取材・文● 編集部 片柳、村松美紀 

2021年に映像制作チームBERECを立ち上げ、独立。独自のカラー技術を武器に、広告系動画クリエイターとして様々な企業やブランドの映像制作を手掛ける。奄美大島の観光向け映像制作も行う。
YouTubeチャンネル https://bit.ly/vs_ber

べーやん’s PROJECT introduction

自然な表情と色味にこだわったテーマパークのブランドムービー

『東京ドイツ村 ブランドムービー』
東京ドイツ村のウェブサイトのリニューアルに合わせて作成されたショートムービー。べーやんさんが旗揚げしたフリーランスのクリエイターチーム・BERECが制作を担当。

東京ドイツ村さんから、楽しい雰囲気と躍動感が伝わる映像にしたいという依頼を受けました。カットや色味は自由に制作させていただきました。撮影日は7月上旬、天気は曇り。撮影や編集の課題は、持ち味である青さをどう出すかでした。編集はDaVinci Resolveで2週間ほど。シャドウ部分に青と緑を強めに入れるなど工夫しています。

僕の編集の仕方は、まず一番良い色が出るカットを選んでグレーディングし、それに合わせて他のカットを並べる方法です。今回は、家族のシーンとアーチェリーのシーンが特にお気に入りなので、そのシーンの色味を決めることから始めました。スキントーンは黄色っぽさを抑えて白に近い色を目指して、透明感を出しています。

また、敷地が広く、モデルの時間に限りがあるなど条件が多い撮影で時間との戦いでしたが、撮影を分担するなどBERECのみんなで乗り越えました。

撮影メイキング

◆べーやんとはどんなクリエイター?

高校までサッカーに熱中していたベーやんさんだが、自営業の父の影響を受け、自分も何かをしたいという思いが強まったことをきっかけに、大学入学後にソニー α6400を購入。映像制作の世界にフィールドを移した。

「大学の仲間と旅行で新島に行きました。撮影した動画を編集して送ったら、『すごい!』とみんなが喜ぶ反応が嬉しかったんです。それで映像制作を仕事にしたいと思ったのと同時に大学を辞め、金銭的にはカツカツでしたが、バイトと撮影を1カ月ごとに繰り返し、まずは実績を作ることに専念しました」

べーやんさんの強みは、SNSを戦略的に使って自身の作品をアピールする自己プロデュース力。「Instagramではポートレートなどビジュアルの美しさ、Xでは考えや思い、またスキル面などを知ってもらう機会にするなど、役割を棲み分けしています。どうやって僕のことを知ってもらい仕事につなげるか考えて、SNSを活用しています」   

映像については、色味に自信があるというベーやんさん。透明感あるトーンやシャープさ、コントラストの強さが持ち味。「グリーンやブルーなど寒色系に編集し、リッチな印象にブランディングしています。彩度やコントラストをつけてからグレーディングして、最後にもう一度コントラストを調整するなど、細かい数値よりビジュアルの良さを大事に作成しています。色味にこだわることに面白さを感じていますし、納品して喜んでもらえた時にやりがいを感じます」

現在はソニーFX3がメインカメラ。レンズはシグマの28-70mm F2.8を愛用しており、シャープな描写を好んでいるようだ。さらに一部レンズが写し出す味にも興味を示し、「いまほしいのはオールドレンズ。渦巻き状にボケ感が表現されるレンズが気になります。フレアの出方も大事にしています」とのこと。

今後は映画制作を見据え、セリフ付きの作品に挑戦したいそうだ。

主な機材・ツール

作業環境




VIDEO SALON 2024年6月号より転載