ケンコー・トキナーが展開するカメラバッグシリーズaosta(アオスタ)。その中でも、バードウォッチャーや鉄道写真、スポーツカメラマンに向けたシリーズであるSanctuary(サンクチュアリ)のモデルのひとつ「Sanctuary IV RK650」の使い心地をtakumifoneさんに試していただいた。
レポート●takumifone
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映像制作者にとって、リュックの選定は非常に重要な仕事です。映像制作と聞くと、大きな機材や重厚な三脚を連想される方も多いかもしれませんが、私のようにiPhoneで機動的に映像を作るスタイルにおいてだからこそ、iPhone以外の機材を守り、それらをコンパクトに運ぶことができるリュックが必要でした。今回は、Kenko Tokinaが展開しているバックパック「Sanctuary IV RK650」を実際に使用し、どのように使えるのかをレビューしていきたいと思います。
デザインと外観は控えめで都会的
Sanctuary IV RK650を最初に手に取ったときに感じたのは、派手さを抑えた信頼感のあるデザインです。全面ブラックのカラーリングは、どんな服装にもなじみやすく、都市部での撮影や打ち合わせにも違和感なく溶け込みます。一方で、細部にはさりげない機能があり、「カメラマン用リュックとしてしっかり考えられている」という印象を受けました。このリュックのシリーズである「Sanctuary」の特徴である「キビタキ」の刺繍も印象的です。

レインカバーが付属しているので、急な雨でも機材を守ってくれるという安心感もあります。ジッパーの動きもスムーズで、開閉時にストレスを感じることはありませんでした。

収納性と使い勝手
私のようなiPhoneをメインカメラとして使用する人間にとって、機材のサイズは他のミラーレスやシネマカメラユーザーと比べてコンパクトですが、それでも「撮影時にバッグからサッと取り出せるか」「アクセサリー類をきちんと分類できるか」という点は非常に重要です。リュック内部の生地の色が黄色なので、黒色のものが多い撮影機材をすぐに判別し、リュックから取り出すことができます。

Sanctuary IV RK650の中段にはベロクロで取り外し可能な支えがあり、底部には同じく取り外し可能なクッションがあります。ベロクロで自由に位置を動かせるタイプなので、機材の形状に合わせてぴったり収まるように調整できるのがありがたいポイントです。

バッテリー、モバイルWi-Fi、ノートなどを分けて収納できるアクセサリーポーチも秀逸です。こちらもベロクロでリュック内部に貼り付けることができます。

また、サイドには三脚などを収納できるポケットがあり、トラベル三脚程度ならしっかり収納できます。現場での取り回しと運搬がぐっと楽になります。

カメラバッグ市場では中々見かけない「高さ」
このバッグの一番優れている点は、リュック内部の支えなどを取り外すと、ライトスタンドがすっぽりと入る高さがあるという点です。先日、北海道に出張撮影に行ったのですが、自分で照明機材を持ち込む必要があり、その際にライトスタンドとライトのZhiyunのMOLUS X100を持っていったのですが、自分の着替えや他の機材も含めてそれら全てのものがこのバッグに収まって助かりました。

ちなみにZhiyunのMOLUS X100も光量に対してコンパクトでおすすめのライトです。

元々、超望遠レンズの収納を想定してこの高さになったとのことでしたが、カメラリュック市場においてこの高さがあるリュックはなかなか無いので貴重な存在です。
また、Sanctuary IV RK650は背面などにクッションが入っており、長時間の移動でも肩に負担がかかりにくい設計です。実際、北海道中や北海道の空港を歩き回って、東京に帰った時に肩の痛みを感じることなく撮影を終えることができました。
注意点を挙げるなら?
正直なところ、大きな不満はありませんが、強いて挙げるとすれば大きめのノートパソコン(16インチ以上)を始めとする幅があるものを入れるのがややタイトな点でしょうか。14インチのMacBook Proであれば問題ありませんが、より大きな編集用PCを持ち歩く方は注意が必要です。とはいえ、前述した通り、リュック内部の支えなどを取り外すこともできるので、大抵のものは収納出来るかと思います。

ワンマンで映像制作を行う全ての人に薦めたい、ベストバランスのバッグ
Sanctuary IV RK650は、「大げさすぎず、しかし本格的に撮影できる体制を整えたい」映像制作者にとって、非常にバランスの取れたバックパックです。日常の撮影からクライアントワーク、旅先での記録まで、多様なシーンで活躍すること間違いありません。

「ミラーレスカメラで映像を撮るだけだから、小さいバッグでいい」と思っている方も多いかもしれませんが、アクセサリーや周辺機材、特にライトスタンドなどの照明機材、さらには編集用のノートパソコンまでを考えると、Sanctuary IV RK650のようなちょうどいいバッグが真価を発揮します。今後、監督、撮影、照明、音声を1人でこなすワンマンクリエイターが増えていく中で、Sanctuary IV RK650はまさにそのスタイルを応援する一品だと感じました。