映像制作者のためのプラットフォームVook主催で行われた「Next Filmmaker’s Summit」が1月27〜29日の3日間、長野県・小布施町で開催された。同イベントでは事前の審査をくぐり抜けた映像を生業とするビデオグラファーが約40名集まり、制作ノウハウや今抱える課題、横のつながりを広げることも目的に開催。イベントでは多数のトークセッションが開催されたが、ここでは2日目に開催された「作家性を生み出す自分の領域作りとは」の模様をレポートする。

 

岸田(敬称略)
このセッションに登壇してくださったみなさんは映像を作るというところでは一定のレベル以上のところで仕事をされていると思うのですが、その次の段階として「●●さんだからお願いします」と言ってもらえるようなブランド作りというか領域作りができているお三方に今どういう風に活動されているのかお話していただけたらと思っています。

ではそれぞれ作品を流しながら、自己紹介をお願いできたらと思います。次石さんから。

 

 

 

次石

みなさんこんにちは。次石と申します。僕は今32歳なんですけど、20歳の頃から12〜3年くらい、ずっとウエディングムービーを作ってきまして、3年程前に独立して、Tomato Red Motionというユニットを作って活動しています。ウエディング自体もなるべくホテルでやっているようなものではなくて、今流れている映像のようにアウトドアでやったりだとか自由な形のウエディングを撮りたくて自分のブランドを作ったという経緯があります。

実際撮っているのも一風変わったウエディングが多いかなと思います。森の中や海岸、草原でやったりとかオリジナリティのあるウエディングが最近増えているので、そういったところで映像を作れたらと思って今やっています。

 

岸田
次石さんの映像を見ていると、音をすごく大切にされてる印象ですね。

 

次石
そうですね。声とかは気をつけてます。ウエディングには、みなさん参加されたことがあると思うんですけど、普通に撮ってしまうと単なる記録映像になってしまうので、いつも事前にカウンセリングをして「あなた達のやりたかったことはなんですか?」「どんな人生を歩んできたんですか?」とかそうした背景も含めて、お話を伺ってから映像を作るようにしています。

岸田
ありがとうございます。次は松本さん

 

松本
はじめまして、松本敦と申します。私は今40歳なんですけど、元々メーカー勤務で販売代理店への営業職を14年間しておりまして、サラリーマンで人生を終わろうかと思っていたんですけど、2011年にYouTubeでGoProのプロモーション映像を見た時に、「すごいカメラがあるんだな」と思って、すぐに買いました。それまではインドアで引きこもりの生活だったんですけど、「このカメラを使って面白いことができないかな?」と思って、自転車とかで遊んでいるうちにだんだん楽しくなってしまって、その楽しさを伝えるためにブログを開設しました。記事を書いて、動画を載せてというのを繰り返していくうちに、だんだん外の世界とつながりができて、そこからサラリーマンを辞める計画を立てたんです。3年計画で考えていて、ベースがゼロだったんで、最悪2年くらいはお金がなくても生きていけるくらいのお金を貯めようと考えて、2014年に独立しました。フリーランスになって2年が経った後に、WEBのプロモーションができる相方と組んで、Groovoostという会社を立ち上げて、現在に至るという状況です。

 

岸田
では次はタカザワさん。

タカザワ
タカザワカズヒトと言います。よろしくお願いします。今ご覧いただいているのは、去年発表した自主制作の短編ドキュメンタリーです。海外の映画祭に出品して、複数のWINNERを獲得してハリウッドとロサンゼルスではレッドカーペットに正式招待された作品です。僕は元々出版社でインハウスのフォトグラファーをしておりまして、みなさんの中にも多いと思うんですけど、EOS 5D MarkⅡから映像を始めて、映像業界に入りました。最初は何を撮ったらいいのか全然分からなかったんですけど、知り合いのミュージシャンに頼んでミュージックビデオを作らせてもらいました。それを「SHOOTING」という業界のWEBマガジンに紹介していただいたことがきっかけで仕事が少しずつ入ってくるようになりました。当初被写界深度の浅いキレイな映像に満足して撮っていたんですけど、だんだん物足りなくなってきて、退職をきっかけにブラックマジックデザインのBlackmagic Cinema Cameraを購入しました。それまで使っていた5Dの映像とのあまりの差にびっくりしまして、それ以来デジタルシネマカメラで映像を撮影するようになりました。シネマカメラということで「映画ルックに撮る」ということにこだわっています。

