AOYAMA FILMATE 2019短編映画部門大賞を受賞した「one two three」の田中亮丞監督に訊く


毎年3月に開催されている学生映画祭、AOYAMA FILMATEが今年も3月9日に開催された。今年は短編部門に加え、「ぶどう・ワイン・ぶどうジュース」をテーマにしたCM部門も募集。

ノミネート作品は以下の通り。(敬称略)

◉短編部門

「合法投棄」大岩史織

「雨に触れたい気持ち」坂本遼

「シネマティックオーバースリーピング」森元諒

「不眠症」皆銭文哉

「one two three」田中亮丞

「雨の日は、ハレ」岡田あかり

「僕とイヤホンと彼女」小泉陽菜

◉CM部門

「ブドウガール」石原穂乃香

「Shall We GRAPE??」富澤啓伸

「小人の立川さん」五十嵐紗英

「正しい葡萄の食べ方教習第一段階」杉本生真

短編部門は審査員と来場者による投票の結果、田中亮丞監督の「one two three」が、CM部門は、オキ・ホールディングスグループ担当者により、富澤啓伸監督のShall We GRAPE??」が選ばれた。

以下、後日、短編部門の受賞者、田中亮丞監督にお話を伺った。

田中亮丞監督インタビュー

――今は大学何年生ですか?

大学院の2年生です。

――大学から東京学芸大ですか?専攻は?

はい。教育学部で専攻は美術科、美術教育です。グラフィックデザイン研究室なんですけど、芸大のように映像の専攻があるのではなく、アニメーションとか映像をやられていた青山司先生という方がいらっしゃって、基本はグラフィックデザインですが、一応そこの研究室で、映像をしているという感じです。

――サークルも映研ですね。

昔は2つか3つあったらしいんですけど、いまは映像系のサークルがいくつかあるんですが映研は一つです。いま40、50代のOBの方とはつながりがあって。さらにその上はレジェンドクラスで(笑)、押井守さんとか、金子修介監督がいらっしゃいます。

――すごい!名門の映研ですね!

でも、僕が入ったときはほぼ潰れかけみたいな感じで、人もいなくて。制作もあまりしていない状況でした。

――大学に入る前から映像は志していたんですか?

高校まではずっと野球をやっていました。映画は好きで趣味程度で観ていたんですけど。浪人していた時に「トイ・ストーリー3」を観て、それが一番決定的というか。

――何が響いたんですか?

ここまで感情を動かされるのはすごいなって。振り返ると映画とかアニメが好きだったな、みたいな感じですね。

――映研として機材とか、編集室みたいなのはあるんですか?

映研としてはなくて、パソコンとかは一応おいてあるんですけど、一世代前の編集ソフトしかなくて、結局自分のパソコンで編集しました。

――カメラはどうされているんですか?カメラも自分のもの?

カメラはOBの方に貸していただいているものが映研に1台あるので、それで撮りました。

――ちなみにそれは何ですか?

パナソックのGH4です。あとはGH4も難しいという他の部員はiPhoneで撮ったりしています。「one two three」も風呂のシーンは確かiPhoneで撮りました。

――今回、青山フィルメイトに出されたわけですけど、他にも頻繁に出しているんですか?

僕が撮ったものは出しているんですけど、ひっかかったのは今回が初めてです。

――今回はノミネート作品として残って、かつその中で一番の支持を集めたわけですが、何が良かったというご自分の分析はありますか?

ノミネートに残ったことに関しては、今年は応募作品が少なかったらしく、そこは運が良かったと思います。他の学生映画も観ているんですけど、結構雰囲気が良くて芸術系の作品が多いので…。

――そうなんですよね。最近はものすごくクオリティがあがってきたなと思っていて、そんな中であの作品を観て、ちょっと映っているものも懐かしい感じがあります。逆の意味で目立っていたかなという。

そうですね。それは、あるかもしれないです。ノミネート作品の短い予告を観た時に、他の作品はみんな綺麗だなと。そこでは、最初から勝負してないというか。一応全部僕が作っているやつは、ストーリーがあって楽しめる作品っていうのを意識しています。

――本当に勝負するところは自分はストーリーだっていうことですか?

そうですね、そこは自分の中では一番自信があるというか。トイ・ストーリーの話に戻るんですけど、ピクサーの作品が好きで、ピクサーはもちろんクオリティも高いんですけど、ストーリー第一主義みたいなことを言っているらしくて、それが一番共感というか、いいなと思っています。僕も脚本が一番力をいれているというか自信があるところですね。

――そういうところは、どういう勉強をされてますか?

基本は映画を観て、あとは教本とか脚本の本を読んだり、あとはネットで脚本のコツじゃないですけど、こういう脚本はうまいとか、そういうのをチェックしています。

――今回は何人くらいのスタッフで作ったんですか。カメラまわしているのは?

カメラは僕ですね。あれももともとは青春キラキラ系の事務所が短編映画を募集していて、それ用に作ったんです。それの締切に間に合わせたかったので、僕が全部動くしかなくて。自分で撮れば技術はないんですけど、早く撮れるじゃないですか。それで撮影したって感じですね。

――音は?

音は、カメラについているマイクで。ブームもあるんですけど、スタッフが必要だし、そもそもコードが断線していて使えなくて(笑)。

――なんか昔の映研を思い出すような感じですね。主人公の声が小さいじゃないですか。よく聞こえないのはなんか懐かしい感じだなと思いながら。そこは、みんな観る側で補正して観てよということですよね?

まあ、ちょっと甘えも入ってますけど、それもありますし、結構普通に商業映画観てても聞き取れないこととかあって。これは言い訳っぽいんですけど(笑)。もちろん聞き取れたほうがいいんですけど、聞き取れない箇所があってもいいかなくらいには思っています。

――あの主人公は声が小さいっていうのもキャラクター的にはマッチしてますよね。

まあ、そうですね。

――撮影現場としては、ほんとにものすごくシンプルな感じで?

最後のライブのところだけは、サークル棟の建物があって、その中にステージを作らないといけなくて。そこだけ映研総動員でやりました。後ろに黒い布みたいなのがあるんんですけど、あれが天井に全然つかなくて。昼休みの45分しか取れないのに。もうその日しか撮れないから、後ろでみんなこうやって持ちながら撮ってるっていう感じでした。

――今後なんですけど、どういう方向を目指すっていうのはありますか? 

商業映画の監督になりたくて。ただ、いきなり監督というのは難しくて、制作の中でいうと脚本かなあという感じです。

――卒業後は決まっているんですか?

3月で卒業で、明日で卒業です(笑)。教員免許を持っているんで、非常勤も受けたんですけど、それもひっかからなくて。だから、4月からまだ何も決まってないです。

――いまはギリギリ学生ということで、次回作を作っている?

制作中です。

――これからを楽しみにしています。