ソロプレイヤーのための撮影機材を探究する田村雄介の[ 新コーナー]第3回 BMPCC4Kのリグで遊ぼう!その1(ブツ的な意味で)


キャーッ!田村さんのニッチー!!」
「う、うわぁ~っ!ご、ごめんよ~!」バタンッ

もう…ほんとに…ニッチなんだから…

 

の、はずが。どうしたことか今回は現在進行形業界No1注目度ど真ん中のあいつのそいつを特集だ!たすけてリグえもん!重いカメラがぶん殴ってくる!!

 

ヤツが来た

 

ギギッ……オマエ、オレノムラ、ホロボシタ…ギィッ……

オレ、オマエ、ホロボシニキタ…!

はい物騒!

 

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kのリグ戦争

発売予告通り無事9月末に出荷となったBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K(以下BMPCC4K)。デリバリーから一ヶ月ちょいと経った今はもはやその正体は言わずもがな、小さな体にコトコト煮込んだ黒魔術を仕込み、描く魔法陣からはワラワラと魔物が錬成される非常識なスペックを放つ異形異端の子。全世界で発送通知の一喜一憂と、焦がれる時間の阿鼻叫喚を巻き起こしている大変センセーショナルなシネマカメラでございます。ビデオサロン8月号の対談にて先行で触らせて頂いたプロトタイプから発売までに様々なアップデートもあり、お手元にしっぽりと納まったその瞬間ったらもう言葉にならないったらったら。

そしてお手元に届くまでの間、男の子のおもちゃ!そう!リグと言う名のドレスアップウェアたちがそれはもう蕾は膨らむわ咲いちゃう子もいるわの百花繚乱プチ祭り。現在も日々これ発芽中といった具合で…需要の食い合いなんか気にせずお好きなのを選んでちょーだいな!一台に複数個持っていたっていいじゃない!って、いったい今何種類あるんだろう?ブランドごとにざっと羅列してみると以下のようになるが、種類でいうとほぼ各社バリエーション持ちなので10~20種くらいは数えて良いのだろうか?でも恐らく…まだ増える…のではないだろうか。以下各ブランドごとに最もシンプルな構成のフルケージを羅列していく。フルケージがないブランドはハーフケージの構成を。それぞれ色々なオプションがあるので各サイトを掘っていくと面白いと思う。

▲各社リグが出揃う前にフルスイングしちゃった我が子。こいつぁでけえや。完全に見た目重視のブロック遊び状態。ってかカメラ見えねえ。

各社のリグ一覧

8SINN/BM POCKET CINEMA CAMERA 4K CAGE(参考価格:¥39,960(税込))
https://www.system5.jp/products/detail107277.html

LOCKCIRCLE/HIPOCK(参考価格:未定)
https://www.lockcircle.com/store/?p=Hipock/

SmallRig/SmallRig Blackmagic Design Pocket シネマカメラ専用ケージ-2203(参考価格:未定) https://goo.gl/1mnxZU

Wooden Camera/Unified BMPCC4K Camera Cage(参考価格:$350.00) https://goo.gl/7bNixC

SHAPE/SHAPE CAGE FOR BLACKMAGIC POCKET CINEMA CAMERA 4K(参考価格:$218.90) https://goo.gl/UhhbMW

 

TILTA/BMPCC 4K TACTICAL ASSAULT ARMOR(参考価格:$99)
https://products.tilta.com/bmpcc4k/

motion9/CUBE P4K(参考価格:121,000원) https://goo.gl/CLjFd2

Hontoo/HONTOO BMPCC2 4K CAGE(参考価格:$99.05) https://goo.gl/EBWukG

これだけ種類豊富に選べるってことですでに感謝感激なのだけれども、そもそもBMPCC4Kが出るのかどうかも怪しかった頃から別コンセプトでの2台持ちを温め続けてはやウン年。長かった…ついにそれが孵化するということでまったくもって感涙極まりない。その2系統のコンセプトとは両極、すなわちフルアーマーと素っ裸。デンドロビウムとステイメン(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYより)と言っても良いでしょう!1台はマウント変換を装着し、これでもか!と言わんばかりのフルアーマーでカメラ本体が見えなくなるほどのセッティング。素っ裸はネイティブのm4/3レンズなどで軽やかに踊り駆け抜ける紳士のように。そして裸のハンドヘルドからチョイ足しで即座にギンバル用セッティングに変更できる足回りの構築。この2系統を毎度少しずつアレンジしていけばきっと究極装備が完成するのではないか!よーしリグ色々買っちゃうぞー。

