映像づくりの面白さに改めて気付かされた本〜フィルムメイキング・ハンドブック


5月31日に「フィルムメイキング・ハンドブック」という本が出ます。内容はこちらに詳しくご紹介しましたし、5月号では「映像ストーリーテリングの手法〜シネマトグラファー酒井洋一さんの作例で学ぶ」という特集で一部先行して内容を出させていただきました。

副題に「ウェディングフィルムから撮影と編集の手法」とあるとおり、この本は映像制作全般をフォローしているものではありません。しかし、ウェディングムービーを作りたい人に限定したものではないことは目次の内容を見ていただけばご理解いただけると思います。このウェディングの方法論は、イベントなどをかっこよく、かつ感動的に見せたいという、現在のウェブムービーの作り方に応用が効くと思っています。

ここで言うストーリーテリングとは、映画の手法ともちょっと違います。2008年にデジタル一眼での動画撮影が可能になり、ウェディングをはじめとしたイベントを、一曲のBGMにのせて、かっこよく、そして感動的に見せるという映像作品が世の中の主流になってから生まれた手法だと理解してください。そのベースにはミュージックビデオの影響があったはずです。だから尺としては、3分から長くても5〜6分(つまり一曲の長さ)。だから、テレビ番組や映画のように明確にストーリーを理解させる必要はないけれども、ストーリーが感じられない単なるスタイリッシュな映像だけでは、3分どころか1、2分も見てもらえないということがおきます。ミュージックビデオとは違って、主役は映像であり、視聴者は映像でいいたいことは何かと考えながら見ますから、映像でしっかりと「語る」必要があります。

一眼ムービーの黎明期から、欧米を中心にストーリーテリングという言葉は言われていましたが、まずは撮影手法やルック(それもまだまだですが)が優先され、ストーリーテリングも重要だとは分かっていてもなんだか曖昧なまま放置されてきたように思います。というのも、そこを言語化して説明するのは難しそうだからです。

だから、酒井洋一さんと書籍化の話をしたときに「あの人はセンスがいいから、で済まされてきたことを、言語化したいんですよね」と言われたときに、この話に飛びつきました。映像でしかわからないのであれば、ひたすら映像を見続けるしかありませんが、この表現の何がいいのか、どういう意図があるのかを言語化できるのであれば、テキストの存在意義はあり、きっと面白い本になると。

この本では、そこに挑戦してみました。作りながら、自分も映像制作について大きな発見がありましたし、あらためて映像づくりの面白さが分かってきました。

これからフィルムメイキングに挑戦してみたいという人にはぴったりの教科書になりますし、映像を始めてみたいフォトグラファーや、自分のセンスを信じてやってきたビデオグラファーにとっても、良い参考書になるのではないかと思っています。

秋にはブラックマジックデザインからポケシネ4Kも登場します。プロフェッショナルだけでなく、女性も含めて幅広い層にフィルムメイキングの面白さと奥深さを伝えていきたいと思います。