「藤沢シネマ」夏休み公開第二弾は、傷ついた少女と少年が出会うことで、互いの傷を癒す心の再生ストーリー。監督は昨年大学を卒業したばかりの若き演出家・笹木恵水(ささきめぐみ)さん。短期間での映像制作はベテランでないと難しい部分が多い中、果敢に挑戦。しかも藤沢さんと少年が絡む話を撮りたいと、ただでさえ難しい子役を使う脚本を携えてきた。
その意欲は半端でなく、イメージに合う少年役を粘り強く探し、演技経験のない相馬君を抜擢した後も、彼のイメージに合うよう脚本を手直し。最終稿は笹木さんの個性溢れる内容に仕上がった。
スタッフも若者揃い。撮影は笹木監督と大学の同期となる岡﨑孝行さんが務め、その他、演出部、撮影部、照明部、音声部と友達が友達を呼び、キャストを含めて総勢13人を数えた。
撮影は2日間。猛暑となった炎天下、熱中症にならないよう気を遣いながら、朝の7時から日没ギリギリまで必死に撮影。予期せぬ障害が待ち受けるも、無事にクランクアップまで漕ぎ着けた。「明日を信じて生きていこう!」…そんな空気の現場であり、作品に仕上がった。さて、上映時間となりました!
『さよならボール』
あらすじ
無くしたボールを捜す少女(藤沢)と少年(相馬)が川辺で出会い、止まっていた時間が動き出す。弟の優太(平田)を交通事故で亡くした少女は、その責任が自分にあると責め続けるのだが…。●カメラ:キヤノンEOS 7D / ●編集:Adobe Premiere Pro CS5.5 / ●上映時間:15分42秒
脚本・監督●笹木恵水
▲日本大学芸術学部映画学科卒の演出家。’08年オムニバス映画『-1』で監督デビュー。卒業制作作品『窓際ヒーロー』も劇場公開された。
笹木恵水さんの公式ブログ●http://sasameg.jugem.jp/
撮影●岡﨑孝行
▲笹木監督とは大学で同期。一緒に組んでの映画制作はこれで2本目となる。向井 理ばりの飄々とした雰囲気ながらも現場を統率。
主演/少女(17)役●藤沢玲花
▲今回はキャッチボールや稽古中の日舞のシーンがあるため、演技以外の課題も多く、練習を重ね本番に臨んだ。ファンは大注目!!
藤沢玲花さんの公式HP(ジェイライブ)●http://jlive.tv/reika.html
少年(11)役●相馬眞太
▲最後のオーディションに飛び込み、少年役を射止めた。演技経験はないものの、一生懸命努力する姿勢に賭けて抜擢。今後が楽しみ。
優太(11)役●平田敬士
▲演技経験多数でオーディションから本番まで、常に冷静に役をこなしていた。声にはならない「ねえちゃん」の演技が涙を誘う。
制作スタッフ
現役学生の手助けもあり、総勢13名という大所帯となった今回のロケ(残念ながら平田くんは先にクランクアップ)。後列男性陣左から神保卓也さん、金井 隆さん、神田 光さん、岡﨑孝行さん、高橋歳行さん、柳田耕佑さん、芳士戸一成さん。前列女性陣右から笹木恵水監督、土橋和子さん、飯山りかさん。そして主役の藤沢玲花さんに相馬眞太くん。
制作後記 / 笹木恵水
「笹木さんの好きなものを撮ってください!」
ビデオサロンの方からそう告げられた時、私の脳内にぱっと浮かんできたものは、『野球』でした。自分が好きな『野球』。そして主演の藤沢さんが習っている『ダンス』。お互いの好きなものをかけ合わせて短編映画を撮りたい! そう思いました。
そこから、玲花ちゃんを『ダンス』という記号にするならば、『野球』は誰がしているのだろう。昔、選手を目指していた老人? 草野球をしているお父さん? 野球をはじめたばかりの少女? 現在、夢に向かっている青年? 玲花ち ゃん自身? 脳内で人物が飛び交いましたが、夏休み公開の作品ということもあり、シンプルに少年を選択。
そして少年と少女と言えば…と、テーマは『一期一会の出会い』に。夏の暑い日差しの中で過ごす、金輪際もう会わないであろう2人の1日。その1日は、何年たっても色あせることがなく、2人にとって、とても大切な日となる……そんなテーマと好きなものを元に、様々なことを想い描きながら、作品を組み立てていきました。さらにそれを実現するために、本当に何人もの方のお世話になりました。
玲花ちゃんをはじめ、オーディションで出会った少年役の相馬くん、大学同期のカメラマンの岡﨑くん、演出部をはじめとするスタッフの皆…書き記せないほどの方々のお力をお借りしました。
『映画は1人では創れない』
どの作品もそうですが、今回は特に感じることができた現場でした。沢山の方に囲まれた幸せな創作期間をどうもありがとうございます。また友人・家族にもお礼を。いつも本当にありがとう。
2011年も3分の2が過ぎました。振り返るにはまだ早いかもしれませんが、すでにこの時期でみなさまのお心にはいろんな想いがあると思います。その状況の中で、作品を創れること、そして観てもらえることに感謝をしつつ…終わりゆく夏をこの作品と共に、楽しんで頂けると嬉しいです。