取材・文● 編集部 片柳 

ビデオグラファー。2022年からベルリンを拠点に活動。イベントやファッション、企業VPを手がける。『ロンドンファッションウィーク2023』『ベルリンファッションウィーク2022』などを撮影。
 

Takuma Ohshima’s PROJECT introduction

光にこだわったストリートパフォーマンスムービー

『Zero Gravity』
ストリートパフォーマー・Daneloのプロモーションムービー。2023年夏に公開。

たまたま公園でストリートパフォーマンスをやっているのを見かけて、なんの気なしに動画を撮ってSNSにアップしたところ、本人から「今度ちゃんと映像を撮ってほしい」と依頼がきて、制作をスタートしました。

企画は固めず、ロケーションだけを考えて撮影をしました。早朝、小さい山に行って撮ったのですが、光の差し方が美しくて、ロケーションはバッチリでした。構図はとにかくシンプルにすることを意識して、レンズは被写体との視線の高さに合わせて撮っていました。アングルによって被写体の見え方も変わるので、丁寧なカメラワークにはこだわりました。カメラは、ソニー α7S IIIを使っています。

編集では、シーンの繋ぎ方には気をつけています。同じアクションで背景を変えていったり、光のフレアを活かしてトランジションをしたり、飽きさせない工夫をしています。カラーはフィルム感を意識して、作りました。

◆Takuma Ohshimaとはどんなクリエイター?

大学時代にドイツへ留学をしたことから「いつかは海外生活をしたい」と目標を持ったTakumaさん。卒業後は日本で求人広告の営業職に就き、業務の一環で企業の動画制作も行うように。それをきっかけに映像へ興味を持ち、将来は自分のスキルを活かして活躍したい想いが高まった。ソニー α7Cを購入し、映像制作にのめり込んだTakumaさんは会社を退職。ワーキングホリデーの機会を活用し、人脈もツテもないまま2022年、ドイツ・ベルリンへ渡った。

渡独後は、語学学校に通いながら映像の学校にも通い、本格的に映像制作のノウハウを学んだ。初めて制作した作品は、デザイナーから依頼を受けたファッションショーの撮影。寝食を惜しんで編集作業に取り組むなど、映像制作に没頭していった。当時は、会社員時代の貯金でやりくりしていたという。その後フリーランスのビザが降り、いよいよ映像クリエイター・Takuma Ohshimaが、ベルリンにて誕生した。

現在は企業のVPを撮ることが多いというTakumaさん。クライアントはほぼベルリンの企業だそうで、「日本で仕事をしていた時は、発注側と受注側で上下関係が強かったのですが、ベルリンはどちらかというとフランク。友達のような感覚で話し合いながら仕事を進めていきます」と日本との違いを語る。Takumaさん自身もベルリンの進め方が肌に合っているようだ。

また自身の趣向について「インタビュー映像を撮るのが好きです。音やライティング、構図、映像に大切な要素が詰まっている。自分でコントロールできる幅が大きいので、作っていて楽しいです」とのこと。現在はひとりで映像を作ることが多いそうだが、「今後はチームを組んで大きいプロジェクトにチャレンジしていきたい」とTakumaさん。さらに日本の企業からの仕事も請け、日独を横断して活躍したいと意気込む。

主な機材・ツール

作業環境



VIDEO SALON 2024年4月号より転載