動画広告の基本を学び、自分で入稿ができる! イチから学ぶWEB動画広告 Vol.9「成功するための ターゲティングについて」


久松慎一+ 株式会社援軍

 

Vol.9 成功するための ターゲティングについて

広告の目的に応じて出稿するプラットフォームや広告メニュー(タイプ)を選び、それに沿った企画を考えましょう。

 

前回はYouTubeの全体の入稿の大まかな流れについて説明しました。今回は、広告の成果を出すために重要なYouTubeの入稿作業で発生する「ターゲティング」と「広告作成」について解説します。また、広告が稼働時に見ている数字についても簡単に触れます。

前回と比べて少し専門的な言葉も出てくるのですが、一つ一つは決して難しい内容ではありません。実際に運用してみて、慣れていきましょう。

 

コンテンツターゲティングとオーディエンスターゲティングの2種類がある

どんな人たちに広告を当てるのかを設定することは、広告の成果をあげるためには重要な設定箇所です。ターゲティングには2種類存在し、掲載面を狙って配信する「コンテンツターゲティング」と狙って表示させたい人に向けて広告を配信する「オーディエンスターゲティング」があります。それぞれについて説明します。

コンテンツターゲティングの設定名と内容

 

 

広告の掲載面を絞り組むコンテンツターゲティング

具体的な動画サイト・チャンネルやWEBサイトに広告を配信するのが「コンテンツターゲティング」。設定するコンテンツに興味関心を持つ方に向けて広告を配信します。設定内容は以下の表を参考にしてください。

 

人に絞り込むオーディエンスターゲティング

前述した人に絞り込み広告配信するコンテンツターゲティングに対し、広告を見せたい人たちを狙って設定するのがオーディエンスターゲティングです。ターゲティングの方法はいくつもあり代表的なものを紹介します。下部の表の設定内容を参考にしてください。

オーディエンスターゲティングの設定名と内容

 

ターゲットは何を設定するべきか

さまざまなターゲティングの設定方法があることはわかりました。ではまずはどこに向けて広告配信するべきかを考えましょう。広告を配信するということは、まず広告の目的があるはずです。広告の目的には大きくふたつあり、一つは商品認知を上げるためのいわゆるブランディング広告。もう一つは実際に商品を購入したり、サービスの導入することを目的にした購入・申込型広告これから行う広告はどちらに準じるのかをあらかじめ把握しましょう。次は、ターゲットの設定について考えましょう。

 

 

購入意欲の高いユーザーに対して広告を配信する

ECサイトなどで、実際に購入するための行動をおこしてもらえるように広告を配信したい場合は、「購買意欲の高いオーディエンス」「カスタム・インテント・オーディエンス」「リマーケティング」(下の表を参照)などを使用するのが有効です。これらは実際に購入する確率の高いターゲティングとなります。例えば「カスタム・インテント・オーディエンス」ではGoogle検索で「ダイソン掃除機」「デスクトップパソコン 格安」などのワードで検索したことがあるユーザーに対して広告を配信できます。リマーケティングでは過去サイトに訪問したことがある方に向けて配信できます。購入などの行動を起こしたい場合は、これらのターゲティングをフル活用しましょう。

 

興味関心を持つユーザーに対して広告を配信する

新規商品や新規サービスなどで、認知を高めたい場合は「アフィニティカテゴリ」「カスタム・アフィニティカテゴリ」「ライフイベント」が有効なターゲティングです。興味関心があるという形で切り分けているため、上記の購入意欲の高いユーザーと比べてリーチできる範囲が広いという特徴があります。

 

最後に広告を作成する

広告管理画面でターゲットの設定が完了したら、最後は実際に広告を作成します。

1.アカウントを作成し動画をUP

YouTubeにログインし、動画をアップロードする画面

 

 

2.動画キャンペーンをクリック

Google広告管理画面にログインして、URLを登録する

 

 

3.広告作成画面で設定をし、確認をする

URLを登録すると、広告作成画面に遷移するので、各項目に必要な情報(最終URLなど)を追記し、確認する

 

初めて登録する際は、設定に問題はないか2度、3度と確認することをおすすめします。

 

 

広告で見るべき数KPI)とは

YouTubeの動画広告の入稿を完了すれば、後は審査が通り次第、広告は配信されることになります。審査は1〜3日程の間に完了するので、気長に広告配信されるのを待ちましょう。広告稼働後、広告管理画面から配信状況を確認することになります。ではどのような数字を見ていけばよいのでしょうか。広告の目的によりますが、下記のような数字を見ていくことになります。これらの内容はまた別の回で紹介します。


