2月22日 17:40  追加情報を加えました。

富士フイルムは、シネマカメラ用レンズとしては画期的に低価格のシネマズームレンズ「MKレンズ」シリーズを新たにラインナップすると発表した。

インターネット上の企業CMなどウェブ映像の急激な普及により、ソニーのPXW-FS7やFS5などコストパフォーマンスの高いシネマカメラが求められるという背景があり、それに合わせたレンズへの期待が寄せられていた。これまでの同社のFUJINONブランドのシネマレンズは安くても数百万円でしかもPLマウント。現場の制作コストとしては見合わない。一方でスチル用のレンズはズーミング時に焦点移動や光軸ズレなどが発生するといった問題があった。今回のMKレンズは、PLマウントではなく、ソニーEマウントを採用。今年中に富士フィルムのデジタル一眼で採用しているXマウント用も開発していくという。

まず第一弾として登場するのは焦点距離18-55mmの標準ズームレンズ「FUJION MK18-55mm T2.9」(以下MK18-55mm)で、発売は3月上旬から。価格は標準ユーザー渡し価格として42万円(税別)とシネマズームとしては格安になっている。


「FUJION MK18-55mm T2.9」ズーム比:3倍、F値:F2.75、T値:T2.9、画面寸法:24.84mm×13.97mm(Φ28.5mm)、最至近撮影距離(M.O.D):0.85m/2ft 9in(マクロ操作時0.38m/1ft 2.9in)、絞り羽枚数:9枚、フィルター径:82mm、前枠径:85mm、全長:206.3mm、質量:980g、レンズマウント:Eマウント

さらに同じくEマウントで焦点距離50-135mmの「MK50-135mm」(写真下)を今年の夏に発売する(価格未定)。

「FUJION MK50-135mm T2.9」ズーム比:2.7倍、F値:F2.75、T値:T2.9、画面寸法:24.84mm×13.97mm(Φ28.5mm)、最至近撮影距離(M.O.D):1.2m/3ft 11in(マクロ操作時0.85m/2ft 9in)、絞り羽枚数:9枚、フィルター径:82mm、前枠径:85mm、全長:206.3mm、質量:980g、レンズマウント:Eマウント

また、この2本のXマウントバージョンは本年中の発売を目指し、開発を進めていくという。

MKシリーズの特徴

・画面中心部から周辺部まで高い光学性能と低ディストーションを実現。シネマカメラ用フジノンレンズ「HK/ZK/XKレンズ」シリーズと色味を統一設計することにより、複数のレンズを併用する際に必要なカラーグレーディングを簡略化できる。

・焦点距離全域でT2.9の明るさを実現。

・スーパー35mm/APS-Cセンサーに対応したEマウントと同社ミラーレスデジタルカメラXシリーズで採用しているXマウント(APS-Cセンサー)専用設計。短いフランジバックの利点を最大限に活かすことで、高い光学性能を小型・軽量ボディで実現し、少人数オペレーションでの撮影に対応している。

・フロントフォーカス群とズーム群が独立して駆動する方式を採用し、ズーミング時の焦点移動を抑制。ズーミング後にフォーカスを合わせ直す必要がない。また、光学的・機械的に制御しているため、電気制御のようなタイムラグはない。

・フロントインナーフォーカス方式を採用することで、フォーカシング時の画角変動(ブリージング)を抑制。

・従来のシネマレンズで培った製造技術を活用し、ズーミング時の光軸ズレを抑制。

・フォーカス回転角は200度と幅広い回転角を確保。

・フォーカス、ズーム、アイリスを独立して操作できる3連リング。

・すべての操作リングにギアピッチはこれまでのシネマカメラ用フジノンレンズと同一の0.8Mに統一。フォローフォーカスなどは流用できる。

・アイリスはクリックが発生しないシームレス調整に対応。精緻な露出調整を実現し、またクリックによる振動や作動音を防ぐ。

・レンズ前枠径は85mmとし、マットボックスの共用が可能。

・フィルター径は82mmで、フィルターの共用が可能。

・3連リングのギア位置を統一し、レンズ交換時にアクセサリー位置の再調整が不要。

・マクロ機構を内蔵。

・フランジバック調整機能を搭載。

問い合わせ先:富士フイルム株式会社 光学・電子映像事業部営業グループ tel048-668-2143

富士フイルムウェブサイト http://fujifilm.jp/

追加情報

システムファイブ(東京都千代田区)は、2017年2月23日から24日の2日間、東京・半蔵門のPROGEAR半蔵門ショールームにて「最新シネマズームレンズ 『FUJINON MK18-55mm T2.9』展示会」を開催する。

2月22日に富士フイルムより発表された、新コンセプトのシネマズームレンズ「MKレンズ」シリーズ2機種の内、3月上旬に先行して発売を予定している「FUJINON MK18-55mm T2.9」の実機を世界で初めて公開。23日より開催されるCP+2017の富士フイルムブースにも展示されるが、そちらはモックアップの展示のみとなる。

イベントの詳細情報は以下。
https://info.system5.jp/proseminar/archives/15576

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