▲開発した3層カラー撮像素子と動作原理

 

NHKは、⻘色のみ、緑色のみの光を検出する有機膜を、赤色の光を検出するCMOSイメージセンサーの上に垂直方向に重ねて配置した、3層構造のカラー撮像素子を開発したことを発表した。

同社は、高精細な小型単板カラーカメラの実現を目指し、光を電気信号に変換する有機膜を用いた撮像素子の研究開発を進めており、今回、有機膜を積層したカラー撮像素子を開発した。

一般的な小型単板カラーカメラ用の撮像素子は、⻘・緑・赤のフィルターを取り付けた画素をモザイク状に並べて配置。この方式では、複数の画素からの色情報を集めてカラー映像を生成するため、素子が本来持つ解像度や光の利用効率が低くなることが課題といわれている。

▲開発した3層カラー撮像素子の出力画像(左)と分光特性(右)

 

今回、⻘色のみ、緑色のみの光を検出する有機膜を、赤色の光を検出するCMOSイメージセンサーの上に垂直方向に重ねて配置した、3層構造のカラー撮像素子を開発。入射した光は、最初に⻘色の成分のみが1層目の有機膜で検出され、緑色と赤色の成分が透過。次に緑色の成分のみが2層目の有機膜で、最後に赤色の成分がCMOSイメージセンサーで検出される。有機膜には透明な薄膜トランジスターを組み合わせてあり、各層から出力された信号を足し合わせると、カラー映像が出力できる。

1つの画素で⻘・緑・赤すべての色情報が得られる構造により、光をより効率的に利用しながら、高精細な撮像素子が実現できる。今後も、撮像素子の画素微細化や多画素化などに取り組み、高精細な小型単板カラーカメラの早期実現に向けて研究開発を加速していくという。

 

◉詳細情報
https://www.nhk.or.jp/strl/news/2020/6.html