個性的な作画とギャグ漫画ようなストーリー展開、生きがいは作品を楽しんでもらうこと。

取材・文●村松美紀 / 編集部 片柳 

アニメーション作家。1993年生まれ。2016年東京造形大学アニメーション専攻卒業。同大学大学院に進学し2018年修了。NHK Eテレのこども番組などでアニメーション、イラストを手がける。

 

 

しょーた ’s PROJECT introduction

描いた枚数は約3000枚! アナログな表現にこだわる

『がんばれ!よんぺーくん』

2018年公開された作品。「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」のWTFプログラムで上映された。

これは大学院の修了作品として制作しました。明るい作風がマンネリ化してきたので、作中で人を引きちぎるといったダークな要素を入れました。物語もビジュアルも含めて、明るさの中に闇が見えるものを意識しています。

尺は4分ほどです。色は編集でつけていますが、線は文房具屋さんで購入した筆之助やZIGなど書き心地が固めな筆ペンを使用し、3000枚ほどを手描きで作成しています。上映時に観た人を「どうした?」と驚かせたくて、オープニングはいつもの作風と異なる色鉛筆のイラストを使用しました。その他、漫画の技法である編みかけを使ったシーンや、ネオンやセピアのフィルターをかけたシーンに、いつもの僕らしい作風も織り交ぜ、様々な展開が楽しめる工夫をしています。最も盛り上がるシーンは、子どもが勢いで描いた落書きのようにしたかったので、スーパーで購入した水性ペンで荒っぽく描きました。

手描き感を大事にしているので、色塗りの方法は特殊です。絵の具やインクで塗った用紙をスキャンし、Photoshopでイラストに重ねることで仕上げています。こうすることで、効率よくアナログなテイストを残した表現を作り出しています。

『がんばれ!よんペーくん』原画 

 

『そらとぶとけい』

2014年制作。作詞も自身で手がけており「天気が良い日に大学の庭を散歩してたらフレーズが降ってきた」ことで誕生。キャッチーな楽曲も印象的だ。

 

◆しょーたとはどんなクリエイター?

高校時代からイラストを描くのが好きだったしょーたさんが、アニメーションの世界に足を踏み入れたのは大学進学後のこと。学生アニメーションの祭典であるICAFに訪れ、姫田真武さんの作品『なにぬねのの』を観て衝撃を受けた。「自分の持ち味を発揮しながらも、世界観や動きが格好良く、子どもも大人も両方が楽しめる作品でした。姫田さんとの出会いきっかけに僕も短編アニメーションを制作したいと思いました」

そして学生時代にアニメーション作家として活動をスタート。活動初期に制作した作品は、独特な世界観とカラフルな配色、そしてキャッチーなメロディが印象的な『そらとぶとけい』。

「楽曲は、自分で歌詞や鼻歌を作った後、友人の協力を得て制作。曲ができたら絵を描き、AfterEffects で編集することで仕上げました。この作品を映画祭で上映したところ、観客や審査員に楽しんでもらうことができてすごく嬉しかったです。アニメーション制作がどんどん生きがいになっていきました」

学生時代は誰でも安心して観ることができる明るい作品を制作してきたが、大学院を修了する頃にはダークな要素を入れることで、新たなスタイルを確立。それを象徴する作品『がんばれ!よんぺーくん』は、公開から大きな反響を呼び、様々な賞を受賞。国内外の映画祭で上映されている。

しょーたさんの作品に通ずるのは、個性的で味のある線。アニメーションは1フレームごとに手描きで描いているそうだ。「手描きの味と、狂気性のようなものを追求するためにアナログを選んでいます。社会人になり、作業時間短縮を狙ってデジタルで制作したこともありますが、アナログの魅力には敵わなかったです」

現在は、映像制作会社のディレクションズに勤務。会社では自分の特技を活かしつつも、更に新たな案件を絶賛募集中とのこと。独自の作風を生かした今後の活躍に期待だ。

 

制作ツール


▲制作に使う画材ツール。左は筆乃助とZIG Letter pen COCOIRO、右は水彩絵具と筆。

 

 

●VIDEO SALON 2024年1月号より転載