ソニーは、世界初※1グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載するミラーレス一眼カメラ『α9 III』を2024年1月26日より発売する。価格はオープンで、市場想定価格は880,000円前後。さらに縦位置グリップ『VG-C5』も同時発売予定で、メーカー希望小売価格は55,000円(税込)。
  • ※1 レンズ交換式デジタルカメラとして。2023年11月発表時点。ソニー調べ。
同製品は、新開発の世界初有効約2460万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーExmor RSにグローバルシャッター方式と、最新の画像処理エンジンBIONZ XRを搭載し、最高約120コマ/秒のAF/AE追従※2でブラックアウトフリーの連続撮影を実現。
また、AIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で、高精度かつ多種類の被写体を認識する。120コマ/秒の高速スピード性能と高精度な被写体認識性能を掛け合わることで、捉えることが難しいとされる決定的な場面や、肉眼では捉えきれない瞬間を容易に撮影することが可能。
さらに、最速シャッタースピード1/80000秒(連続撮影時は1/16000秒)※3を実現し、高速で動く被写体でも止まっているかのように忠実に描写できる。対応するソニー製フラッシュ 『HVL-F60RM2』、『HVL-F46RM』※4と組み合わせることで、シャッタースピード1/80000秒までの全速度でフラッシュを同調して撮影することができる。
また、新たに高速連写による膨大な画像選択を効率良く行える再生画像フィルターや画像再生時でもファンクションメニューが使用可能になるなど、撮影から納品までのプロフェッショナルのワークフローを強力にサポートする。
なお、焦点距離300mm F値2.8の大口径望遠レンズGマスター『FE 300mm F2.8 GM OSS』も同時発売される。
  • ※2 ソニー測定条件による。撮影条件によっては連続撮影の速度が遅くなる。フォーカスモードがAF-Cのときは、装着するレンズによって連続撮影の速度が異なる。またレンズ本体のソフトウェアアップデートが必要で、ソフトウェアは2023年12月以降に公開予定。
  • ※3 F値が1.8より明るい場合で撮影すると、シャッタースピードが上限1/16000秒に。連続撮影、動画撮影時、高分解シャッター機能使用時、レンズ未装着時はシャッタースピードは1/80000秒にならない。
  • ※4 ソフトウェアアップデートが必要。ソフトウェアは『α9 III』の発売日に合わせて公開予定。シャッタースピードを1/10000よりも高速側で撮影した場合、明るさと色味が変化する場合がある。またシャッタースピードの設定によっては光量レベルが不足して、設定されたマニュアル発光量に達しない場合も。

主な特長

1. 世界初グローバルシャッター方式で生まれる静止画性能

従来のローリングシャッター方式は、画像の撮像面上部の画素から順に読み出す方式である一方、グローバルシャッター方式は、全画素を同時に露光・読み出すため、高速で動く被写体でも動体の歪みが無く見たままの撮影が可能。

また、画像処理エンジンBIONZ XRとの組み合わせにより、ブラックアウトフリーで最高120コマ/秒のスピードでの高速連写を実現。さらに、高密度な像面位相差AFやAIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で高精度に被写体を認識。加えて、8.0段※5の光学式5軸ボディ内手ブレ補正を備え、高品位な画像描写が可能。

【ポイント】グローバルシャッター機構付きのCMOSセンサーは肉眼で見ても従来のローリングシャッターのセンサーと見分けはつかない。グローバルシャッター機構を採用したことで、高速で動く被写体も歪みがなく記録できるようになり、さらにフリッカーレスになる。なお、メカニカルシャッター機構は搭載されていない。感度という点でも、この製品では最低ISO感度が250になっているが、ローリングシャッターセンサーと比較して感度が落ちるということは原理的にないという。また熱対策は従来のα9シリーズ同等だという。

シャッタースピードに関しては、従来メカシャッター方式がもつ制約から解放され、シャッタースピード最速1/80000秒を実現。対応するソニー製フラッシュを装着した際は、シャッタースピード1/80000秒までの全速でフラッシュを同調して撮影することが可能。

これまでは、フラッシュの同調速度以上の速いスピードでシャッターを切ると、光量が急激に低下していましたが、全速フラッシュ同調機能により、高速のシャッタースピードでフラッシュを用いた明るい撮影ができる。

また、シャッターを押す前の瞬間を最大1秒前まで遡って記録できる「プリ撮影機能」、撮影中の連写速度変更や、連写した複数枚画像を高品位に合成する「コンポジットRAW撮影」※6などプロの撮影を支える各種機能を有している。

  • ※5 CIPA規格準拠、Pitch/Yaw方向、 FE 50mm F1.2 GM装着時、長秒時ノイズリダクションオフ時。
  • ※6 合成には最新の対応する「Imaging Edge Desktop」が必要。コンポジットRAW撮影時では、シャッタースピードを1/30秒より遅くすることはできない。フラッシュモードが[発光禁止]に固定、プリ撮影やブースト撮影が使えなくなるなど一部機能に制限がある。