仕事でのブランディング

岸田
ありがとうございます。ビデオグラファーという形でみなさん、今回来ていただいているんですけど、よくもこれだけ違うタイプの人がいるなという感じで、多様性があるというのが表れていてすごくいいなと思ったのですが、特に仕事でのブランディングをそれぞれされていると思います。

まず、次石さんTomato Red Motionというユニットを作って活動されているということなんですが、個人ではなく、こうしたブランドを立ち上げて活動されているということで、「Tomatoらしさ」というのをいろいろな方から聞くんですが、そのあたりは意識されていることはあるんでしょうか?

▲次石悠一(Tomato Red Motion)http://www.tomatoredmotion.com/

 

次石
ウエディングムービーでは自分達の技術も大事なんですけど、もっとクオリティを左右するところで誰とやるか、どこでやるかというところが結構重要です。というのも自分達がシチュエーションを作ったり、キャスティングするわけではないので、誰とできるか、どこから注文が来るのかが重要になってくるんですね。

僕はウエディングの制作会社で7〜8年働いていて、その時は一般的なウエディングを撮っていたんですけど、独立した後はもう少し自由度の高いものを撮りたかったので、そういうお客さんが来てくれるようなイメージ作り…ブランディングと言うんですかね? そのあたりは意識はしました。

岸田
今、ウエディング映像の業界では次石さんをみんな知っていて、Tomatoらしさというのができていると思うんですけど、作品に対してTomato らしさが生まれるように意識されたことはありますか?

次石
ウエディングムービーって、作り込むとこっ恥ずかしいものになるんですよ。だけど、気持ちは伝えつつ、感動しつつもどこかで少し外した要素というかカジュアルなものを入れないと、いい感じの見え方というかちょっと言葉でうまく伝えられないんですけど、ああいう作風にはならないんですよね。ただ、あくまでそれぞれの新郎新婦らしい映像を作りつつ、あまり作り込みすぎない範囲でカジュアルな要素を採り入れるというのはやってますかね。

岸田
そういう要素があることで、人柄や温度感が伝わるというのはありますよね。

次石
そうですね。親近感というかね。

WEBのパートナーと組んで会社を立ち上げた

岸田

次に松本さんにお聞きしたいんですけど、お仕事は今、会社を作られてやられているということなんですが、さっきの自己紹介のなかでWEBのパートナーの方と組んで会社をはじめたとのことですが、それはなぜそうした形でやられているんでしょう?

▲松本 敦(Groovoost)http://www.groovoost.com/

 

松本
元々僕自身が営業職で働いていたということもあって、やっぱり拘るのは数字なんです。例えばそれはYouTubeに動画をアップしたら再生回数だったり。映像を作って納品して、お金を貰えばそれは数字になるのかもしれないですけど、納品した先に自分が作った映像がどれだけ貢献しているのか見えないということもありますし、そこまで追求してやっていくと一人では無理だと思いまして、集客を増やす目的で映像を作った後に映像がしっかり仕事をしてくれるように、まず依頼主の要望は何なのかということころを突き詰めた時に辿り着いたのがWEBだったということです。

岸田
それを自分自身でやるんじゃなくて、できる人と組むというのはどういう意図なんですか?

松本
やっぱり餅は餅屋かなというところですね。生半可な知識で、映像すらもまだまだ学ぶことがあるのに、SEOとかもっと深いところに行ったらこれはもう現世では終わらなくて、来世に仕事を持ち越すことになりそうだなと思いました(笑)。あとは目の前にいるクライアントが早く結果を出したいのに、自分の勉強をしている間にクライアントの利益をちゃんと確保できないのであれば、それをできる人とパートナーとして組んだほうが結果を残せるよなというところですね。

岸田
具体的にWEBのパートナーと組んで、お客さんにどういう提案をしているんですか?

