▲Xperia 1 ⅥをBeastgrip Proに取り付けた状態

ソニーから新たに発売されたXperiaシリーズのフラグシップモデル・Xperia 1 VI。これまでXperiaといえば、ディズプレイの縦横比が21:9のシネスコサイズでの商品展開を進めてきたが、ここに来て19.5:9の一般的な縦横比へと路線を変更。カメラアプリも刷新された。今回はこのXperia 1 ⅥをiPhoneographerとして、スマートフォンでの映像制作に取り組む山﨑拓実さんに日頃使用しているiPhone 15 ProMAXとの比較も交えて動画性能を中心にレポートしてもらった。

写真・文●iPhoneographer 山﨑拓実

ついにソニーから新型Xperia、Xperia 1 VI が発表されましたね。自分は撮影機材としてiPhone 15 Pro Maxをメインカメラとして映像制作に使用している自称iPhoneographerなのですが、今回はXperia 1 VIとiPhone 15 Pro Maxの動画性能を比較してみたいと思います。

▲山﨑さんが日頃使用しているiPhone 15 Pro Maxの画撮影用セットアップ。

いつもお仕事でスマホを使う場合は上の写真のようにリグを組んで使用しています。iPhone 15 Pro MaxにSmallRigの専用リグに、スマホ用レンズアダプターリング Mマウント 37mmスレッドを介して、NDフィルター・Urth 37mmを装着しています。さらにSSDホルダーにSamsung T7 Shieldを接続し、SSDに録画をするようにしています。

気になるスペックを比較してみる

まずはXperia 1 ⅥとiPhone 15 Pro Max。動画撮影という観点で気になるスペックを比較して見ていきましょう。

●搭載レンズ

今回のXperia 1 VIのレンズは超広角の16mm、広角の24mm/48mm、そして望遠の85-170mmです。85mmから135mm、そして170mmまでは光学ズームで対応することができ、望遠レンズをテレマクロレンズとして使用できます。ちなみにiPhone 15 Pro Maxのレンズは超広角が13mm、広角が24mm(48mm)、望遠が120mmとなっています。この数字を見比べるとiPhoneは広角に強く、Xperia 1 Ⅵは望遠側に強いと言えるでしょう。

●暗所性能に強いExmor T for mobileを搭載

Xperia 1 VIのセンサーはExmor T for mobileというソニーが前モデルのXperia 1Ⅴで開発したものを搭載(24mm広角レンズのみ)。ソニーによると暗所撮影でノイズを抑えた撮影が可能ということです。一方のiPhone 15 Pro Maxは、公式には明かされていませんが、Exmor T for mobileよりも旧式のソニーのセンサーを搭載しているものと思われます。これにはソニーのセンサーの生産供給能力、アップルの製品展開方針など、さまざまな要因が考えられますが、少なくともXperia 1 VIとiPhone 15 Pro Maxのセンサーは違うものだと認識していいでしょう。

 

●記録方式

また、Xperia 1 VIの録画コーデックに関して、公式サイトには記載はありませんが、自分がXperia 1 VIを操作した限り、次項で紹介する同社純正の新しいカメラアプリ録画したデータはH.264のみとなっていました。一方、iPhone 15 Pro Maxでは、純正のカメラアプリでH.264、H.265(HEVC)、ProResで録画することができます。また、個人的には撮影後にカラーグレーディングで色を追い込めるApple Logへの対応もゲームチェンジャーと言えるアップデートでした。Xperia 1 ⅥにもS-Cinetone for mobileというフィルムライクな画作りが可能になる録画モードが搭載されています。ただ、映像クリエイター的には作品によって色を作り分けたいという欲求があるため、S-Logを搭載して欲しかったです。

ここまでを簡単にまとめると、Xperia 1 VIが搭載レンズでカバーできる画角の広さ、そして最新のセンサーを搭載しているなどといったハードウェア面でのアドバンテージがあるのに、iPhone 15 Pro MaxはProResやApple Logといった録画モードにも対応し、ソフトウェアの面でのアドバンテージがあるという印象です。

 

新しくなったカメラアプリの使い勝手は?

