ブラックマジックデザイン、トラン・タン・フイ監督の受賞作品 「Rom」がDaVinci Resolveでグレーディングされたことを発表


ブラックマジックデザインは、トラン・タン・フイ(Tran Thanh Huy)監督の最新作「Rom」のカラーグレーディングに、DaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。同作品は、名声ある釜山国際映画祭で最高賞を獲得した初めてのベトナム映画となった。

トラン・タン・フイ監督の「Rom」は、ホームレスの子供たちと主人公であるロムの姿を描く物語。ロムは路上で暮らす少年で、違法宝くじを買う人々のために番号を選び、当たったら歩合を受け取ることで生き抜いている。同作品のルックを作り上げるために、トラン・タン・フイ監督と同作品の撮影監督を務めたグエン・ヴィン・フック(Nguyen Vinh Phuc)氏は、ホーチミン・シティーを拠点とするカラリスト、ブイ・コン・アン(Bui Cong Anh)氏に協力を求めた。

ブイ・コン・アン氏は、約20年にわたって映画やテレビ番組、その他のプロジェクトのポストプロダクションを手掛けてきた経験豊富なカラリスト。同氏はDaVinci Resolve Studioを5年以上も使用しており、近年ではベトナムの人気映画「Summer in Closed Eyes」のカラーコレクションも同製品で完成させた。

「Rom」では、ブイ・コン・アン氏はホーチミン・シティーのザラついたルックとスラム街の雰囲気を保ちながら、ロムとその他の子供たち用に特殊なルックを作成した。また同氏は、暗くて暴力的なルックとストリートの雰囲気を切り替えながら、同時にロムが希望に満ちている様子を表現する必要があった。

「『Rom』では、シティーおよび群衆のルックと、登場人物のルックを使い分けました。1つ目は、ホーチミン・シティーの込み入ったスラム街に住む人々のルックです。フイ監督はザラザラしていながらもパワフルなルックを求めていました。特に肌のオレンジを強くした暖色系のルックです」

と、ブイ・コン・アン氏は言う。

登場人物のカラーコレクションでは、ブイ・コン・アン氏は2つのことに重点を置いた。それは、ロムと彼の的であるフックを全く異なるルックにすることだった。

「この物語で、ロムは小さなコミュニティーの一員です。したがって、多くのシーンにおいて、彼は他の人々と同じルックであり、彼が他の人々と違うのは行動だけです。彼が一人でいるシーンだけ、別のグレーディングを適用しました」と同氏。「ロムが隠れ家から少し離れた屋根の上に座っているシーンが多くありました。それらのシーンでは、日中は赤みがかったオレンジ、夜明けは彼の孤独を表現する青とピンク、曇り空の日には若さと希望を表す青とピンクなど、様々な方法で非常に特徴のある色使いを適用しました。それらのルックは、Resolveのカーブを使用して彩度を選択的にコントロールし、再びカーブを使用してカラーを選択的に強めることで作成しました」

この作品でブイ・コン・アン氏が直面したチャレンジは、2つのシーンで顕著に現れている。夜の火のシーンと追跡のシーンだ。

「火が燃えているシーンでは、登場人物たちがその日の終わりの騒ぎに加わることを決意します。したがって、火から夜の雰囲気に一気に変える必要がありました。これも楽しい作業でしたね。夜のシーンは青の光で雰囲気が出来上がっていたので、デイフォーナイト(擬似夜景)のショットもそのルックに合わせました。それらのシーンでは、Power Windowで各ショットのディテールを暗くしたり明るくしたりしました。また、登場人物たちの顔を明るくして目立つようにし、火にはクオリファイアーを使用してオレンジを追加し、燃える火を強調しました」

「最後の追跡シーンは、メインストリートといくつかの小さな路地、さらには線路や橋など、様々なロケーションで構成されています。それらは異なる月の異なる時間帯に撮影されており、カメラや照明条件も異なるものでした。このシーンでは、すべてのショットをマッチさせるのに3日かかりました。もちろん、Resolveのカラーページで使用できるイメージワイプ機能や、プライマリーおよびセカンダリーカラーコレクションツールがなければ、このタスクを完了させることはできませんでした」

この作品は、様々なカメラや照明条件、ロケーション、天候条件、さらには撮影中に実際に行われているイベントなどの影響を受けながら撮影された。ポストプロダクションに送られてくる様々なルックに対応できるよう、ブイ・コン・アン氏はDaVinci Resolveとその管理機能と共に、ACESカラーエンコーディングシステムを使用した。

「同じシーン用のショットをマッチさせるために、他のカラリストがするのと同じようにプライマリーツールとセカンダリーツールを使用しました。同じシーンのショットをすべてグループ化し、そこからルックを作りました。これにより、ルックを変更する必要があっても、”グループ ポストクリップ” 機能でパラメーターを調整するだけでした」と同氏は言う。「ResolveとACESを使用することで、プライマリーカラーコレクションの前にマウスを何回かクリックするだけで全ショットを管理できる環境が整いました。」

「Resolveは、このプロジェクトのグレーディングやフィニッシング、マスタリングを行う上でのキーツールでした。グレーディングが終わった後、第三者に引き渡す前に、多くのショットでより良い合成が使用できることにことに気がつきました。ResolveにはPower Window、アルファ出力、OpenFXのラッパーがあります。それらを使用するだけで、カラーページを離れることなくリアルな合成が作成できました。その後、VHXハウス向けにACES EXRでショットを出力しました。戻ってきたショットもEXRだったので、それらをタイムラインに置くだけで完了でした」と彼は結んだ。

 

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