松本
例えば、WEBにアップした動画がきっかけで依頼があったクライアントがいたんですけど、最初にランディングというかイメージ映像を作るんですね。そして、それができた後に広告してみようかという流れになったんですけど、やっぱり広告用には作っていないのでなかなか結果が出ないんですよね。それが幸か不幸かそういう結果だったんで、次は広告用にしっかり設計して、Aパターン、Bパターンみたいな感じで提案して、結果的に受注につながるようなことを今考えています。

岸田
周りでそういう風にやられているビデオグラファーっているんですか?

松本
ちょっとわからないですけど、動画作るに当たって、結果を出すということで広告代理店がそういう仕事になるのかなと思うんですけど、それよりもフットワークの軽い形で動けるように取り組んでいる最中ですね。

岸田
私自身がそのお話を聞いて思ったのは、映像を作るという観点では、例えば照明や録音の人と組んでやるのはよくあることだと思うんですけど、WEBの人と組んでやるというのは発想としてなくて、そこは広告代理店がやってくれるからいいやというのがほとんどでした。ただこれからなるべく自分だけで仕事を完結させて、クライアントとなるべく近い距離でやっていこうと思った時に、そういう形でお客さんに数字で見せたりとかクライアントが望む形に「こういう形でやればリーチしますよ」というのをちゃんと示してあげるという意味でWEBの専門家と組んでやるというのは、新しいというか行けそうな気がするんですよね。

松本
まぁ、というのは表向きの回答で実際は、みなさんも同じだと思うんですけど、制作して納品というスタイルじゃないですか? 基本的には。そのなかでリピートが見込めるかわからないというところで、フリーランスの時にものすごく不安があったんですね。「今はいいかもしれないけど、今後は…」という気持ちがあって、継続して指名を受け続けるためには「この人達に頼んだら結果を出す」というのが歩かないかだと思うんですよね。そのためには作った映像も単に「よかったよ」というだけではなくて、「動画のおかげで集客があがったよ」とかわかりやすい形で結果が出たら、次につながるかなと思ったんですね。フリーランスの時に、月の入金が8000円とかいう時期もあって、「これはやばいな」っていうことがあって…

岸田

切実ですね。

松本
「これが続いたら精神的に持たないな…」というのがあって、じゃあ、そこからどうしたらいいのかというのを考えた時に、元々知り合いだった今のパートナーと組んだというのが本音ベースですね。

岸田
作家性というとちょっと遠い感じになってしまうかもしれないんですけど、「仕事のスタイル」ということになると、それも1つの形なのかなと感じました。

映画祭に出品することで仕事にも活かす

岸田

それでは次にタカザワさんはまた違った観点で領域作りをされていると思います。映画祭に作品を出すというのは仕事ではなく持ち出しになると思うんですけど、そういうことをわざわざやる理由やそれをやったことで得られた成果を教えていただけますか?

 

▲タカザワカズヒト(タカザワカズヒト写真映像事務所)http://photoslack.com/

 

タカザワ

映像を撮るようになってから、幸いなことに仕事をいただけるようになって色々な映像を作っていったんですけど、映画祭のことはあまり意識したことがなくて、別世界の話だと思っていたんです。ところが、ある自主映画のプロジェクトに参加たんです。映像とWEBや音楽、写真のクリエイターが協働して映像コンテンツを作り、それを写真などと一緒にWEBの中に組み込んだ総合的なコンテンツを作ろうという試みがあって、そのコンテンツ全体がアワードを獲ったんです。(http://kurokawawonderland.jp/co-creation-story/

そこで思ったのは、「自分も受賞の役に立てたんだな」という感じでした。そうしたらWEBディレクターの方が「これはタカザワさんの賞ですよ」と言ってくれたんです。そこで頭を殴られたような感覚になりまして、「もしかして僕もアワード獲れるのかな?」と思うようになったんですね。それで、試しに同じアワードに自分が作った映像単体で出品してみたんです。そうしたらそれがアワードを獲れて、それで味をしめたというか、アワードを獲った時の喜びに病みつきになりまして、自主制作の作品以外にも、仕事で手がけた映像に関しても権利関係がクリアできた作家性の高いものに関しては出品するようになったんです。

