中国深センにあるKANDAO(以下カンダオ)社からユニークな製品が登場した。カメラを写真左のように横位置に構えると180度の3DVRカメラとして、右のように縦位置にして使うと360度全天球のVR動画と静止画が撮影できる。一台の中に様々な先進的な機能を備えたQooCam(クーカム)について、インプレッションを交えて紹介していく。今回、発売開始に先駆けて、実機を入手することができたので、前編となる今回は製品について、後日公開予定の後編では実使用のレビューをお届けする。

レポート◉染瀬直人

 

360度・180度3DVRを1台で撮影できる3眼VRカメラ

注目の新VRカメラが、また一つ登場した。その名もQooCam。中国・深圳のスタートアップVRカメラメーカー・カンダオ社が、満を持して市場に投入する同社初のコンシューマー機だ。国内では三友が代理店となり、49,800円(税抜)で、8月下旬より販売が開始される予定だ。

 

▲裏表に配置されたレンズ

 

▲QooCamのレンズと電源ボタン。2秒間長押しすると起動し、さらにもう一度押すとWi-Fiモードとなる(写真右)。USBケーブルでPCやMacと接続した際も、一度、電源ボタンを押すとQooCamが認識される(USBモード)。

 

▲QooCamの撮影ボタン。2秒長押しすると動画撮影が開始され、短 く押すと静止画が撮影できる。その右横は、180度と360度のモード切り替え表示。

 

 

QooCamは、背中合わせに配置された片側2つと、もう片側の1つからなる3つのレンズで構成されている。それぞれのレンズは視野角216°、絞りF2.2。センサーはソニー製の1/2.5型 4K CMOSセンサー IMX317を採用している。最も特徴的なことは、一台のカメラで2通りの撮影が実現できることにある。カメラを縦使いで使用した場合、3眼のうち裏表の2つのレンズを使用することで、360度の全天球映像を撮影。またカメラの先端部を90度横倒しにセットして、並列の2つのレンズの使用に切り替えることにより、180度3Dの映像や画像が得られるハイブリッドな仕様となっている。このように360度と180度3Dが撮影可能なVRカメラは、コダックがフォトキナやNABで参考展示していたり、先ごろVUZE(ビューズ)というイスラエルのスタートアップ企業からも発表されているが、実際に発売されたものとしては世界初であろう。2つのレンズから得られた素材は、オプティカルフローにより、ステッチされる。カンダオは、QooCamを旅行のあらゆる場面で、思い出を漏らさず記録できる最適なカメラと謳っている。

 

強力なスタビライザーやリフォーカスなど多彩な機能を備える

 

メーカーによるプロモーションムービーを見ると、QooCamにはさらに多彩な機能が実装されていることがわかる。120fpsのハイフレームレート動画撮影では、解像度は1920×960となるが、滑らかな再生とスローモーションのVR映像が記録できる。そして、タイムラプスモードも備える。他には、強力な手ブレ補正のアルゴリズム(IMU 6軸ジャイロ)は、もはやジンバル使用の必要性を感じさせないほどだ。また、180度3Dの静止画撮影に限られるが、デプスマップを生成して、後からピントの合焦位置や被写界深度のボケ具合を自由に変えられるリフォーカスが可能となる。これは画期的なテクノロジーだ。さらに、背景を変える(例えば青空から夜空へ)スカイチェンジ機能や、360度と180度の4Kライブ配信機能は、執筆時点ではまだ実装されていなかったものの、今後のアプリのアップデートで搭載されることが予定されている。コンシューマー機とは思えぬほどの、最先端の高機能が詰まっているのだ。

 

 

QooCamを開封、エレガントな質感が印象的

到着した梱包を早速、開封すると、ボディと共に、レンズ保護カバー、ベルベットカメラケース、USBコード類、使用説明書、保証書が同梱されている。本体を手に取ると、予想よりも少し重みがあり、表面のアルミニウムは高級感を感じるマットな仕上がりになっている。同社のハイエンドカメラ・Obsidianはフランス人デザイナーチームによる美しいデザインが印象的であったが、QooCamもガジェットといったイメージとは一線を画すエレガントな質感だ。このあたりにも、KANDAOの製品づくりのポリシーが感じとれる。

▲QooCamのボックスを開封。”Hello,to the future of imaging”と、書かれたスリーブの中に、説明書と保証書が入っている。

 

