RECボタンを押すと、身震いする

取材・文●村松美紀 / 編集部 片柳

PROFILE
2004年生まれ。高校生の頃から映像クリエイターとして活躍。adidas、LACOSTEなどのSNS広告を手がける。現在はオーストラリア・ブリスベンを拠点に活躍中。Instagram:@yune0038

 

NENE’s PROJECT introduction

かわいいと思った瞬間にREC! 抑揚のある映像を意識

動画URL●https://bit.ly/vsnene2

 

高校時代に制作した、友人であるモデルの長谷川ミラちゃんのブランドのムービーです。スチール撮影の裏で、ムービー担当としてカメラを回しました。まず、事前にイメージの共有として動画を2〜3本送っていただき、それを参考にしながら、当日の撮影では「かわいい」と思った瞬間をRECしています。抑揚のある映像にするために、あえてスローのシーンを作ったり、モデルもカメラも動いている画を入れたり、ひとつの画角だけでなく、色々なカットを入れるよう意識しました。

ブランドの文字が画面いっぱいに映るカットがあるのですが、これは実際の服のデザインから切り抜いて使っています。また夕陽が差し込むようなオレンジ色のトランジションを使っていのですが、これもブランドのInstagramを見て、雰囲気に合わせて入れました。

カメラはソニー α7 III、レンズはタムロン SP 24-70mm F/2.8 Di USDを使用しました。

 

『青春は蜜である』

コロナ禍の自身の高校生活を撮影したショートムービー。「4K・VR徳島映画祭」にて大賞を受賞。これをきっかけに撮影依頼が増加した。

動画URL● https://bit.ly/vsnene1

 

オーストラリア在住のNENE(19)さんは、高校生よりプロの映像クリエイターとして活躍。小さい頃から画家や建築家といったクリエイティブな仕事に興味があり、中学の頃に美術の専門学校(予備校)に入学し空間や色について学んだ。映像に目覚めたきっかけは「ある学祭の映像科に訪れた際にビビッと来ました」とNENEさん。早速、4つのバイトを掛け持ちし、1カ月でPCとカメラを購入。「YouTubeのレビューを参考にMacBook Pro 2018とキヤノン EOS Kissシリーズのカメラを中古で。ソフトはDaVinci Resolveの無料版を使用していました」

本格的な映像制作は高校在学中にスタート。まずはプロの現場を学ぶため、Instagramを通じてビデオグラファーに声をかけ、アシスタントとして潜り込んだ。徐々に自身でも仕事を掴むようになり、ファッションブランドなどの広告撮影を行うまでに成長した。

「カメラのRECボタンを押すと、身震いします」というNENEさん。手持ち撮影の生っぽさを得意とし、「人間の動作を追うのが好きなんです。手元や瞬きなどを、よく寄りで撮ります」

在学中に、映像クリエイターとして順風満帆なスタートを切ったNENEさんだったが、卒業後は一転、オーストラリアへ移住。「当時は女子高生クリエイターという珍しさからオファーをいただいていた部分もあって…。甘いなと」  その葛藤から、自分のことを誰も知らない土地でチャレンジすることを決断した。

現在は、自ら踏み出す営業スタイルに挑戦中。「食事に行ったカフェなどで、お会計時に『マネジャーいますか?』と聞いて交渉し、PR映像を制作したりしています」  新しい土地でも、ゼロから仕事を掴み取っている。

NENEさんのバイタリティは止まることを知らず、グラフィックデザインの専門学校への入学も検討中。「今後もフリーでやっていくと考えた時に、自分を支えてくれるスキルを増やしたい」と、次の一歩を考えている。

 

主な機材・ツール

 

●VIDEO SALON 2023年10月号より転載