結果として、2015年には5つのアワードを受賞、去年が10個。今年は1月現在で2個という状況です。それをなぜやるのかというと、映像業界のセオリーとして、助手から始めて何年も修行して技術を身につけるという道があると思うんですけど、僕はいきなり見様見真似で始めてしまって、自分のやり方が本当に正しいのか間違っているのか分からないような状態で、ここまで来てしまっている状況があると思うんですね。たとえそういう背景があったとしても、アワードを獲って世界で認められているということは自信に繋がると思ってます。

あとアワードを獲るメリットとして、仕事を得る上で官公庁の案件などで入札になることがあるんですけど、そういう時に代理店などから「プロフィールシートを出してください」と言われることがあるんですが、そこに受賞したアワードがズラ〜と並んでいると、結構ウケが良くて。それで選ばれることもあるので、そういうところでも役に立ってますね。

 

岸田
やっぱりアワードが経歴書に書いてあると、クライアントに対しても説得力が増すしますよね。私自身も初めてのクライアントとコマーシャルの映像を作る時に「えっ、この人大丈夫なの?」と思われることはあると思うんですけど、そういう時にアワードを受賞しているとお墨付きのような形で見てもらえることもありますよね。

ウエディングムービーから企業案件も増え始めた

岸田

では、次石さん。ウエディングの映像を中心にということなんですけど、企業の案件も最近は結構受注されていると聞いたんですが、ウエディングから企業の案件につなげていった経緯やそこでの工夫について教えていただけますか?

次石
企業の案件が来たのも、僕が作ったウエディングムービーを見て「これだったらできるんじゃないの?」と思って、お声がけいただいたものがほとんどですね。ウエディングムービーでやっているのは、そこで起こっていることを事前のカウンセリングを元にまとめてあげるようなイメージなんですけど、企業案件でよく依頼があるのは、職人さんの作業の様子だったり、そこで起こっていることを元に、思いをまとめてあげるような物が多いんです。ウエディングムービーというと個人のものというイメージがあると思うんですけど、今のような作り方をしていることによって、企業さんにも伝わったのかなと思います。

岸田
「ウエディングやってます」というと、映像業界のなかで「ウエディングの人」というレッテルで見られるじゃないですか? でも、ビデオグラファーの方々を見ると、ウエディング出身で、他の映像の仕事につなげていきたいという話も聞くんですけど、そういう時にどうやって押していけばいいんですかね? 自分の領域として「こういうのは得意です」というのはあるんですか?

次石
今は結構お仕事をいただいているんですけど、本当にありがたいことに営業をしていないんですよ。YouTubeとかに上げているウエディング映像を見て、依頼してくださる方が多いのがリアルなこところで、どうすればというのはちょっとわからないんですけど、自分達のウエディングムービーに関しては個人のムービーなんだけど、その人の人柄がわかる。例えば、知らない人なのに泣けるとかそういう作り方を目指してやっているので、それが伝わっているのかなと思いますけど。

岸田
次石さんは、ロゴとかもちゃんと作ったりされてるじゃないですか? でも、そういう部分って、自分でやっていると疎かになってしまって、結果ダサいということになってしまうこともあるんですけど、あれはどういうふうに作られているんですか?

次石
あれは僕が作ったというよりも、どこかのテンプレートを参考にして、毎回1時間くらいで作ってますね。

岸田
そうなんですね(笑)。でもロゴをつけたりするのは…

次石
あれはね。海外のウエディングムービーのメーカーさんがやっていて、「あ、カッコイイな」と思って付けたという感じですかね。
岸田

なるほど。

 

ブログを通じて情報発信をする理由は?

岸田

ではそういう流れで今度は松本さんにお聞きしたいんですけど、自分自身の情報発信ということでブログの記事をものすごい数書かれていて、力を注いでいるなという印象なんですが、なぜそういうことをするんでしょうか?

