【シリーズ企画】フィールドテストで探るTOKINA V レンズの可能性〜映像作家・栁下隆之編


 

AT-Xレンズの基本性能を受け継ぎ、一眼動画用に設計されたワイドズーム・Tokina-Vレンズ。同シリーズにはAPS-Cレンズが3本、フルサイズレンズを1本ラインアップする。今回は3本のAPS-Cレンズにスポットを当て、 実際のフィールドで使ってみることで、それぞれの魅力を探ってみた。
映像・レポート●栁下隆之(LimeTec)

 

AT-Xの基本性能を受け継ぎ、フォローフォーカス用のレンズギアを搭載

写真撮影の場合、レタッチ処理でレンズの歪みや色収差の補正が可能であるが、動画撮影の場合は一筋縄では行かないこともある。一部のカメラでは純正レンズとの組み合わせ時に補正が効くものもあるが、それらすべてのレンズが動画撮影時に優れた操作性を発揮するわけではない。

オートフォーカスに任せっきりの撮影ならばともかく、フォーカスコントロールによる演出をしたい場合は、マニュアルフォーカスの操作性も無視できない。諸々を考慮した上で、筆者が以前から使用しているのが トキナーAT-X 12-24mmf4 である。これは一世代前の物で、現行モデルでは 12-28mm に画角が拡大されて、より使い勝手が良くなっている。フォーカスリングのクラッチ機構のおかげで、マニュアルフォーカス時にダイレクトな操作感が得られるので、フォーカスが分かりにくい広角レンズでの撮影では重宝している。筆者はこれに知人が3Dプリンターで製作した0.8ピッチのギアの取り付けて使用して、主にジンバル撮影などで常用している。

この高コストパフォーマンスの超広角レンズ群に、メーカー自らが0.8ピッチの全周ギアを装備して発売した物が、今回紹介するVシリーズとなる。写真用ラインナップと僅かな価格差でギアが付いてくるので、後からレンズを取り付けることを考えればお得感があるし、精度の高いギア山なので、各社のフォローフォーカスとの相性も良い。また、直接指で触れる際にも邪魔にならないので、レンズ単体で運用する時の操作感も良好だ。

 

FS5のRAW出力をSHOGUN INFERNOでProRes422収録

今回はレンズ性能を見極める上で、少々ハードルの高い組み合わせで運用してみた。カメラは ソニーのPXW-FS5 で、これのRAW出力を ATOMOSのSHOGUN INFERNO で ProRes422 で収録し、現状考えられる中ではレンズの解像度を最大限に引き出せる設定で撮影した。

カメラサイドに SHOGUN INFERNOをマウントして、ワンマンオペレーションで収録。レンズの小型軽量な取り回しをスポイルさせない運用を心がけた。

ギアはレンズ全周にあり、マニュアル操作時の妨げにならない。後付けギアには無い一体感と操作性だ。

 

 

対角魚眼で独特なパース感のAT-X DX 10-17mmF2.5-4.5

 

AT-X DX 10-17mmF2.5-4.5 は、いわゆる対角魚眼で独特なパース感を活かすには少々コツがある。カメラの水平を取ることはもちろんなのだが、敢えて大きくチルト方向に煽った構図にすることで、パース感を強調してインパクトのある画面を作ることができる。

森の中での撮影では分かりにくいが、夕景の撮影では上煽りで撮影することで、歪みを最大限に強調して奥に沈む印象的に捉えてみた。

 

超広角だが、歪みや角収差を良好に補正したAT-X116PRO DX V 11-16mmF2.8

AT-X116PRO DX V 11-16mmF2.8 は、超広角ズームレンズにしては、歪みも含めて周辺の角収差が良好に補正されていて、全画角で安心して撮影できる。絞り値と光線状態によっては若干のパープルフリンジが気になるが、この画角域では大きな問題になることは少ないだろう。

 

カメラ位置を変えずにレンズだけで寄り引きしてみたが、11mm の広角端でも空水平線の歪みは最小限で、違和感を感じない。解像感も良好に保たれており、この画角域のレンズとしては非常に優秀な印象を受けた。

11mm 端ではよく見ると左端の人物には目立つパープルフリンジがあるが、実際に動いている画では大きく気になることはないだろう。

同社のホームページを見ると、「トキナブルー」という記載を目にするが、少しの色調整で見た目以上に南国の海の色を再現することができた。

 

作者の近影を動画の中に移し込んでみた。こういった構図も超広角レンズならではの遊び心。

 

 

広角ながら歪みが少なく肉眼に近い見た目の映像が撮影できるAT-X12-28 PRO DX V 12-28mmF4

 

森の中の 28mm、展望台からの夕景 12mm のどちらも、見た目に近い画角が撮れる印象を受けた。実際には超広角から広角域の画角なのだが、恐らく歪みが少ないことで見た目に違和感を感じないのであろう。仮に屋内でパース感を最小限で撮影したい場合や建物外観など、歪みを抑えて撮影したい場合に好適なレンズという印象だった。

 

動画作品では3本の広角レンズの映像だけを構成したのだが、知人のシンガーソングライター・古賀小由実さんの曲とマッチして、MVとも環境ビデオとも取れる仕上がりとなった。1曲3分ほどの動画なので、さらりとご視聴頂けることと思う。これも、カメラの画質を引き出してくれるレンズ性能があってこそ作れた映像だと感じたのだが、皆さんの印象はいかがだろうか。

 

●Tokina Vレンズの製品情報

http://www.kenko-pi.co.jp/brands/cat71/tokina-v.html