レンズ保護カバーはボデイを立たせるカメラホルダー(スタンド)としても使用できるので便利だ。底面の1/4インチ三脚ネジ穴は、内部の構造やハードウェアのデザインを考慮して、中心ではなく、若干はじにしてあるという。本体のサイズは2.5×3.1×19.9cm、重さは170g。内蔵バッテリーの容量は2600mAh(5V1A)で、最大3時間の連続撮影が可能となっている。

 

▲レンズカバー。上にずらすと抜き取れる。

 

▲レンズカバーはスタンドとしても使用できる。ただし、過信して倒さないように注意。

 

 

撮影データはmicroSDカードに記録

QooCamは最大256GBのmicroSDカードに対応しており、撮影した動画と静止画のデータはそこに保存することになる。動画のファイル形式はMP48分間で分割されて記録される。ビットレートは最大60Mbpsとなる。本体にmicroUSBを接続することにより、パソコンにデータをコピーすることができる。

 

▲microSDカードスロットはレンズ側面に配置。

 

▲同梱のmicroUSBケーブルと接続端子。モバイルバッテリー等からの電源供給とデータの転送ができる。

 

◉アプリではリアルタイムプレビュー・リモート操作などが可能

専用アプリ(Android/ iOS)v..では、QooCamをWi-Fi経由でスマートフォンに接続して、プレビュー、リモートコントロール、録音、録画データのダウンロードを行うことができる。次回、アップデートのv1.3では、FacebookYouTubeへ、直接アップロードできるようになる予定。

▲QooCamアプリによるリモート操作の画面
▲QooCamのアプリのカメラアルバム画面

◉デプスマップ・リフォーカス・スタビライザーはPCソフトで

デプスマップの生成や、リフォーカス、スタビライザーなどの作業は、現在はパソコン用のQooCam Studioで作業する(執筆時点ではバージョン1.1.0.5。推奨するグラフィックボードは、GeForce GTX 960以上)。

●リフォーカスの操作画面

専用ソフトQooCam Studioでは、撮影した180度の3D静止画でフォーカスの合焦位置を後から調整できるリフォーカス機能を搭載。合焦ポイントを指定して、パラメーターを左右に動かしてボケ具合を調整する。

 

●スタビライズの設定画面

動画のスタビライズも現在は専用ソフトQooCam Studioの後処理で行う。Anti Shakeとは、カメラが傾斜あるいは、回転した時、揺れを抑えながら、画面は同じ方向に傾斜と回転をする。Full Stabilizationは、カメラが傾斜あるいは回転しても、画面は水平線をキープする。(180度の動画では、Full Stabilizationはなく、Anti Shakeのみ。)Adjustmentはヨー・ピッチ・ロールの傾きを手動で調整するためのもの。EDIT画面では、使う尺だけを、トリムングできるまた、v1.1.0.5から、EDIT画面にColor Corectionが追加された。

 

 

◉オプションのアクセサリーも同時発売

オプションのアクセサリーには、QooCamとペアリングして使用できるBluetoothリモートコントローラー(左)とセルフィースティック(右)がある。セルフィスティックは、中心ではなく若干はじに配置されたQooCamの底面のネジ穴にぴったりフィットする仕様になっている。いずれも価格は未定となっている。

 

 

◉QooCam発売記念イベントを9月5日に開催

9月5日には東京で、使いこなし講座や実機に触れることができる「KANDAO QooCamが当たる発売記念 タッチ&トライ・イベント」(KANDAO × 三友 × VR未来塾)を予定している。

https://qoocam.peatix.com/

 

QooCamのスペック表

外形寸法 2.5cm × 3.1cm× 19.9cm (横幅×奥行×高さ)
重量 170g
バッテリー 2600mAh(5V1A)
充電方法 Micro – USB
連続駆動時間 最大3時間 (連続撮影)
記録媒体 Micro SD Card (最大256GB)
Bluetooth BLE4.0
USB Micro-USB 2.0
Wi-Fi Wireless 5G+2.4G
360° ビデオ収録 3840×1920 / 30fps

3840×1920 / 60fps

1920×960 / 120fps

360°静止画収録 4320×2160
180°3Dビデオ収録 3840×1920 / 30fps

3840×1920 / 60fps

1920×960 / 120fps

180°3D静止画収録 4320×2160
アプリケーション iOS & Android OS

 

 

◉製品情報(三友)

https://www.mitomo.co.jp/products/kandao-qoocam/