松本
元々がGoProをYouTubeで知って、映像を作ってブログで記事を書きはじめました。ブログを書き続けていると、それを見てくれる人も結構いて、コメントをもらえたりすることもあって。実は僕がブログを始めた頃にタカザワさんのプロモーションビデオをブログで紹介したことがあって、そこで「こんなすごい人がいるよ」って紹介して、5年越しに今日ようやくお会いすることができて、そういうご縁があったりするんですね。この後に登壇する鈴木佑介さんも「僕生まれてはじめて、撮って出しのエンドロールを見て、超感動しました」ってメールしたことがあって、そういう人が僕のブログを見てくれていたりとか。自分にとっては外の世界とつながりを作るプラットフォームというのがブログですね。そういう意味でYouTube、Twitter、Facebook、Instagramもやってるんですけど、結構、マメにやってますね。

岸田
ブログには何を書いてるんですか?

松本
最初の頃は、Final Cut Pro Xが出たばかりの頃でまだ教則本がなかったんですよね。自分が覚えたことを書いていったら、やはりそういうノウハウを見たい人は来ますよね。それでアクセス数が上がっていって、そのうちに「自分がやりたいことはこうです」とかライフログ的な「サラリーマンやめました」とか。辞める経緯とかその時の気持ちとか全部書いてますんで、よろしければ見てください(笑)。

次石
僕はその時見てました(笑)

松本
そうそう。そういうつながりができたりするんで、そうなると入ってくる情報の質も上がってきたりとか、まだ一般的に知られていないことも先に知れたりとか、アドバンテージができてくる。あとは発信した記事ごとにPVが残るじゃないですか? それによって「こういう情報ってあんまりウケないんだな」とか「この書き方だとダメなんだな」とか「これをやったら思いの外ウケた」とか。世間に対するウケるウケないの感覚値が肌でわかるトレーニングになるというのがあるんですよね。

岸田
もう一つ聞きたいのが、ブログの影響もあって、「GoPro=松本さん」というイメージがあるんですけど、GoProの記事を沢山書かれてたと思うんですけど、いくつくらい書かれたんですか?

松本
結果的には300記事くらいは書きましたね。ブランディングというテーマにもつながると思うんですけど、作りに行くんじゃなくて、好きなことを追求して、他の人が真似出来ないくらいやり遂げた時に、結果的にそれがブランディングになるのかなと思っています。自分も最初から300記事を書こうと思っていたわけではなくて、好きすぎて書いていったら、それをきっかけにGoPro Familyというものに任命いただいたりとか。たぶんそういうのは後からついてくるので、ブランディングというよりは何が好きなのか考えて、それを突き詰めていったほうが結果につながるのかなと思ってます。

岸田
好きすぎて発信していたらオフィシャルになったという。

松本
はい。最高っすね。

岸田
それはいい話ですね。

自分がやりたい表現を仕事の中にも採り入れる

岸田
次はタカザワさん。このセッションのメインテーマで「作家性を作るために何が必要か」というのをみなさん結構考えているところだと思うんですけど、タカザワさんご自身はこれをどういう風に考えていて、今実践していることはあるんでしょうか?

タカザワ
そうですね。僕が現在使っている機材も理由があって使っていまして、今はURSA Mini 4.6Kというデジタルシネマカメラを使っています。それは映画の世界がすごく好きだからです。実際、普段どういう仕事しているのかというと、企業のプロモーションとかリクルート映像やミュージックビデオなど色々あるんですけど、今一番僕の持ち味が発揮できるのがドキュメンタリーかなと思っています。ただ、ドキュメンタリーを好きかと言われるとそうではないんですよね。僕の心はやっぱり映画にあって、映画の世界観、ハリウッドの映画や大規模予算の海外ドラマのキレイな映像、そういうものに憧れていまして、そこにちょっとでも近づきたいという思いがあるんですね。