▲やっとカメラ見えた。全然関係ないけどヤラシいパーツがついてますねぇ。銀一さんにはもうないよ!量販店にはまだあるよ!(2018/11/9現在)

まず真っ先にコンセプトモデルの発表がはやかったLOCKCIRCLE。そして発表即座にプレオーダーをかけられたのが8Sinn。続いてSmallRig。LOCKCIRCLEがなかなかオーダーかけさせてもらえないのが非常に残念…(2018年11月9日現在でまだ)と言ってる間にBMPCC4K本体届いた! ちょっと遅れてすぐに8Sinn届いた!! 一ヶ月遅れてSmallRigも届いた!という状態になったので、今回先発隊ということで8Sinnをコアに。フルケージ、SSDホルダー、Metabonesアダプタホルダー、ケーブルロックの基本セットを盛り付けて…いただきます! フルケージにフルアーマー装備は模型やレゴブロックでも組んでいるような感覚で遊びながら、とにかく一度全力で思うがままにでっかくフルスイングで組み上げてみようというもの。なんでもそうだと思いますが、野球人で言うところのイチロー選手や中村紀洋選手のように「トレーニングでこそフルスイング」っていうのはすごーく大事だと思うんですねー。そこからコンパクトにしていくのは後からの調整次第でいくらでもできるので、まずは何ができるのか確認するためにも!とにかく組む!組み上げる!あわよくばそのまま実戦投入!実戦投入するにあたってよく耳にするのが「カメラは重くないと何をするにも話にならん!」「いいや軽いカメラじゃないと映像業界の最先端は走れないね!」「でけえよ!」「小さくて握りづらい!」というようなカメラのサイズ感論争。大丈夫!どっちもどっちだ!BMPCC4Kで両対応!え、BMPCC4Kがでかい?よーし並びたまえ。モンスターリグがぶん殴りに行くぞぉ。お前もリグにしてやろうかぁ。

というわけで、から、の。今回はフルアーマーなのでした。 蛇足ながらこれまた今回の前提条件を述べると「フルケージ」が僕の中での基本。正直ハーフケージの操作性と軽量には歯噛みしてしまうところだけど、カメラを守っていただきたいという思いが強すぎて…当然ながらリギング時の自由度をあげるという意味もある。けど…フルケージの右肩の隙間とかカッコ悪いの声もたびたび耳にして…ああ、もう!いいの全部フルケージ!(と思っていたらなんとTILTAがこの思い全部解消してくれました笑)

▲接続している端子はUSB-C、HDMI、MiniXLR、Power。PowerはなかなかD-Tap純正ケーブルが発売されなかったので電源アダプタをぶった切った。

 

フルアーマーに対する基本セッティング

我が家のフルアーマーBMPCC4Kに当て込んだ基本セッティングをば。CFastやSSDなどはBlackMagic社より対応製品に対する記述がなされているのでそちらをご参照ください。

◉スクリーンプロテクター

株式会社ミヤビックス製 光沢液晶保護フィルム

OverLay Brilliant(980円/税込)
https://www.visavis.jp/shop/product/4525443231713/

OverLay Plus(980円/税込)
https://www.visavis.jp/shop/product/4525443231720/

OverLay Magic(1,296円/税込)
https://www.visavis.jp/shop/product/4525443231737/

本体が届いて早々にオーダーメイドサービスで作ってもらった保護フィルム。URSA Mini4.6Kの時にも作ってもらってその品質には絶大な信頼感を持っていたので、今回も再度のオーダーメイド。いつもいつも色々なデバイスで大変お世話になっております…。Brilliantは一番スタンダードな光沢フィルム。操作性に影響なくフィルムも頑丈かつとても綺麗。Plusはアンチグレア。アンチグレアのフィルムも操作性には問題ないのでお好みで。Magicは若干滑りが悪くなるものの自己修復機能があるとのことなので傷をつけそうな可能性が高いリグ組機におすすめ。

