第2回レンズギア②
REPORT◉田村雄介

前回からの続きです。残りのレンズギアをまとめて紹介していきます。

BROKEN ANCHOR DESIGN/ZERO

2016年にBROKEN ANCHOR DESIGNがKickStarterで出資を募っていたものが形となった画期的なレンズギア。その画期的なところは60mmから92mmまでの外径を持つフォーカスリングに自由に取り付けられるというところ。

美しく加工処理されたギアと本体部分を持ってフタを締めるように回転させると、レンズの外径目掛けて足 がカチカチっと小気味良い音を立てて伸びてくる。ちなみに外すときはリリースボタンを押してパチン。

そのまま接地したところで各足を見ながらレンズのセンターを調整し、横から見てレンズに斜めに取り付い てないか(超大事! 水平取れてないとギアがウネって噛み合わないし、なによりものすごくかっこ悪いことになる)を確認したらもうひと締めふた締め。これでカッチリ(過信は禁物)と固定される。

例えばOLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO。例えばSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM。よっしゃCanon EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM! 様々なレンズが瞬時にギア付きレンズに! そのメカニカルな見た目と、アナログながらSFチックなギミックに、全国のギア系男子や美しすぎるギアガール達はいっぺんにハートを打ち抜かれることでしょう。二個あれば大概のズームレンズのフォーカスとズーム、両方に装着できるね! やった! グレーと黒の色違いカラフルコーデもオツだぉ。

ロゴ、カッコいい。収納袋もついてくるので、もしカメラバッグの中で暴れても他の機材を傷めずに済む。

難点はその機構の性質上仕方ない部分がいくつか。このギアの固定用ラチェット、余裕のあるサイズでも最 も硬く締まる「カチッ」に届かない径のレンズに当たった場合、ガッチリロックというところまでいけない。 この状態でもフォーカスリングを押さえつける程度には固定できているけれど、そんな状態でうっかりギア持ってヒョイなんてやった日ニャァ(猫)スッポンコロリンのガチャーンですぜ。そもそもかなり硬く閉めてもアジャスタブルな細い3本足の固定力はタカが知れている。さらに固定足についているレンズの傷防止&滑り止めのラバーが柔らかい、そして取れやすい。うっかりするとまず真っ先にカメラバッグや収納袋の中で無くしてしまう。などなど、意外と繊細な部分が明確な難点。ただ補って余りある格好良さとアジャスタビリティ。こればっかりは唯一無二だ。

FollowFocusGears/
SEAMLESS FOLLOW FOCUS GEAR Professional HD

技術の発達ってなぁいいもんだねぇ。3Dプリンターで各社レンズに合わせたギアを成形しているプラスチッ ク製のギアを販売しているFollowFocusGears。各レンズメーカー細かに渡りフォーカス用、ズーム用とギアをラインナップしている。今回これを入手した経緯はつい最近、SIGMA 105mm F1.4 DG HSMを購入して、いっちょBROKEN ANCHOR装着するかーと試してみたところ、外径サイズが96.7mmで固定できない。想定の凡ミス。そりゃそうだ。TiltaのPhotographic Lens Follow Focus Adapterなら装着できるけど……こんな良いレンズに接続部付きは……と悩んだところで、そういえば、とサイトを見に行ってみると……発売間もない割にあるじゃないのぉ。早速ぅ。というわけで即ポチり。

1週間ほどで届いたギアは樹脂製の割に質感もなかなか良く、パッと見3Dプリンターで出力したとは思えないクオリティ。ついでにStandardとProfessional HDの差ってなんですか? と問い合わせたところ出力解像度を上げたものがHDバージョンだと。確かに以前のラインナップのものより段違いに出力の目が細かくきれいだ。Standardと倍ぐらいの値段の差も納得。それぞれが専用品なので使い回しの類はほぼできないけれども、専用品ならではのフィット感はグッド。嬉しいことにSIGMA 105mm F1.4 DG HSM用は純正フードの逆付収納をしても当たらない。いい。こういうの好き。