そのために映画のシーケンスという考え方を勉強したり、カラーグレーディングにも力を入れたり、あとは脚本の勉強をしているんですけど、そういう勉強をやっていく中で今の時点では、自分が作るお話よりも実際にある話を撮ったほうが感動があると思ってます。それをドキュメンタリーとして撮るんですけど、そこに映画の手法を採り入れているんですね。「それは邪道だ」と言われる方もいると思うんですけど、

ドキュメンタリーなのに脚本や絵コンテも書いたり、カットを割って演出もするんですけど、撮っているものは真実なんです。真実を演出して、よりエンターテインメントに仕上げたいんです。そういうフィクションとノンフィクションの間みたいなところにいる、それが僕の持ち味かなと思っています。そういう要素を普段の仕事の企業のプロモーションなどにもなるべくねじ込むようにしています。

岸田
具体的にどういうテクニックですか?

タカザワ
ちょっと前に大きな産婦人科のプロモーションビデオを作ったことがありまして、ホテルのようなゴージャスな病院で、産婦人科と小児科が別棟なんですけど、同じ敷地内にあって、出産を終えたお母さんが、今度は小児科にお子さんを連れて来れるんですね。それを売りにしているんですけど、クライアントのオファーとしては、実際に出産されたお母さんと院長さんのインタビュー、ありがちなインサートショットを入れたPVを作って欲しいというものでした。その時に「それもいいんですけど、ちょっとこういうのもやらせてくれませんか?」と言ってストーリーシーンを作ったんですよ。それはセリフはないんですけど、「ママと子供が小児科に通うシーンで、途中色々なシーンを挟むんですけど、診察が終わって帰り際に、病院の中庭で偶然入院中のお腹の大きい妊婦さんを見かけて、かつての自分に思いを馳せる」というストーリーのシーンを作ったんですね。そのストーリーシーンを前半と後半に分けて、その中にインタビューとか普通のPVのシーンを入れたんです。そうすると、見終わった後に何か心に残るんじゃないかって、そういう工夫をしています。

岸田
なるほど。それが自主制作でも企業案件でもご自身の1つのカラーになるという。

タカザワ
そうですね。そこが「タカザワさんの映像ってなんか違うね」と言ってもらえるところかなと思っています。

今後、こういう仕事をしていきたい

岸田
そろそろ時間も迫ってきているので、最後の質問にいきたいんですが、今回自分の領域作りということで、今後、こういう仕事をしていきたいという部分があれば、お聞きしたいと思います。次石さんから。

次石
はい。ウエディングのムービーをずっとやってきたんで、そのノウハウはやっぱり活かしたいなと思いつつ、逆にウエディングムービーしかやったことがなかったので、その枠をちょっと外したいなと、例えばなんでしょうね? 「日常の延長線の中にある小さな幸せ」シリーズみたいな映像をやってみたいなと。大石さんの映像が素敵だなと思っています。

松本
僕がサラリーマンを辞めて、映像を作る人になったきっかけになっているものを思い返してみると、先程も言いましたが、GoProのプロモーションビデオで「すげー」と思ったのがスタートだったんですね。一本の映像が人の人生を変えたといっても過言ではないかなと思うんですけど、そういう体験があるので、自分自身も単に「いいな」と思ってもらうよりは、それを見たことによって一歩踏み出してみようかなというきっかけを作れたらと思います。それは映像に限らずにWEBで発信する情報なのか、表現として映像を突き詰めていくことなのか、わからないですけど勇気を与えられるようなコンテンツを作れるように仕事をしていきたいと思います。

タカザワ
今までの経験上、自分がこういう仕事をやりたいと思ったら、そういう作品を作らないと仕事はこないんですよね。ドキュメンタリーの一歩先のフィクションというところで、脚本も自分で書いてドラマにしたものを作ってみたいなと思います。

岸田
それを完成させて、そういう仕事につなげたいと

タカザワ
そうですね。完成させて、仕事を受けるところですね。

岸田
みなさん、ありがとうございました。

 

 

●Next Filmmaker’s Summit公式サイト

http://www.nextfilmmakers-summit.com/

 

●Vook

http://vook.vc/