世界でシェアを二分するレンズメーカーの2社。これまでのプロ用にない新しい技術が注入され始めている。キヤノンはデジタル一眼やメモリーカメラのモックアップも展示した。
◆キヤノンはメモリーカメラのモックアップ展示
画質に定評のあるキヤノンのプロシューマーカメラだが、ソニー、パナソニックがメモリーカメラにシフトしているのに対し、一歩出遅れている感は否めない。今回はモックアップだが、ファイルベースのメモリーカメラを開発中であることをアピールした。現段階で明言できることは、1/3インチであること(もちろん3板だろう)、メモリースロットは二つあることくらい。外観からは、液晶モニターが大きくなり、ボディもG1Sよりは一回り大きい印象。レンズ交換式ではない。記録コーデックも未定である。
キヤノンには、デジタル一眼のインフラをベースにして、新XLシリーズを開発してほしいと願っているのは、ビデオサロンだけではないはずだ。もしくは高画質な家庭用カメラS11のプロフェッショナル版という方向もあるだろう。 キヤノンのビデオ開発陣には大いに期待したい。
XH G1SはSDI出力を装備しているので、様々なバックアップの方法をとることができる。SDI入力に対応したAJAのKiProやコンバージェントデザインのnanoFLASH、IEEE1394入力に対応するFS-5や、ローランドのF-1とVC-50HDとも組み合わせて展示していた。
◆デジタル一眼はラインアップを強化
昨年InterBEEにはじめて登場し、センセーションを巻き起こしたデジタル一眼ムービーEOS 5D Mark IIだが、2009年は続々とEOS MOVIE搭載機が増え、展示も拡大された。ブースでは4モデルの機能比較表を掲示し、各モデルの画質が見られるようになっていた。特に注目は、EOS-1D Mark IVの高感度だろう。となりにあるEOS 7Dと比較しても、暗部のノイズは抑えられているようだ。この高感度性能は気になるところ。いずれ、5D Mark IIも含めた厳密な画質比較を行なってみたい。
◆1/3用の新しいレンズと防振装置付きの2/3型用HDレンズ
1/3型用HD用のズームレンズの新機種、KT14×4.4B KRSは、小型軽量タイプ。ソニーのS270Jを想定したものだろう。
家庭用ビデオカメラでは手振れ補正が当たり前だが、放送用レンズにもついに搭載された。世界初の防振装置付きズームレンズだ。HJ15e×8.5B KRSE-Vは、キヤノン独自のVAP(バリアングルプリズム)方式の手ブレ補正を採用し、広角から望遠までブレを抑えることができる。
◆フジノンはPLマウントのシネ用ズームレンズ
フジノンは35mm PLマウントシリーズを展示。HK4.7×18は18-85mmのズームレンズ、HK5.3×75は75-400mmのズームレンズ(写真)。RED ONEに装着されており、その画質や操作性を検証するカメラマンが多かった。
◆放送用レンズシステムにも被写体の追っかけ機能が入った
プレシジョンフォーカス機能に、さらに自動追尾機能が加わった。被写体の顔、形状、色を多角的に捉え、ターゲットと認識するとフォーカスが自動追尾するというもの。テレビ局のカメラマンから、モーニング娘。の個々人を認識して、フォーカスを確実に追いたいというリクエストがあり、開発されたものだという。登録した情報はSDHCカードに保存でき、別のカメラに持って行くこともできる。
●過去のInterBEEレポート一覧はこちら
http://www.genkosha.com/vs/report/interbee/