サービス内容
3軸のサービス展開
先進的であるが故に取っ付きづらいサービスでもあるため導入支援や活用支援も行う
基本的には、オリジナルのAIモデルを生成して提供するというのが弊社のサービスの根幹となります。
ただ、バーチャルヒューマンを使って課題を解決するようなサービスは、先進的であるが故に取っ付きづらいサービスでもあるため、導入支援サービスも行なっています。社内にはスタジオと撮影チーム、クリエイティブディレクター、制作進行などがおり、ECサイトのキービジュアルやコンテンツ、ささげ(撮影・採寸・原稿の頭文字を1文字ずつ並べた造語)と言われる商品詳細に掲載する画像作成、カタログ、店頭POP、屋外広告、テレビCMなどの制作まで入ることが可能です。また、別の制作会社が既に入っている場合は、AIモデルの提供だけを行うこともできます。
さらに、活用支援という面でも着せ替えのツールや広告運用、リブランディングなど、AIモデルを活用したDX支援などのサービスも行なっています。
様々なチャネルへのAI modelの導入・制作など支援
AIモデルを活用したCVR改善・効率化などDX支援
AIモデル導入状況
既に60〜70社ほどの導入が進行中
リリースしてからまだ1年半ほどのサービスですが、既に60〜70社ほどの導入が進んでいます。具体例を挙げると、アパレルのRight-onさんはキッズのメンズ・レディースモデルにAIモデルを導入していただいています。また、東京ガールズコレクションさんにはECサイトで使用する用途の身長別AIモデルの提供をしています。ランウェイで歩くのは実際のタレントさんですが、予算の都合などで写真が使えなかったりする場合に、タレントさんが着ていたコーデをAIモデルに着せて展開することで費用を安く抑えることができます。
法的な担保
生成AIでは、法的・倫理的な問題が最も話題に上がるポイント。AI model社では、下記の4つポイントに留意して法的な担保を取っているという。
AI model社では、各事務所/モデル個人とAI モデル化、および使用範囲無制限の契約を締結している。
詳しくは著作権のページを見てほしいが、無作為データの学習は著作権上問題ないという弁護士からの意見書も取得。
着用イメージが実際と乖離している場合は誇大広告に当たる可能性がある。AI model社では着用のサイズ感含め忠実に反映しているため誇大広告には当たらないと弁護士にも確認済み。
生成したAIモデルが著名人など既存の人物に似てしまっていないか複数人のスタッフでチェックする。
AIを起用したCM制作の舞台裏
お〜いお茶 カテキン緑茶 TVCM「未来を変えるのは、今!」篇
リニューアル発売した「お〜いお茶 カテキン緑茶」のテレビCMにてAI modelを起用。テレビCMへのAIタレントの起用は日本初となり、SNSを中心に話題を集めた。
ワークフロー
「今の自分が伊藤園のお茶を飲むことで、未来の自分も健康でいられるといったテーマがある中、AIなら何ができて何ができないのか、生成の手法について、法的に問題がないかなどを企画提案の段階でお話しさせていただき制作に入りました」と中山さん。
AIモデルに関する工程
・AIでの対応可不可について
・生成手法について ・法的担保について
AIモデルに関する工程
・100以上のパターンを生成し提案。
・目と目の距離や唇の厚さなどパーツモデルごとの検証。ボディダブルの手法では影感や表情、大まかな輪郭などが踏襲されるため、ボディダブルのモデルの選定も大切な要素。
AIモデルに関する工程
・撮影に同席し、リアルタイム生成。後からAIが認識しないことがないよう、リアルタイムで確認していく。1日で撮影。
AIモデルに関する工程
・本番素材の生成。グレーディング後に本番の素材を生成し、.movのProRes素材にて書き出し。作業時間はこちらも1日程度。
スケジュールと体制
リリースメリットを狙ったわけではなくAIが適切なツールだった
今回のCMで制作手法としてAIを選んだのは伊藤園さんのお話で企画意図を表現するのにAIが適切なツールだったという面が大きかったので、リリースが思った以上に話題になってしまい正直とても驚きました 。
オファーをいただいた経緯としては、今回の伊藤園さんの商品自体、元々別の会社が生成系AIを使って本商品のパッケージを作っていました。CM自体のストーリーなどの企画は決まっている状態で、登場人物を老化させるためのひとつの方法としてAIが制作方法のひとつとして議論されたなかで、弊社にお声がけいただいた流れです。5月初旬にお問い合わせをいただき、6月中旬頃にキックオフ、9月初旬にオンエアというスケジュールで進行していきました。
本来であれば制作会社と進行のやりとりをするのが通常ですが、AIで制作するという初の試みであったため、クライアント・代理店・制作会社のすべてと関わる場面があり、フレキシブルに対応していきました。
ベースとなるモデルを撮影したうえで、バーチャルヒューマンを生成
モデル撮影を行う手法が一番適していた
今回はベースとなるモデルを撮影し、それをAIで別人に変えるという手法で、代理店からいただいた“健康的・活動的・進歩的な女性”をイメージしたAIモデルを生成していきました。この手法を採用した理由は、現場で出した演出意図がしっかりと上がりに乗るような生成方法にしたかったので、現場の表情感や踊っている雰囲気、ほんの少しの佇まいといった演出が、AIに変えてもある程度踏襲される必要があるのではないかと思いました。
老化イメージの調整・背景生成
ナチュラルなアジア人の老化を表現できるようにシステム自体に手を入れている
