フレキシブルに曲がり、
色温度や光量も自由に調整できる

レポート◎池野一成

 
照明機材の主役がLEDライトになってきている。タングステンライト、ハロゲンライト、蛍光灯などの照明器具との大きな違いは、消費電力が低い、熱をもたない、玉切れがないなどで、LED照明の特徴とメリットが大きく評価されている。そのためいろいろな形のライトが考案され商品化しているが、今回取り上げるのはエヌ・イー・ピー(NEP)から新しく登場したフレキシブルLEDライトである。これまでの砲弾型のLED素子を並べた照明器具に対し、フラットなシートに平面状のLEDライトを配置し柔軟な素材で密封した照明装置だ。その大きな特徴としてパネルそのものを変形、つまり丸めることなどができる。


このライトには16×16の256個のLED素子が並んでいるように見えるが、実は一つの素子と思われている中に5600Kと3200Kの2つの素子が並んで配置された複合型の素子になっている。この2つの素子の発光量をそれぞれ変化させることで色温度を滑らかに変化させることが可能。もちろん光量(ディマー)そのものも変化させることができる。ディマーのレベルは0~255の数値で表記され、レベル255がフル発光、0で消灯する。
シート状のライト部の重さを実測すると462g、Vマウントブラケット部が654g、ケーブルが43g、これを専用のケースに収めて約1.3㎏になる。もちろんこの他にバッテリーやライトスタンドが必要なことは忘れてはいけないが、3灯分持っても5㎏を切る重さになるわけだ。

 

照射範囲がひじょうに広いのも魅力

点灯してみると、シート状光源だけにまずその照明範囲の広さが際立つ。ライトを外方向に丸めることでさらに照明範囲は広がる。こんなに広い照明範囲を持つライトはなかなかない。
今回はVマウントのキットでテストを行なったが、業務用ビデオカメラに広く採用されているVマウントバッテリーが使用できるメリットは高い(同価格でBPUマウントキットもある)。 Vマウントブラケット部にライトスタンドに取り付けるダボが付き、角度調整も可能。


オプションでACアダプター(¥9,000)とディフュージョンボックス(¥9,500)が用意されている。丸レフのように畳め、ワンタッチで開く。柔らかい素材で約300gと軽く、手軽に取り付けることができた。またライト部はコネクター部を含まない部分には防水が施され、水に濡れても大丈夫な構造になっており、屋外の活用の場面でも頼もしい。

仕込みライトとしても活躍しそう

さてこのフレキシブルライト、シートの形や光の角度を変えられるのでさまざまな使い方が期待できる。近接での使用にも向いている。特に仕込みライトなど、このフレキシブルな形状変化が役立つだろう。

今回は映像制作のシーンを想定してノートPCに仕込んで撮影してみたが、人物に対しての配光も良く、1灯でも影が出にくく使いやすいと感じた。ただ、ブラケットとライトをつなぐケーブルが短いので延長ケーブルが欲しいところだ。
また、会話をする二人の姿を肩ナメで撮影するカットでは二人の間にライトを仕込み、奥に立つ女性の顔の陰のコントロールとキャッチアイを作り出した。

作例1)  ↑フレキシブルライト使用         ↓フレキシブルライト不使用


気になった部分は色温度の調整時で、光量フルの場合は滑らかに色温度が変化し光量変化もほとんどなかったが、光量を60以下にした時、色温度を変化させると途中で光量も大きく変化することだ。色温度を決めてから光量を調整すればいいのだが、この点が改善されればなお使い勝手は向上すると感じた。
しかし全体には自分が使いたいように使える応用力の高さが魅力で、現場にぜひひとつ用意しておきたいライトだ。

 

作例2)上からノーライト、ライト適量当て、ライト最大

PCの内側(カメラには写らない)に灯体を置いてパソコン画面の光を演出。

●VARIABLE-29-SET-V
¥65,000

ライト部
●色温度:3200~5600K
●演色性:RA93以上
●防水性:IP67
●外形寸法:W290×H290×D14㎜
●質量:462g(実測)
電源部
●入力電圧:DC12~20V
●外形寸法:W60×H420×D46㎜
●重量:657g

↑ディフュージョンボックス(¥9,500)