数字のなかで※(1)にあたる指標はブランドリフト効果を示すもので、計測するためにはGoogleのサポートが必要になる

 

 

まず見るべきは視聴ユーザーに興味を持たれているかどうか

中長期的に見る数字は前述のとおりですが、広告稼働時にまず見るべきポイントは、配信している動画に配信されているユーザーは興味を持ってもらえているのかどうか。主に視聴率を中心に動画への興味関心度合を把握しましょう。下の画像の表は各動画別で動画再生時間の割合を示しています。広告の管理画面で確認できる表で、視聴したユーザーの興味関心を確認することが可能です。まずは視聴率を中心に興味を持たれている動画になっているのかを確認しましょう。

 

動画広告の成果を見極めるためには、比較判断用に複数の動画を用意すること。そうすることで、ふたつの動画を見比べ、判断することができます。可能な限り複数の動画を用意しておき、最初から複数の動画を用意するなど、事前準備が大変ではありますが、成果を出す広告運用にするためには重要なことです。

明らかに成果が出ている動画が見えてきたら、成果の出ていない広告は停止、もしくは動画の修正を行い、再度広告配信をしてテストします。

これらの行動を繰り返していくことで、視聴率などの数字を徐々に引き上げていくのです。WEBの広告は運用型広告といわれることが多く、広告稼働〜改善がセットになっているためです。

 

今回のまとめ!

ターゲティングの設定は、広告成果をあげるためにはとても重要なポイントです。どのようなターゲティングがあるのかを理解し、適切に配信しましょう。稼働時に見る数字は、広告がきちんと表示されているか(広告のインプレッション数)広告表示された動画は閲覧されているか(視聴率)を中心に見ていきましょう。

 

今月の事例

世間の注目を集めるCMを掘り下げてみる

大塚製薬さんのポカリスエットの新しいCMが話題です。ポカリスエットは2016年から毎年、中高生の「青春」を謳うブランディング広告を公開し、発表される度にネットがざわつくCMを公開しています。

エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター:古川 裕也(電通)
クリエーティブ・ディレクター / アート・ディレクター / プランナー:正親 篤(なかよしデザイン)
プロダクション:スプーン
演出:柳沢翔
助監督:木村昌嗣・新尚樹
DIT:石井紀章
カメラマン:岡村良憲(STURGEON)

昨年(2020年)のCM公開時は新年度にもかかわらず、自粛期間で多くの人々が先も見えないまま在宅学習・在宅勤務を強いられて閉塞感が拡がっていました。

「密」を嫌い映像の撮影などもしづらい状況で、ヒロインの汐谷さん以外は一般の高校生に自分のスマートフォンで自撮りをしてもらった動画を、モザイク的に組み合わせて合唱動画とした「ポカリNEO合唱」は表現・製作手法両方の面から話題になりました。

後日、Tiktokで「ポカリNEO合唱 ミュージックビデオオーディション」を行い、オーディションの参加者から選ばれた一般学生によるロングバージョンのミュージックビデオを公開しています。

今年(2021年)は「でも君が見えた」と題されたファンタジックなCMが公開されました。公開当初よりバズり、数日で300万再生を超え、さらに上昇しています。

メイキング動画も公開されています。どんな3D CGかと思いきや、実際に壁や床を動かし、無数の紙吹雪を散らし、カメラマンふたりがかりで主人公の中島セナさんが駆け抜けるのを追いかけているのです。後半ではワイヤーアクションも利用されています。あまりの規模にそんな馬鹿な、と思う反面、映像の説得力からすれば「やはりそうか」という納得感もあります。

▲波打つ様子はCGを使わず実写で表現

 

CMソングは公開当初詳細が不明だったA_oさんのデビューソング「BLUE SOULS」を起用しています。1音1音ハッキリとした音質のアコースティックギターと印象的な歌声で耳に残ります。

CM公開当初A_oさんはSNSなどで限られた情報のみ公開され、顔出しなどもされていませんでした。CMで話題になり期待を集めつつ10日ほど後にYouTubeでライブを行い、アイナ・ジ・エンドさんとROTH BART BARONで結成されたユニットであると公表されました。

ここでもまた話題とパブリシティをさらいました。このように、バズの裏には何重にも作り込まれた仕掛けが貼り巡らされていました。

ターゲットの社会的心理を的確(今回の例では高校生の閉塞感)に捉えて圧倒的な表現力で表現することで、ターゲット以外からも大きな共感を得られます。

 

 

 

 

VIDEO SALON2021年6月号より転載