DJIから産業用ドローンMatrice 300 RTKとマルチセンサーカメラZenmuse H20シリーズが登場


文・青山祐介

 

DJI JAPANは5月7日(木)、新しい産業用ドローンMatrice 300 RTK(M300 RTK)と、ハイブリッドマルチセンサーカメラZenmuse H20シリーズを5月中旬から出荷すると発表した。M300 RTKは最大55分という長い飛行時間と大きなペイロードを実現し、Zenmuse H20シリーズと組み合わせることで、点検分野などにおける撮影作業を効率よく行うことが可能。また、周辺の航空機の接近を知らせるADS-Bを利用したDJI AirSenseや6方向の障害物検知システムを搭載するなど、安全性の高いフライトができる産業用ドローンだ。

 

55分の長時間飛行、6方向の障害物検知システムを搭載するほかペイロードも2.7kgに向上

DJIのMatriceは産業用ドローンであり、現在販売されているMatrice 200シリーズV2(M200V2)は、高倍率ズームカメラや赤外線カメラをはじめとした様々なジンバル一体型カメラを、上下に複数搭載して飛行することができる、産業用ドローンプラットフォームとも言うべき存在だ。今回、発表となったM300 RTKはその流れを汲むモデルで、新たに6方向の障害物検知システムやAI機能、OcuSync Enterprise伝送システムといった機能を搭載し、インフラやエネルギー分野などでの点検、警察・消防といった公共分野をはじめ、幅広い産業用途に供するドローンとなっている。

 

M300 RTKは4本のローターアームの上部にバッテリーも含めた胴体を配置し、アーム先端のローターはアームの下側に付くという、M200V2の機体を上下反転させたようなデザイン。機体はM200の対角ローター間643mmに対して895mmと、1.4倍ほど大きく、ペイロードもM200の2kgに対してM300RTKは最大2.7kgと拡大している。また、収納時はアームを交互に折り重ねるように折りたたむため、収納時のサイズは約430mmの立方体に収まるものとなっている。

 

機体はIP45相当の防塵防水性能を備え、新たにTB60という5935mAh(274W)のバッテリーを2個搭載し、最大で約55分の長時間フライトを実現。なおこの新しいバッテリーには自己発熱機能があるほか、機体の電源を入れたまま1本ずつバッテリー交換ができるホットスワップにも対応している。また、M300 RTKの機体にはカメラジンバルを下方に1個または2個と、上面にも1個装着が可能。こうした高いペイロード性能とともに、耐風性能は最大15m/s、最高速度は83km/hという実力も備えている。

 

さらにM300 RTKは安全性と信頼性を大幅に向上させている。胴体部の6面にそれぞれセンサーを備え、水平方向で最大40mの範囲で障害物の検知が可能。また、機体とコントローラー間は新しいOcuSync Enterprise伝送システムで通信を行い、機体の制御や機体からの映像信号には、最高レベルの暗号強度を持つAES-256を採用している。

 

飛行中に2人が操縦を交代できる「デュアルオペレーターモード」

また、M300 RTKでは新たに導入されたデュアルオペレーターモードを搭載。M300 RTKは二人の操縦者に同等のアクセス権が与えられ、選択した送信機に操縦の優先権が与えられる。これは、一人の操縦者が操縦できないような状態になったり、送信機が電池切れになる、接続不良が起きるといったトラブルの際に、もう一人が操縦を担うことができるというものだ。さらに、M300 RTKから採用されたコントローラーでは、航空機のPFD(Primary Flight Display)を模したインターフェースが採用され、高度や速度といった自機のテレメトリー情報に加えて、近くの障害物情報などが表示されるという。

 

可視光2+赤外線+レーザー距離計の4センサーを搭載したZenmuse H20T

▲左がZenmuse X20、右がX20T。

今回の発表ではM300 RTKと同時に、新たにドローン用カメラDJI Zenmuse H20シリーズが発表された。DJI初となる“ハイブリッドマルチセンサーソリューション”として2つのバージョンが用意される。H20では1/1.7型CMOSセンサーを備え4K/30pの動画撮影に対応する光学23倍ズームカメラ(35mm判換算:31.7〜556.2 mm)。1080/30p撮影に対応し、1/2.3型CMOSを備える広角カメラ(35mm判換算:24 mm)。そして、3~1200mの範囲を測定可能なレーザー距離計というトリプルセンサーを搭載。もうひとつのH20Tではこの3つのセンサーに加えて、640×512ピクセル、30fpsの放射分析サーマルカメラを加えた、クワッドセンサーとなっている。こうしたZenmuse H20シリーズのマルチセンサーを生かし、撮影はH20Tのカメラすべてを同時に作動させて、動画または写真を撮影することが可能。また、付属のコントローラーのディスプレイを数タップするだけで、広角、ズーム、赤外線の各カメラを切り替えたり、簡単な操作でズーム視野を切り替えるといったことができる。

 

▲DJIの製品紹介動画

さらにM300 RTKとH20の組み合わせにより、ミッションフライトで撮影効率を向上させる「スマートピン&トラック」機能を利用することが可能。「ピンポイント(動画では2:25あたりで紹介)」では対象物にマーキングを行い、その位置をもう一人の操縦者と共有したり、DJI FlightHub経由で地上のチームと共有することができる。また、「スマートトラック」では、動く対象物を離れた位置から自動的に検出し、追跡しながら対象物の位置を捕捉することが可能だ。さらに、リアルタイムで自動ミッションのデモ飛行を記録する「ライブミッション記録」や、毎回同じ位置から正確にデータ収集ができる「AIスポット確認」といった機能を含む、「スマート点検」機能を搭載している。

 

機体本体価格は約95万円

M300 RTKとZenmuse H20シリーズの価格は、いずれもエンタープライズ向け製品のため、正規販売代理店への問い合わせ扱いとしている。DJI JAPANがアナウンスしたバッテリー、充電器をのぞく機体本体の参考価格は約95万円。Zenmuse H20シリーズの参考価格は約45万円からとなっている。また、DJI JAPANでは5月19日午前11時から、M300 RTKとZenmuse H20シリーズの主な機能を学べるオンラインセミナーを開催予定。受講は無料で、現在、事前登録の受け付けを行なっている。

 

●製品情報

https://www.dji.com/jp/matrice-300

https://www.dji.com/jp/zenmuse-h20-series

●オンラインセミナー

https://attendee.gotowebinar.com/register/2297092402778929422