 

2. 歪みのない進化した動画性能

グローバルシャッター方式のイメージセンサーにより、静止画同様、動画においても歪みのない映像表現を実現。同製品は、αシリーズとして初めて4K/120pの高解像ハイフレームレートの映像でもクロップなしでの動画記録に対応し、意図した通りの画角で撮影できる。また、6Kオーバーサンプリングによる高解像4K動画の撮影が可能。

【ポイント】ソニーでは後処理ができないライブ撮影用のシステムカメラでグローバルシャッター機構を採用したCMOSの搭載例がある。たとえばシステムカメラのHDC-3500やHDC-F5500など。これまでは最大でスーパー35mmだった。他社では、REDのKOMODO、KOMODO-Xに採用されている(こちらもスーパー35)。ブラックマジックデザインが発表当初はグローバルシャッター搭載を謳っていたが、結局技術的な課題を解消できずに採用を断念したこともあった。

映像制作の現場では、アクション映画などでローリングシャッター歪がみが気になるようなシーンではグローバルシャッターの強みが発揮されるかもしれない。(参照『るろうに剣心』の撮影監督・石坂拓郎 KOMODOでアクションを撮る)

さらに映像制作用デジタルシネマカメラ『VENICE』 の開発を通じて培った画作り「S-Cinetone」により、人の肌や被写体を美しく際立たせ、自然なハイライトを実現。このほか、S-Log3を搭載し、Log撮影モード時はユーザーがインポートした好みのLUTを反映して表示できるなど、最新の動画性能を備えている。さらに映像クリエイター向けモバイルアプリ 「Monitor & Control」に対応する 。

【ポイント】4K 4:2:2 10bit /60p撮影が可能。4K 4:2:0 10bit/120pも画角を変えずに撮影が可能。HDMIはType Aを採用している。

 

3. プロに応える操作性・信頼性

プロフォトグラファーの声を聞き、プロの撮影を快適にサポートする操作性と信頼性を実現。グリップの形状は、人間工学に基づいた設計で、望遠レンズ装着時や長時間の使用時でも撮影者の負担にならないよう、手のひらで包み込むように握りやすいグリップを備えている。

 

 

また、横位置撮影時と同様の操作性とホールド性を実現する縦位置グリップ『VG-C5(別売り)』を装着することで、長時間の撮影を快適にサポート。グリップとシャッターボタンまわりは、本体と共通のデザインを取り入れることで、カメラと共通の操作性で違和感無く撮影が可能。

 

さらに、タッチ操作ができる4軸マルチアングル液晶モニターを搭載し、最新のタッチメニューによる直感的な操作ができる。電子ビューファインダーは、XGA OLEDを採用し、『α7R V』 と同等の輝度、倍率約0.90倍と高い視認性を実現。

このほか、カメラ前面にカスタムボタンを配置し、グリップを握った指で連写速度ブーストを割り当てたカスタムボタンを操作することで連写速度を変更できるようになるなど、即時性の高い操作が可能で、プロフォトグラファーの過酷な環境での撮影を支える。

 

4. 即納を支える高速ワークフローと拡張性

高速連写による膨大な画像の選択を効率よく行えるよう、再生時にもファンクションメニューが使用可能になった。また、事前に「再生ファンクションメニュー」を割り当てておけば、画像再生中にプロテクトやスマホ転送、FTP転送などを行える。
さらに、再生フィルターで絞り込んだ画像を選択し、ファンクションメニューから転送ができるので、特定の画像を素早く納品することができるほか、カメラ背面に音声メモ専用のマイクを搭載し、騒がしい環境下でも口元の場所に位置する内蔵マイクにより、クリアに音声を収音可能。収音した音声データは、画像と共にFTP転送できる
また、各国の報道機関が参加する国際的な協議機関であるIPTC(International Press Telecommunications Council国際新聞電気通信評議会)のプリセットを最大20個設定可能。

画像納品ワークフローを高速化するプロ向けモバイルアプリケーション「Transfer &Tagging」への対応や有線LANを使ったPCリモート撮影を行うアプリケーション「Remote Camera Tool」に対応。またリモートでのカメラ操作と撮影設定の変更が可能なソフトウェアの開発キット「Camera Remote SDK」の新バージョンに、2024年春に対応する予定。

FTPの操作性やリレー再生、C2PA※7フォーマット対応※8などの機能拡張を、カメラソフトウェアアップデートで対応予定※9。ソニーは、『α1』や『α7S III 』にもブリージング補正やリレー再生、 C2PAフォーマット対応などの各種機能を今後拡充予定。

  • ※7 デジタルコンテンツの出所と信ぴょう性に対し、オープンスタンダードと技術仕様を策定する標準化団体。
  • ※8 展開国・地域については、順次確定していく。
  • ※9 2024年3月以降を予定。

◉製品情報
『α9 III』
https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-9M3/

『VG-C5』
https://www.sony.jp/ichigan/products/VG-C5/

 

ソニー株式会社
https://www.sony.jp/