▲さすがにプロテクターフィルムは見えないけどここに貼ってあるのはOverLay Magic。BMPCC4Kに保護フィルムは必須だと思う。

◉追加バッテリー

Photoolex デュアル充電器付 LP-E6互換バッテリー 2100mAh 2個セット(3,280円/税込)

(参考:CFastレコーディング/オプション無し/CinemaDNG3:1 DCI4K60P収録 – 約50分動作確認)

Powerextra LP-E6互換バッテリー 2100mAh 2個セット(2,599円/税込)

(参考:CFastレコーディング/オプション無し/CinemaDNG3:1 DCI4K60P収録 – 約40分動作確認)

色々互換バッテリーを試した結果、駆動時間の結果が良かった物たち。ただし!種類が無数の世界なのであくまでもご参考までに。BMPCC4K付属のバッテリーはどの世代のCANON純正LP-E6チャージャー(5D2、 5D3、5D4、全てNGでした)でも充電ができないため、Photoolexのようなチャージャー付がおすすめ。おかわりバッテリーでもう充電器増えてもしょうがないと言う場合はPowerextraでも良いかもしれないです。そこらへんはご自身の運用に対するバッテリー消費を見ながらちょっとずつ増やしていくのがベターでしょう。どちらも%表示は出るけど全く当てにならないので素直にV表示で確認するのが確実。だいたい6.8Vが通常運用できるかどうかの境界線。6.8V切ったあたりから現バージョンでは色々と動作がカットされていきます。(ミニXLRから電源が供給されなくなる、USBディスクがマウントしなくなるなど)逆にSSDやファンタム供給し続けたまま回しっぱなしでバッテリー切れまで回し切ると6.2Vぐらいまで回ってしまうためバッテリーにダメージがいきます。オプションなし運用の場合は6.5Vくらいまで作動。6.8Vの壁、ちょっと気をつけて見ててください。

▲ぶった切った翌週、純正D-Tapケーブルが発売されたのであった。南無。しかしバッテリー挿入状態でのD-Tap運用は長時間収録には最高だ。無停電。悔しいのでそのまま使用。あとここまで繋げると各社ケーブルクランプは完全に蚊帳の外…残念。というか蓋が開かなくてそもそも少々使いにくい。

◉USB-Cケーブル

DockCase 22cm USB-C To USB-C 3.1(Gen2

HomeSpot 9″ (23cm) USB 3.1 Short(Gen1)

とにかくこれは見た目の良し悪しもさることながら、運用時にひっかけるなどのトラブルにも発展するなかなか大きな要素。そんな大事なものなのに…ここでいつもの毎度のあぁっもう!国内流通品にちょうど良い品が無い現象。仕方ないので米アマゾンよりお取り寄せ。DockCaseはいわゆる「きしめんタイプ」でかなり柔らかいもの。きしめんタイプにありがちなひねってイヤーンなこともない。HomeSpotは丸型太めのちょい固め。とはいえガッチガチでもないのできしめんタイプに抵抗のある方はこちらをどうでしょう。ちなみにGen1ケーブルになっていますが1TBのSamsungT5への書き込みでは問題ありませんでした。両ケーブルともにCinemaDNG3:1 DCI4K60Pで1TB丸々コマ落ちなしで回りきりました。

▲残念なのはSAMSUNGのロゴ(笑)逆さまだったらなぁー。

今回はきしめんタイプをチョイス。薄くて柔らかいのでケージの隙間を通すのも楽々。ショートケーブルの喜びに加え、さらに余りを隠せる。SSDホルダーはなんでこんなとこに付いてんですかねえ。カッコいいから!じゃなくて、この位置ってまず間違ってブツけることや触ることがないんですね。外側にハンドルもいるし。T5が頑丈な作りなのでつい忘れがちなのだけど、あくまでも剥き身で外にさらされている記録メディアということはお忘れなきよう…なるべく安全な場所への設置をお勧めします。SSDホルダーに関しては後述も。

