アドビは、Adobe Premiere Proの新しいモーション機能、オーディオ編集やタイムライン再生の大幅なアップデートを発表した。

90種類以上の新しいモダンなエフェクト、トランジション、アニメーションを追加。これらのツールはアドビが買収したFilm Impact社の高品質なライブラリをAdobe Premiere Proにシームレス統合することで実現。

ダイナミックな波形表示、そしてよりスムーズなGPUアクセラレーションを活用して編集を進められるため、最初から最後まで集中して作業を続けることができる。さらに、Adobe After Effectsにも、作業効率や快適さを高める改善が加えられている。今回のリリースは、編集者の視点で、編集者に寄り添う形で開発されたという。


高度なトランジションで編集を格上げ 

プロの編集者のためにデザインされたモダンなトランジション、映画のようなエフェクト、魅力的なテキストやグラフィックスのアニメーションで、編集の品質を大きく向上させる。すべてのトランジション、エフェクト、アニメーションは、デフォルトの状態でも美しく使うことができ、すべてのパラメーターをゼロから調整・カスタマイズすれば、光り輝くハイライトからダイナミックなグリッチまで、思いのままにコントロールできるとしている。

Adobe Premiere Proに新たに加わった数十種類のディゾルブ、ブラー、ワイプは、スムーズで豊かさとエレガントさを兼ね備えている。もう少しラフな雰囲気にしたい場合は、 earthquake、glitch、distortion、VHS damage、そしてchaos transitions でインパクトを加えることができる。加えて、ビデオに深みを加える魅惑的な3Dトランジションの新しいコレクションも用意されている。 

(画像をクリックするとアニメーションGIFで見られます)



新しい万華鏡トランジションで光漏れが表現される様子(画像をクリックするとアニメーションGIFで見られます)


カラーグレーディングをアップグレード 

Adobe Premiere Proのグロー、ブラー、エコーのコレクションを活用すれば、まるで写真のようなボケ、空間を意識したな照明、輝くハレーション、まばゆい光のきらめきをクリップに加えることができる。好みの形状にワープするビネットも適用できる。赤、緑、青のチャンネルを個別に操作して蛍光灯照明のカラー補正も行うことができる。

カーブ編集ツール、カラーピッカー、色収差を除去、カスタムブレンドモードなど、ドラッグ&ドロップでアニメーションできるツールもすべて揃っている。さらに、三脚で撮影した固定ショットをあたかも手持ち撮影のようにリアルに見せる手ぶれエフェクトも使用できる。


三脚撮影された固定ショットに手ぶれを追加(画像をクリックするとアニメーションGIFで見られます)


テキスト、ビデオ、グラフィックスのアニメーションは、トランジションをドラッグ&ドロップするだけで簡単に作成できる。プロのモーションデザイナーでなくてもAdobe Premiere Pro内でモーション制作を完結できるため、Adobe After Effectsと行き来する時間を大幅に節約できる。

また、モーショントランジションを使えば、静止したグラフィックスも瞬時に動かすことも可能。さらに、キーフレーム設定なしで、静的な2Dテキストに影や奥行きを加え、リアルな3Dアニメーション付きのモーショングラフィックスを数秒で作成できる。そして、デフォルト装備されているアニメーション機能を使ってロゴをクローンすれば、まるで何時間もかけて作ったかのようなモーショングラフィックスをわずか数秒で完成させることも可能。

AdobePremiereProでたった2つのPNGファイルを使ってモーションデザインを作成(画像をクリックするとアニメーションGIFで見られます)


すべての新しいトランジション、エフェクト、アニメーションに搭載されている最も強力な機能の1つが、「SurpriseMe」ボタン。ワンクリックでエフェクトやトランジションの無限のバリエーションをプレビューできるので、既成概念にとらわれず、想像力を自由に膨らませることができる。

90種類以上のトランジション、エフェクト、アニメーション、無制限のカスタマイズ、そして「SurpriseMe」ボタンを使えば、編集のたびに全く異なるユニークなエフェクトを作成することができる。90種類以上のトランジション、エフェクト、アニメーションには、エフェクトパネルからアクセスできる。また、「ウィンドウ/エクステンション」メニューから「Film Impactダッシュボード」を選択すると、すべてのツールのライブプレビューが表示されるインタラクティブなパネルが表示される。


GPUアクセラレーションでタイムライン操作はより速く
編集はよりスムーズに 

 編集とオーディオの組み合わせを試行したいときは、目分量で望みの結果が得られるまで移動を繰り返す必要があったが、こうしたほんの数クリックの積み重ねが大きな負担となることを認識し、この動作を根本的に見直したという。クリップをドラッグしたり、リップル編集、ロール編集やレート調整など一般的な編集作業を行ったりする際にも、オーディオ波形が常に表示されるようになった。 

さらに、クリップをドラッグしている間、波形と共にキーフレームとマーカーも表示されるので、主要なオーディオやビジュアルとの同期を維持するのに役立つ。 また、複数のフェードを同時に追加、調整できるようになった。対象のクリップを同時に選択して、フェード(またはクロスフェード)するだけだという。 

これらの視覚的なアップデートに加え、オーディオ最適化処理ならびにピークファイル生成のマルチスレッド化によって波形生成の高速化を実現し、Adobe Premiere Proのタイムラインでのオーディオ編集がこれまで以上にスムーズに行えるようになった。

各フォーマットのサポートと再生に関しても、かつてないほどスムーズになった。

・NVIDIA Blackwell GPU上の10ビット4:2:2メディア(H.264とHEVCコーデックの両方)のハードウェアアクセラレーションにより、省ファイルサイズ・高画質なフォーマットにおいて優れたパフォーマンスを発揮。 

・Canon Cinema RAW Lightのハードウェアアクセラレーションにより、よりスムーズな再生と最大10倍の高速書き出しが可能になった。 
・ ARRIRAW HDE(High Density Encoding)のサポートにより、オリジナルファイルサイズを60%に圧縮できるARRIRAWの再生が可能になった。 

 

ユーザーのフィードバックに応えた追加機

・テキストとキャプションのデフォルトフォントを設定できるようになった。Minion Proフォントに縛られることはない。 

・トラックターゲットに基づいてトラックのミュートとソロを切り替える新しいショートカットにより、キーボードからの作業がさらに速くなった。 

・ エフェクトコントロールパネルでクリップの最後のフレームにキーフレームを追加しようとすると、次のクリップの最初に飛んでしまう動作を修正。 

・ハイエンドのカラーとフィニッシングワークフローに必要な16ビットPNGファイルの読み込みが可能になった。さらに、PNG、DNxHR、DNxHDのデータ範囲とカラーメタデータの処理も改善された。 

・整理整頓に役立つ新しい「シーケンスカラー」タブを導入し、ワークフローに視覚的なヒントを加えることが可能になった。 

・MKVのサポートも完全に書き直した。 


Adobe After Effectsの新機能

Adobe After Effects 25.5では、クイックオフセットを導入。これは、1回のクリック&ドラッグ操作で複数のキーフレームやレイヤーをハイライトし、ずらして均等配置できる便利なツール。どんなに複雑なコンポジションでも、レイヤーやキーフレーム同士のタイミング調整をこれまで以上にすばやく行うことができる。1つひとつのレイヤーをクリックして個別にずらす必要はないという。特に何十ものレイヤーがある場合、特に便利な機能だ。

Adobe After Effectsのクイックオフセットを使えば、何十ものレイヤーをこれまで以上に素早くアニメーション化できる(画像をクリックするとアニメーションGIFで見られます)


アドビ株式会社
https://www.adobe.com/jp/about-adobe.html