動画制作のクラウドソーシングを手掛けるViibarが、登録しているクリエイターを対象に、FS7を無料で貸出しキャンペーンを実施。実際にそのキャンペーンを利用してFS7を利用したビデオグラファー、ディレクター4名とFS7開発に関わったソニースタッフ3名による座談会が、3月23日に行われた。
(3月31日、レポート部分追加しました)
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クリエイター側の参加者は以下の通り。


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▲写真右・三好翔さん(ディレクター/3Dデザイナー、HYBRID CREATURES)2012年に独立しHYBRID CREATUESを開始。オーストラリア人ディレクターを加え3人のクリエイターチームとなる。所有カメラはFS5、α7S。
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▲写真中・大野佑太さん(テクニカルディレクター、ファンユージュアル)実写での広告プロモーションを得意とする株式会社ファンユージュアル代表。所有カメラはEOS C100、70D、GH4、GoProなど。
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▲三好萌加さん(モーショングラフィックデザイナー、ビデオグラファー、RANA DOUBLE-O-SEVEN)ビジュアルデザインスタジオRANA007所属。所有カメラはEOS 5D Mark III。
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▲月足直人さん(ディレクター、SHIN-YU)YouTube動画制作をメインに手掛けるSHIN-YU(シンユー)代表。所有カメラはNEX-VG20など。
座談会で話題にあがったトピックスをダイジェストでご紹介する。

FS7を使ってみた印象

みなさんFS7の存在は知っていたが高嶺の花で、キャンペーンをきっかけにここぞとばかり借りてみたという人ばかり。
画質の評価はひじょうに高く、「4KのS-Log3で撮ったが、グレーディングで色も乗せやすく、深みのある色が出た」(大野さん)、
「普通のインタビューとは違うシネライクな映像が一発で撮れてクライアントからも高評価だった」(月足さん)と絶賛。
「ズームもフォーカスも滑らかで好印象。基本操作はソニーのハンドヘルドと同じように使えるのがいい」(三好萌加さん)。
一方で「ハンドルは持ちやすいが、そのまま床に置けないのが心配」「ウェディングや長時間の取材ではさすがに重くて、その用途にはFS5がいいと思った」(三好翔さん)、
「三脚でじっくり撮るにはいいが、手持ちで使うには体力が続かなかった」(三好萌加さん)という意見も出た。
また、カードがXQDカードというのも各人苦労した点で、「レンタル屋を走り回った」(三好萌加さん)など、普及がこれからという部分もある。

DSLR(一眼)との使い分け

デジタル一眼を動画制作に使うにも既に定着しているが、そことFS7、FS5など映像制作に特化したカメラの使い分けについて。
「大判ビデオカメラのほうが耐久性があり、長回しもできて安心。一眼をメイン機にするのは怖い」(大野さん)
「音収録の問題が大きい。デジタル一眼だと音声は別録りになったり、そもそも音を録らない現場で使うことが多い」(月足さん)。
「動画に入りたての人は一眼を選ぶけど、リグとかフィルターとか音声関連とか、いろいろ周辺機器を揃えていくと、結局トータル100万円を超えてしまう。たとえばFS5であれば、それがワンパッケージだから、わたしも最初にFS5を買いたかった。動画カメラとしての重心がしっかりしているので、グライドカムなどスタビライザーに乗せてもバランスがすぐにとれる」(三好翔さん)
また「クライアント受けがいい。一眼だとクライアントが持っているカメラと同じだったり、それ以下のカメラだったりするが、FS5、FS7であれば、さすがプロ、と言われる」(三好翔さん)という声も出た。

4Kについて

業務分野では4Kの需要は多くないという声もあるが、実際にはどうなのだろうか?
「4K納品ではないが、4Kで撮って編集で切り出したり、手ブレ補正的に使っている。あと4K素材のほうがHDにしたときに画質がいいので4Kで撮ることが多い」(三好翔さん)
「4Kは3:2:0の8ビットだが、HDに落とすと、4:2:2の10ビットくらいの感覚があるので最近は4Kで撮ることが多い。ただウェディングではDVDでいいという人もいるし、映像制作者と一般人の乖離は大きい。個人的にはSDサイズでは納品したくない」(大野さん)
「編集マシンがそれほどパワーがないので、時間のある案件でないと4Kは使えない。被写体、スケジュール、納品の秒数、カット数など、いろいろな要素を検討して4KかHDかは決めている」(三好萌加さん)。

ログについて

最近のソニーのα、FSに採用されているログについては、積極的に使っている人が多かった。ピクチャープロファイルを設定するよりもログで撮ってあとで少しいじるという使い方。
「ログで撮ると、情報が残っているのですごい。ライティングも省略化できるので助かる。個人的な趣味でフィルムのトーンが好きなので、サードパーティのVisionColorのLUTを使ったりしているが、かなり楽しめる」(三好翔さん)
「がっつりグレーディングするというよりも、多少いじるだけでもログの素材のほうがいい」(大野さん)
「最近CMなどでもログそのままじゃないかというトーンも結構多いので、ちょっと上げ下げするだけでいい」(月足さん)
「REC709に戻すLUTも一応試すけど、結局自分でいじっていくことになる」(萌加さん)
ログの柔らかいトーンを活かした画作りをしている人が多いようだ。

レンズについて

DSLR(EOS MOVIE)から入った人が多い関係でキヤノンレンズを持っている人が多いが、レンズ選びには悩んでいるようだった。
「メタボーンズのスピードブースターを利用してEFレンズを使っています」(三好翔さん)
「いつもはキヤノンを使っていますが、ソニーレンズの解像感の高さ、シャープさは好きなので、もっとラインナップを増やしてほしい」(大野さん)
「作品によってレンズを選び分けたい。フィルムライクではなく、生っぽい映像を撮りたいときもあるので、そのレンズの性格の分かる作例をオフィシャルで出してほしい」(月足さん)という要望も出された。
単に高画質ということではなく、映像の主旨に合わせてレンズを選び、ログから映像を作っていきたいという意識が高まっていると感じた。
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ソニー側の出席者は、マーケティング担当の入倉さん(左)、商品企画の関さん(中)、ソフトウェア設計の森本さん(右)の3名。
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