SDI接続で Blackmagic RAWで録れる!Blackmagic Video Assist 12G HDRを パナソニック EVA1で試す



4K HDRのモニタリングだけでなく、最新ファームアップによりパナソニックEVA1とキヤノンEOS C300 Mark IIからのSDI出力をBlackmagic RAWで記録できるというのが注目。EVA1ユーザーである角さんが試してみた。(4月20日に関連動画のみアップしていましたが、本文を追加しました)

REPORT◉角 洋介

新型のVideo Assistが発売されました。何より目を惹かれたのが「C300 Mark IIやEVA1などのシネマカメラでBlackmagic RAW(以下BRAW)収録が可能」ということ。個人的にEVA1を所有していますが、いわゆるRAW収録をするためにはこれまではATOMOSのモニターでProRes RAWしか選択肢がありませんでした。ProRes RAWは現状DaVinci Resolveで扱えないためあまり興味が惹かれませんでしたが、BRAWなら話は別です。DaVinciはもちろん、最近はPremiere Proでも扱えるようになり、あくまで個人的な環境としては非常に興味深い形式となっていました。ポケシネ4KのBRAWの扱いやすさに感嘆していたので、これをEVA1でも扱えたらとても良いなと思いました。

先日のアップデートでついにBRAW収録が出来るようになり、テストする機会をいただくことができました。検証はEVA1 Ver3.0、Video Assist 12G 5インチ Ver3.1、SAMSUNG Portable SSD T5 1TBで行いました。

 

 

カメラ搭載モニター兼レコーダーの定番でとも言えるBlackmagic Video Assitに12G HDRモデルが加わった。5インチおよび7インチの両モデルともに12G-SDIとHDMI 2.0に対応し、2160/60pまでのあらゆるフォーマットで収録が可能。輝度が上がったディスプレイは、HDR収録や、屋外の日光の下での撮影時や収録内容の確認に最適。価格は5インチが89,980円、7インチが 113,800 円。

 

 

 

RAW収録機として

12G 5インチでは、収録のために(VA側)マイクロBNCオス – BNCオス(EVA1側) ケーブルが必要でした。マイクロBNCは初代Video Assist 5インチのDIN端子とは異なる規格なので注意が必要。カメラ側の設定でMenu〉System〉SDI RAW出力をオンにします。この時、センサーの5.7K、4Kクロップ、2Kクロップが選べます。クロップ率によってVFRの上限が変わります。SDI RAW出力をオンにしないとモニター側の形式をBRAWにしていた場合、「信号なし」となり映像が表示されません。モニター側で信号を受け取ることができれば収録できます。形式をBRAWにして圧縮率などを設定します。

▲マイクロBNC端子は初代Video AssistのDIN端子とは異なる規格。別途購入する必要がある。

 

メディアはUSB-C接続の外付けSSDか、一部のSDカード。モニターの録画ボタン、もしくはトリガーRECを有効にしていれば本体の録画ボタンを押せば収録できます。SDI RAW 出力時、EVA1内部のSDカードでは収録できません。カメラ本体とモニターでバックアップ、という使い方はBRAW収録時はできません。

プレイバック時の注意点として、センサーのサイズを途中で変えた場合、変えた以降の撮影素材しか確認できませんでした。たとえば5.7Kでいくつか撮影したのち、センサーを4Kに変えて撮影すると、プレイバックは4Kで撮影したものしか確認できません。また5.7Kに戻してから撮影し、素材を確認すると、最初に5.7Kで撮影した素材も確認できます。PCで確認するとファイル名は撮影順通りに連番になっており、ちゃんと収録されています。ここは厄介だったので、ぜひアップデートで対応してほしいです。

また、SDカードを挿入したまま外付けSDDも接続していると、電源のオン/オフなどでSDカードへの収録が優先されてしまいまいます。

DaVinci上でRAWの設定はWB、露出くらいしか変更できませんでした。詳細なガンマ設定などの変更はブラックマジックデザイン純正カメラで収録したBRAWでないと変更できないようです。