裏面を見ると高精細出力のHDモデルとはいえ若干アラは見えるが、表から見るとほぼわからないし、ギアの側面にはブランドロゴと対応レンズ名が……細けえ……。難点は装着時と耐久性。基本的に装着方法は各リングのゴムやギザギザの上に被せる形になるのだけど、これが専用品だけあってガッチガチにキツい。くっ……入らない……となるのも仕方ない。ユルユルなギアなんて……んんん!! 硬い!! 公式のヘルプでもドライヤーやヒートガンを使う、潤滑剤を使うなどが推奨されている。そして素材が樹脂である以上おそらく劣化が免れない、が。値段を考えるとこれはもう買い換えていくのもひとつの手だろう。

でも本当にマジのガチでキツい! 爪がもってかれる!! でも、その先にある上質なフィット感を求めて人は爪を差し出すのだ……ええい爪くらいなんぼでも持ってけ!

COOL-LUX/LUX GEAR

今回紹介するギアの中で一番扱いやすいギアかもしれない。今回はSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSMに装着。適合表には親切なことにフォーカスリング用とズームリング用の適合まで書いてある。

シリコン製のリングはある程度の余裕を持った作りで取り付けも楽。フィット感もバッチリ。おまけに値段も安いときたもんだ。しかもOtusセットやLoxiaセットになるとさらにお安く……取り立ててこれっていう難点欠点もほぼない、ふっつーぅに使えるふっつーぅのギア。

見た目も安っぽくなく精度も悪くない。むしろアタりの良いシリコン製なのでギアとの噛み合わせも静かでゴリゴリいわない。実に優秀なレンズギアだ。いやぁ、難点……カッチリしてない……いちゃもんか! いや、柔らかい分ちょっと取れやすいかな(笑)。

 

TILTA/Photographic Lens Follow Focus Adapter

全世界話題沸騰の衝撃プライスタグを引っさげて登場したTilta、Nucleus-M。こいつが発表されたからこそ昨年がE.F.F元年とも言えるべき代物。に、付属するレガシースタイルなギア。

FollowFocusGearsで前述の通りSIGMA 105mm F1.4 DG HSMに装着してすらまだ余裕があるので、現存する中望遠ぐらいまでのレンズにはほぼ装着できるのではないだろうか。逆に他のギア勢が苦しい場面もある小型レンズへの対応もバッチリ。DJIのX5に装着してフライトさせることが可能なほど小型のLaowa 7.5mm f/2 MFT LightWeight Versionにも装着できる(さすがに実運用するなら余分のカットは必要だ)。良くも悪くも昔ながらの普通のレンズギアだ。難点はそれはもうレガシースタイルということ以外に特になく。

スチル系レンズではあまりやらないズーム操作もしたいなっていうシチュエーションではフォーカスにお気に入りのギア、そう、毎日ショーウィンドウの前で憧れのマスタープライムセットを眺めていたあの日々。毎日のお小遣いを使うこともなくエブリデイ「今日は売れてないかな……明日も売れてませんように……」と願い続けて5年。頭金らしき金額も貯まったある日、来週からなんと120回払い金利手数料無料キャンペーンが始まるというではないでしょうか! 僥倖っ! 明日はブタを叩き割って契約しちゃるばい! という風に「明日」に回したのがいけなかったのですねえ。なんと翌日ショーウィンドウから憧れのマスタープライムセットは姿を消していました……愕然と膝から崩れ落ちるシネマ太郎。そんなシネマ太郎の肩を叩いたのはショップの店員さん。「これ、24-105mmF4につけたらいいよ」と差し出されたのは見たこともないキラキラ光るレンズギア。これなら頭金になるはずだったブタの内臓でお釣りがきます。それ以来シネマ太郎の24-105mmF4には輝きを失わないとっておきのレンズギアがついていたのですが、ある日。シネマ太郎はズーム操作もしたくなったので、そんな時にはコレをズームリングにサッとつけてサッと外すみたいなのも良いんじゃないだろうかと思いましたとさ。ズームはスタートとエンドでちゃんと止まるしね。機材は欲しい時が買い時だ!

第2回レンズギア③に続く