ビデオ:非対応

テストは8つの異なるビデオファイルを使って、9つのシーケンスを作成。徐々に編集内容を複雑にすることでCPUへの負荷を高め、どこまでリアルタイム再生できるかで性能を評価。それぞれ5秒のクリップを12個並べて1分のタイムラインとし、コマ落ちせずに最後まで再生できれば「〇」、途中で止まると「×」として評価しています。

EDIUS Pro 9の設定

●「システム設定」の「アプリケーション」>「再生」にある「再生が間に合わないときは停止する」にチェック。「再生バッファ」を「2GB」に、「再生開始時のバッファリングフレーム数」を「15フレーム」に設定。
●「システム設定」の「エフェクト」>「カラーコレクション」>「プライマリーカラーコレクション」で利用できる「GPU」にチェックを入れ、NVIDIAのQuadroを選択。

使用したファイルの詳細

今回から新たに富士フイルムのX-T3で撮影した「4K/60p 10bit HEVC」ファイルを使ったテストを追加しています。この中では一番CPUへの負荷が高いファイルになり、EDIUSではクイック・シンク・ビデオの機能を使わないと再生だけでも重く、H.265の出力もできない仕様になっています。

[比較用]4コア/8スレッドCPU搭載モデルの結果

ビデオサロン編集部でしばらく使用している4コア/8スレッドモデルの結果が以下の通りです。当時としてはビデオ編集用としては定番のCPUでしたが、その後、10bitファイルや4K/60p、HEVCファイルなど新しい動画形式やコーデックの登場で、新しいフォーマットではリアルタイム再生は厳しくなっています。

[TRUXの結果]10bitファイルの再生でも高い性能を発揮

HD/60pまでは満点。難関だった4K/60p編集でも、PinPを設定したシーケンスのリアルタイム再生に対応し、全体的に満足度の高い結果となっています。ただし、搭載するCPUがクイック・シンク・ビデオに対応していないため、4K/60p 10bit HEVC(H.265)編集では単純にクリップを並べたカット編集でもコマ落ちのない再生はできませんでした。現状、EDIUSでスムーズなHEVC(H.265)編集をするなら、プロキシ編集が現実的なようです。

まとめ

一般的なH.264で圧縮したファイルの編集なら、パフォーマンスの高い4K編集が期待できそうです。HDR時代を見据えると、10bitや60p編集が必須になる業務もあると思いますので、そこまでのファイルを扱う必要があるなら、16コア以上のCPUを搭載するパソコンは注目できると思います。

この性能を生かすための注意点としては、編集に使用する動画ファイルは高速なSSDに保存することです。標準に用意されている作業用のHDDに保存すると、上記のような結果にならないシーケンスもあるので、購入時にはオプション設定を検討するほうがよいでしょう。