素材を確認してみると、5.7Kの精細さ、グレーディングの自由度の高さはやはりRAWならではと感じました。

2K 240fpsのハイスピードは内部収録だと8bitなので、グレーディングにおいてかなり無理があったが、2K RAWで240pを撮れるのは非常にありがたいです。

カメラ内部のノイズリダクションがかかっていないのでノイズはかなり載りますが、これもソフトウェアで対応可能です。また、手ブレ補正、デジタルズームは使用できません。5.7Kなら解像度にはかなり余裕があるのでこれもあとからスタビライズなどで対応できます。

ポストで色々処理しなければならず、細かい制約もあるのでスピードの求められる撮影だと現状はRAW収録機としての運用は難しいかもしれませんが、作り込める現場なら積極的に取り入れたいと感じました。

特に、BRAW自体はとても軽く扱いやすいです。MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2015)でも多少のコマ落ちはすれど、ちゃんと扱えるのには驚きました。内部収録の10bit 4:2:2 Long GOPよりは確実に使い勝手が良いと思います。

1TBのSSDを使用して、5.7Kフルセンサーで収録した場合、圧縮率に対して収録できるおよその時間は3:1 70分、5:1 130分、8:1 200分、12:1 300分ほどでした。今回は5:1で撮影しましたが、画質については十分に満足できるものでした。12:1でも目に見えて明らかな画質の差はありませんでした。Q0、Q5については今回は試していません。

注意点として、EVA1のSDI RAW出力からは10bit RAWしか出力できないので、色情報は豊かですが、階調については理屈上は10bit 内部収録と変わりません。

 

▲DaVinci Resolve 16のカメラRAW画面。設定項目はBRAWなどと比べて限定される。

 

 

カメラモニターとして

特質すべき点として、とにかく明るいこと。2500nitだと晴天下でもしっかりと視認できました。ただ、最高輝度だとすぐに熱を持ってしまうのでその対策は必要です。モニターで明るく見えてしまうので、見た目で露出を決めると、ちょっと暗く撮れてしまうことがあります。なるべくヒストグラムや波形を使って確認したほうがよさそうです。モニターの解像度は1920×1080あり、フォーカスは十分見やすいです。ピーキングなどフォーカスアシストのツールも充実しています。今回は使いませんでしたが、初代では7インチ版のみだったアナモフィックデスクイーズ機能が、12Gでは5インチにも搭載されていました。廉価なアナモレンズが徐々に登場してきているので、こちらも嬉しい機能です。

また、LUTがSDカードで読み込みできるようになり、毎回PCに接続する必要がなくなったのでかなり手軽になりました。LUT書き出しもできるので、スタッフ間で同じLUTを共有することも容易にできそうです。

メニューもポケシネやUrsaと同じようなUIに統一されていたので操作で分からない、ということはありませんでした。

些細な点ですが、モニターにスピーカーがあるので、プレイバック時に重宝しそうです。

その一方でモニターの色温度を変えられないのが少し不便です。計測したわけではないですが、印象としてモニター画面の色温度がかなり低く感じました。正確な色を確認する用途では使えないかもしれません。

7インチは少し触っただけですが基本的な機能は同じです。SDスロットが2つ、SDI IN OUTが通常のBNCの端子です。SDI/HDMIのクロスコンバートもできます。

S1HやZ 6/Z 7もRAW出力ができるようになるそうで、いずれはBRAW収録にも対応してくれるといいなと思います。モニターとしても使いやすく、気軽にBRAWが収録できるので、EVA1やEOS C300 Mark IIなどのシネマカメラを所有している人にとっては持っておいて損のないモニターなのではないかと思います。

 

▲バッテリーがソニーNP系に。初代のLP系よりは大容量のものが使えるので交換の頻度が減る。ちなみに初代ではACにつなぐとバッテリーをチャージできたが、12Gではできなかった。

 

 

VIDEOSALON 2020年5月号より転載