ちなみに前述したように、今回のXperia 1 VIからはカメラアプリが新しくなりました。従来までは写真撮影に特化したPhotography Pro、そして映像撮影に特化したVideography Pro、Cinema Proという3つのアプリがありました。それらがひとつのカメラアプリに統合されました。

従来までのCinema Proアプリ(参考記事)はVENICE開発チームが監修に加わり、非常に細やかな設定ができるアプリでしたが、今回新たに登場したカメラアプリはシンプルなUIで初めて使う人でも迷うことなく使えるものになっていると思います。必要最低限のホワイトバランスやISO、シャッタースピードなどの設定が備わっています。ただ、日頃iPhoneで無料で使えるBlackmagic Camera Appを使用していると、あまりにシンプルで若干の物足りなさを感じてしまったのも事実です。従来のようにデフォルトで3つのカメラアプリが搭載されていると、混乱してしまうユーザーもいるかもしれません。より細やかなカメラ設定が楽しめるCinema Proのようなアプリも、ユーザーが後から好みに応じてインストールするという選択肢も残してもらえるとうれしかったです。

 

Xperia 1 Ⅵの画角チェック

さて、前置きが長くなりましたが、実際に撮影をしてみました。今回はできる限り比較に公平を期すため、NDフィルターなどなどの外部パーツはXperia 1 VI、iPhone 15 Pro Maxともに装着していません。下の例は同じ立ち位置から画角を変えて撮影しています。撮影モードはS-Cinetone for mobileです。

ここで気づいたのが、物体のエッジのシャープさです。最近のスマートフォンはAIによる補正で被写体のエッジが不自然に強調されているものも見かけるのですが、今回のXperia 1 VIではそうした不自然なシャープさは見受けられず、好感の持てる画作りでした。

 

Xperia 1ⅥとiPhone 15 Pro Maxの画質比較

こちらは同じ場所を同じmm数のレンズで撮影したiPhone 15 Pro Maxとの比較画像です。見ての通り、エッジのシャープネスが同じ程度に収められているのが分かるかと思います。

これがどういうことかというと、Apple Logはもともと、AIによる補正などを極力排除した、ポストプロダクションで補正をする前提のフォーマット。なので、FX3やBlackmagic Cinema Cameraといったシネマカメラによって撮影された素材に極力近いものになっています。故に、Apple Logによって撮影された映像の物体のエッジに輪郭補正などは限りなく少なく、実際に目で見るものに限りなく近いものとなります。

一方、Xperia 1 VIの場合、S-CinetoneというFX3やVeniceにも使用されているルックを採用、スマートフォン用に最適化し、S-Cinetone for mobileというソフトウェアと、最新の同社のセンサー、そしてレンズを組み合わせることで、ポストプロダクションを行わずとも同社のシネマカメラの映像に近いものを手に入れることができます。これは、αシリーズやFXシリーズを開発しているソニーだからこそ出来るスマートフォンへのアプローチです。

つまり、Xperia 1 VIはiPhone 15 Pro Maxと同じく、物体のエッジに輪郭補正などをかけるといった補正はあまりしていないものの、ソフトウェアで映像にアプローチするiPhone 15 Pro Maxとは違い、レンズとセンサーというハードウェアとS-Cinetone for mobileというソフトウェアの両方で映像にアプローチしているように思えます。この点がXperia 1 VIとiPhone 15 Pro Maxはライバルではないのでは思った所以です。

 

まとめ

と、ここまでXperia 1 VIとiPhone 15 Pro Maxの動画性能の比較を書いてきましたが、ソニーとアップル、双方のスマートフォンへのアプローチの違いが分かっていただけたかと思います。スマートフォンによる撮影は、iPhoneが起爆剤となり、自分がiPhoneを本格的にカメラとして使い始めた時よりもかなり活発になってきています。今後のスマホカメラ界隈がどのように発展していくのか、楽しみです。

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