ブラックマジックデザインのスイッチャーとレコーダーを採用

レポート◉編集部 一柳

YouTubeクリエイターとして愛知県岡崎市をベースに活動している6人組グループ、東海オンエア。東海オンエアのサブチャンネルで投稿されたスタジオに関する動画で、機材が映り込み、どうやらブラックマジックデザインの機材を導入しているようだった。

その動画はこちらから。

1本目: 東海オンエア 新スタジオゲットの巻

2本目: 新スタジオが完成したらしい!!たまに使うよ!

いったいどんなシステムになっているのだろうか? そこで東海オンエアの活動をサポートしているUUUM株式会社のメディアユニット メディア戦略グループ 川合虎造さんを取材し、どういった経緯でどんなシステムを導入しているのか、お聞きできることになった。

メディアユニット メディア戦略グループは、基本的には映像技術や撮影を専門としているわけではなく、所属するYouTubeクリエイターたちをサポートする部署だという。マルチチャンネルネットワークと呼ばれるYouTubeチャンネルの管理をするシステムがあり、そこにUUUMに所属してるクリエイターの方たちのチャンネルを紐付けて、マネージメント、収益の管理などを行ない、チャンネルの分析などを担当している。

川合さんは前職がeスポーツイベントの制作エンジニアとしてフリーランスで働いていて、配信の機材関連に関してはある程度の知見があるということで、今回の東海オンエアのスタジオ構築では技術系の仕事を担当することになったそうだ。

実はスタジオの構築についてはそれほど話があるわけではなく、初めて相談されたという。配信機材についての知見があるとはいえ、スタジオ構築となると特殊な部分もある。今回はコストパフォーマンスを考えてブラックマジックデザインの製品で組むことにして、メーカーの担当者とも相談しながら決めていったという。

全身グリーンバック撮影とタイムコード同期

東海オンエアは、岡崎市にスタジオを構えているが、現状だとロールカーテンをおろしての撮影となり、足元までしっかり入れた全身でのグリーンバック撮影ができないという課題があった。そのため、新しいスタジオを借り、グリーンバックのクロマキー撮影ができる環境を整えることに。

新スタジオにグリーンバックを張り、機材を持ち込む。

さらに、どうせスタジオを作るのであれば、ゲーム配信の撮影も増やしていきたいという声もメンバーからあった。これまでも6人でゲームの撮影はしていたが、撮影をする際に、ゲームをするPCが6台、さらに各メンバーの顔を撮影するカメラが6台、合計12の入力が長時間続くとなると、絵と音がずれてしまい、編集が非常にやりにくいという問題があった。そこで、その12の入力をタイムコードできっちりと同期させて収録するシステムを構築したいというリクエストがあった。

NASを入れて遠隔からデータを送る。データを一括管理したい

さらにNASを入れたいという要望もあった。ゲームの収録だけでなく、将来的には遠出して岡崎以外の場所でロケをした際とかに、遠隔でデータを送ってバックアップを取るということもしたいということ。またこれまでメディアの紛失が多かったそうで、紛失を防ぐためにもデータをNASに集約したいという構想があった。

新たなスペースを利用して、グリーンバックによるクロマキー撮影が可能で、タイムコードを導入してスイッチング収録できるシステム、さらにNASを入れたいというのが要望のポイントになる。

まずカメラとPC周りは6セット、基本的に同じものになっている。下のデスクトップPCにMicro Converter HDMI to SDI 3Gを入れて、HDMIからSDIに変換して20m引きまわしてスイッチャーへ。同様にカメラマイクをのせたカメラのHDMI Type D出力からtype Aに変換し、さらにMicro Converter HDMI to SDI 3GでSDIに変換して、PCからと同様に20m引き回してスイッチャーへ入れている。

合計12の出力はスイッチャーのATEM 2 M/E Constellation HDに入れて、ここでタイムコードを同期させて、SDIから12出力して、それぞれHyperDeck Studio HD Plusで収録できるようになっている。この12台のレコーダーはD-sub(RS-422)でリモート同期するので1個の収録ボタンを押したら全部同時に収録されるという形で運用できるようにしている。

隣接する別室に収録システムがある。

NASはBlackmagic Cloud Store Mini 8TBを導入。ネット経由でもここにデータを収録できるようになっている。スタジオ内ではマスターPCと10G LANで繋がっている。

このスタジオは4月くらいに相談を受けて、6月中旬には完成したという。スタジオ構築をするタイミングでは、川合さん自身も岡崎に出向いて作業したそうだ。ただ、現場のPCやカメラなどは据え置きになっているので、一度設置してしまえは、運用は岡崎にいるマネージャーでも可能。こういったスタジオが低価格でできてしまうのがブラックマジックデザインのシステムで揃える利点。カメラ周りやネット回線以外の部分、スイッチャー、レコーダー、コンバーターはすべてブラックマジックデザイン製品となっている。

現状は収録を想定したシステムになっていて配信はできないが、将来的に拡張性を持たせることも考慮して、最終的にラックの中の1台をBlackmagic Web Presenter HDに差し替えれば、すぐに配信できるというような構成になっている。ブラックマジックデザイン製品を導入して配信までカバーできるというのもメリットだろう。