モデルが確定した後は、老化の調整と背景生成を行いました。老化についても自前の技術を使っていて、通常のAI生成だとデータセットに外国人が多いため、外国人っぽい老化をしてしまうんです。そういった部分をカスタマイズしてナチュラルなアジア人の老化を表現できるようにシステム自体に手を入れています。老化したときに同一人物だと分かるように、目や眉、ほくろの位置やイメージを一緒にしたり、若いときの様相を徐々に混ぜていくなど細かなイメージ調整を行いました。加えて、背景の生成も行いました。
撮影現場でのリアルタイム生成
AIは良くも悪くも気まぐれなのでリアルタイムで進められるのはひとつの強み
撮影現場でmp4データをもらい、リアルタイムでの動画生成をしていきました。1分の撮影素材に対して約15分程でAI生成された素材ができあがるため、OKカットにAIが乗るとどうなるかをエディターが確認しながら進行することができます。AIは良くも悪くも気まぐれなので、テストでうまくいっていたものが、現場で撮影した素材を持ち帰って試してみたら全くうまくいかないことも多々あります。そういう意味でも、クライアントのOKをもらいながらリアルタイムで進めていく形をとれるのはひとつの強みですね。
ポストプロダクション
グレーディングしたルックを踏襲した生成を行う
まず、仮編集用の素材生成を行いました。この時点で生成した顔の候補がいくつかあったため、全ての撮影カットに対して全パターンの顔生成を大体1日かけて行い、仮編集用素材として納品しました。
その後、グレーディングした素材をもらい、カラリストが決めたルックを踏襲した本番生成を行いました。グレーディング後に本番素材を生成することで、何かあった際にも本編集で手直しができるため安全という理由からこのタイミングでの生成を行い、納品したという流れになります。
A.
AIの技術で衣服を着せています。アパレル企業は生地感やドレープ感に特にこだわりが強いため、商品の良さが出るように撮影した上で着用イメージを作っています。
A.
基本的には社内のエンジニアがシステム開発を行なっています。
A.
弊社のAIモデルでは、その部分に力を入れているため固定ができます。というのも、そうでなければアパレルの用途としては使えないので、我々としても人物の固定はとても重要視しています。
A.
AIモデルは弊社が独自に開発しているモデルなので商用利用は可能です。ただし、基本的には弊社が納品物に関しての著作権や知的財産権を持っていて、永続的な利用権と永続的な使用範囲の権利を納品した会社にお渡ししているという形になります。
AIと広告
バーチャルヒューマンの動画について
AIはクリエイターの「やりたい」という想いと費用感のフィットしない部分を穴埋めするツール
バーチャルヒューマンを動画に使う方法は主に3パターンあります。ひとつは3DCGで作るパターン、もうひとつがMidjourneyやStable Diffusionなどで作るパターン、そして我々が今回取り扱ったベースとなるモデルを使うパターンです。この3つにはそれぞれ一長一短ありますが、3DCGに関しては費用が爆発的に高く、その企業専属のしっかりとしたクオリティのモデルを作ろうと思うと高額な費用になります。また、良くも悪くも3DCGだと分かってしまい、特に動画の場合は現実の人間と見間違えることはまずありません。良さとしてはメタバースや3D系の企画にすこぶる相性がいいところですね。
画像生成AIに関しては、連続性の再現が苦手なので動画を作ろうとすると背景がチラついてしまいます。徐々にここは改善されていくかと思いますが、正直なところ現状ではCMクオリティの動画をプロデュースするのは厳しいという感覚がありました。ただ、費用はものすごく安く済みますし、誰でも触れるようなツールが増えているため今後より一般化していく強みがあります。ベースとなるモデルを使うパターンに関しては、費用も比較的安く済み、連続性の再現も可能かつ、現実の人間に近いクオリティで仕上がるのが強みです。弊社も制作物の予算感やスケジュールに応じて使い分けているので、内容によっては3DCGを提案したり、画像生成AIを提案する場合もあります。
今回の伊藤園さんのCMに関しては、AIをCMに起用した初めての試みということもあり話題になりましたが、今後AIの使い方としては二極化していくのかなと考えています。ひとつは、今回のようにAIでバーチャルヒューマンなどを作って、会社の顔やキャラクターにしていくようなやり方です。もうひとつは、クリエイターのサポートツールという立ち位置ですね。クリエイターの「やりたい」という想いと費用感のフィットしない部分を穴埋めしてくれるようなツールとして役立つのが、本来AIが持つ一番の役割なのかなと思っています。
短所:
● 費用が高い
● 制作期間が長い
● 人間と見間違えるクオリティではない
長所:
● メタバースや3D系と相性がいい
短所:
● 連続性の再現が難しい
● 情報がないと生成できない
長所:
● 費用が安い
● 一般化している
短所:
● 撮影が必要
長所:
● 現実的な費用でできる
● クオリティが高い
AIを活用した今後の展開
企業だからこそできる差別化や高いクオリティを常に確保しながら進めていく必要がある
AI model株式会社での生成AIを使った今後の新しい展開としては、やはりAIだからこそできるような事例が増えていくんじゃないかと思いますね。例えば、年齢別にモデルを出し分けたりするような、現実のモデルで行うと大変だけれど、AIであれば容易にできるといったマーケティングに入り込むツールの制作や提供などもしていきたいと考えています。また、AI技術はこの先どんどん伸びていくはずなので、一般層にもより浸透し誰でも簡単に扱えるようになるはずです。それに対して、企業だからこそできる差別化や、高いクオリティを常に確保しながら進めていく必要があるなと感じていますね。