◉その他8Sinnの純正パーツ

Metabones SpeedBooster サポート。これがないとm4/3のマウントには各種レンズ、ちょいと負荷が大きいのが気になるところ。このパーツを付けるためというのが実はリグを買う意味の大きな部分でもある。このパーツとベースプレートからのロッドに装着するレンズサポートがあれば、どんなレンズもまずは一安心。ちなみにサポートの下にSmallrigのロゴが見えますが、これはベースプレートのものなので悪しからず。

そしてちょいと一悶着あったSSDホルダー。次回この辺は色々と突っ込んでいくけれどもリグブランド各社、とんでもない仕様をひっさげて登場したBMPCC4Kに対応するべく苦労して考えたんだろうなぁ…と思った。これに関していえばVer2の登場にとても期待したい。8Sinnはお得意の共締め構造が故に装着時に若干のもたつきを発生させる。上手いんだけど…上手いんだけど!!SmallRigは取り付け位置もSSDの取り付け向きも固定にしているのでちょっと柔軟性がない。とはいえ、なんせこのサイズのカメラにカメラメーカー推奨SSD記録なんてこと自体が初だ。急ピッチの開発には本当に頭がさがる思いだ。だからこそ!Ver2…お願いしますね?しかし8SinnのSSDホルダーの付け根、コールドシューマウントはケーブルオーガナイザー代わりに使っても意外と良い…感じ…?さらにちなみにでいうとSAMSUNGのT3は装着できません。なぜなら1mmくらいずつ大きいので。大人しくT5を購入すると幸せになります。(←勘違いしてやっちまった人) そして今回結局外してしまったケーブルロック。これは8Sinn、Smallrig共に、とりつけるからには端子蓋を開けっぱなしにしなければ致命的にめんどくさいという問題が…リグ組っぱなしの人には良いかもしれないけど…構造上難しいなぁと感じた。ともすれば頻繁に脱着する部分なので工具ありきの考え方はなかなか厳しい。これまた今後に是非期待したい部分だ。

▲メタボサポートでまずは安心。シネズームクラスを装着する際の第一段階クリア。あとリグは捨てるところなんてないんです。全部食えるの!

最後にちょっと番外編

次回?次々回?に取り上げようと思っている結束用品の秘蔵っ子、BongoTies。地味ながらもとても優秀。

ケーブル結束を緩くしっかりやる際にはとても重宝する。結局リグを組むってことは足りないものを補うという意味合いを持ちつつ、自由な運用を切り拓いてくれる想像力の遊びっていう部分がソロプレイヤーにはとても大きな楽しめる要素だと思う。我こそはリグの支配者…我が魔術に平伏すがよい!グァーハハハハァー!フゥーッ!なんて言わず言われず、各々好きなように楽しむときっと色々平和な優しい世界がくるよ!ただし自分で使ってカッコ悪いのはダメだ。自分の美意識には反さないのがリグ遊びの鉄則!シンプルにカッコよく!ゴテゴテにカッコよく!便利にカッコよく!さあ買え!(台無し)

▲BongoTies。アメリカ人の仲間に教えてもらった時は目から鱗で感激した。ゴムバンドのくせに…。それにしてもトップパネルは個人的には必須だなぁ。

さて今宵も聞いたことないメーカーのパーツが届いたぞ…NICEYRIG。もうなんでもアリで本当に楽しいおもちゃの世界。どうやって遊んでやろうかな!次回はもう少々わかりやすくBMPCC4Kリグの解説をする…予定。どれがくるかなー。お楽しみに!

ほら、あなたの後ろにもアイツが…。ギギッ……!

今月の蛇足
色々のたまってるけどあんた何撮ってんのさ?って思われてる節もあると感じる今日この頃。しょーがない。でもお仕事のものはなかなか出し難い。なので個人的にBMPCC4Kが届いて一番ハッピーな時に撮った作品をご紹介します。映像、音声、オールBMPCC4Kレコーディング。リグは一切使ってないです(笑

 

 

 

vsw