▲Netflixとのパートナーシップを締結した6人のクリエイター。
NetflixはCLAMP(漫画・キャラクターデザイン・脚本等)、樹林 伸(小説家・漫画原作者・ドラマ脚本家)、太田垣康男(漫画家)、乙一(小説家・映画監督)、冲方丁(作家)、ヤマザキマリ(漫画家・エッセイスト)の6人のクリエイターとパートナーシップを結び、日本発オリジナルアニメの拡充を目指すことを発表した。同社では2017年にアニメのクリエイティブを統括する担当チームを東京に新設。その後、『攻殻機動隊』などを手がけるProduction IG、そして『鋼の錬金術師』『交響詩篇エウレカセブン』などのボンズ等国内アニメーション制作会社5社との包括業務提携を結んでいる。今回のクリエイターとのパートナーシップもこの取り組みの一環となる。
▲Netflixアニメ チーフプロデューサー・櫻井大樹氏
記者会見に登壇したNetflixアニメ チーフプロデューサーの櫻井大樹氏によれば、今後のアニメ作品に求められるのはスピード感であり、企画・脚本・制作等のすべてのプロセスにおいて、アメリカ本国を通さず、日本ですべて決断できる意思決定の速さは、他の外資系企業にはない特徴だという。
地上波にはできない表現の自由と190カ国に向けて配信できる魅力
この日行われたトークセッションには、元編集者でもあり、『金田一少年の事件簿』をはじめ、漫画原作・小説・ドラマ脚本など幅広く活動する樹林伸氏と、漫画『カードキャプターさくら』『コードギアス』のキャラクターデザインを手がける創作集団CLAMPから大川七瀬氏が登壇。
「最初から190カ国のグローバルに向けて作品を発信できる仕事に心躍ります。地上波ではスポンサーの意向や放送コードが足かせになることもあったが、Netflixでは自由な環境で作品に向き合えるのが魅力です。これまでテレビがアニメ業界を牽引してきましたが、Netflixがその突破口となり、業界を変えるきっかけになってほしい」(樹林氏)
「日本のテレビアニメは、その制作費をBD/DVDやキャラクター販売で回収するというビジネスモデルで、素晴らしい作品でもそこが担保できないと実際の制作に取りかかれないという課題がありました。資金集めができない若い才能が入り込むことが困難ななかで、Netflixにも条件はあると思うのですが、そこから新しいアニメーション制作のスタイルが生まれることに期待しています」(大川氏)
現場のスタッフの意向が作品に反映される
Netflixといえば、企画やスタッフ、キャストの選定にもビッグデータが活用されているという話は有名だ。Netflixオリジナル作品の評価指標については、再生回数、視聴時間、離脱率やリピート視聴などを総合してその作品が成功したかを判断するとのことだが、その一方でアニメーション制作においては現場のスタッフの意向が色濃く反映されるという。
「分析したデータをもとに脚本を作っているのかというと違います。船頭が少なく、脚本の打ち合わせも3~4人で集まり、その場で盛り上がったことが採用されたりと個々のプロデューサーの色が作品に出ます」
そう語る櫻井氏。会見では、日本発のNetflixオリジナルアニメ拡充に向けて、意気込みを見せていた。
「日本には漫画、アニメ、小説など優れた才能がたくさんいます。これまで世界に向けて発信するためには言語の壁やアメリカに作品を売り込むためにハリウッドに行くといった地理的な条件が障壁になることが多かった。表参道に来てもらえれば、即世界に向けて良質なコンテンツを発信できる。我々はそんなクリエイターにとってのホームになりたいと思っています」
●Netflix