動画メディア「ニッポン手仕事図鑑(株式会社ニッポン手仕事図鑑)」主催の映像コンペティション『ニッポンものづくりフィルムアワード』の表彰式が9月25日にホテル雅叙園東京で行われ、最終ノミネート16作品の中から受賞作品が発表された。グランプリには大分県の小鹿田焼職人を描いた作品「小鹿田焼 BELONG」が選ばれた。

同アワードは、日本のものづくりや手仕事の魅力にフォーカスをした、ニッポン手仕事図鑑が主催するはじめての映像コンペティション。第一回目のテーマは、「明日の“後継者”をつくる」。10分以内の映像に、映像作品としてのクオリティだけでなく、フォーカスする「つくり手(=生産者、職人、作業者)」の選定、「明日の“後継者”をつくる」「明日のアクションにつながる」強いメッセージ性を持っているかどうかも、審査の基準となった。

全応募作品92作品の中からグランプリは株式会社STEQQIの「小鹿田焼 BELONG」、入賞は平島健一さんの「つたえたい」と高木優さんの「硯に向かひて」の2作品、特別賞は堀口正裕さんの「とじて竹ひらいて花」、地場産業プロジェクトチームippo「一期一句(いちごいっく)」、渡邊広樹さんの「京竹工芸 細川秀章士」の3作品に決定した。また、学生賞の該当はなしという結果となった。

▲グランプリを受賞したワチャレイントーン・カムガードさん(左)と、プロデューサーの福岡元啓さん(右)

審査員には、『暮しの手帖』の前編集長を務め、現在は『くらしのきほん』主宰の松浦弥太郎氏や、タレントの加藤浩次氏、映画監督の三島有紀子氏、プロデューサーの福岡元啓氏、映像クリエイターのためのプラットフォームである『Vook』代表の岡本俊太郎氏、『TURNS』プロデューサーの堀口正裕氏など、各業界の第一線で活躍されるプロフェッショナルが審査員を担当した。

▲表彰式の模様。映画監督の三島有紀子さん。

▲本コンテストの審査員を務めたタレントの加藤浩次さん。

グランプリ

小鹿田焼 BELONG|小鹿田焼 陶工
大分県/株式会社STEQQI

受賞コメント:小鹿田焼というのを違った切り口で撮ってみたいということでスタートし、2日間で撮影しました。撮影中は撮り続けていたんですが、撮った後は美しい商品の裏側にある作りて達の働き方であったり、日々の生活を撮らせていただくことで、自分自身見ることができました。300年の歴史を9軒の窯でつないでいくという姿に尊敬の念を持っています。小鹿田焼すべてのものが村の近くの自然から取り出されて制作されていて、彼らの使っている自然からやって来ている資源を私達自身が守ることが、私たちにできることだと思いました。

 

入賞

つたえたい|農業家
富山県/平島健一

受賞コメント:なぜ自分が自分の作品が選ばれたのかと考えたときに、川上さんという女性の想い、伝えたいことというのが、皆さまに届いたのだと思います。映像というのはすごい力を持っています。今後もこういった職人や生産者の方とか作り手のみなさんの想いををいろんな人に伝えるために、この映像という力を使い、映像でみなさんに伝えることをこれからも続けたいと思います。

 

硯に向かひて|作硯家
山口県/高木優

受賞コメント:記念すべき第一回で受賞という大変名誉な賞をいただき、ありがとうございます。感謝がいっぱいの作品となりました。今後も山口県には魅力的な職人や作家やアーティストがいるので、自分の完成を磨きながら素敵な映像作品を作ってみんなに素晴らしい世界の感動を与えたいと思います。

 

特別賞

とじて竹ひらいて花|轆轤職人・傘職人
東京都/森野継偉

受賞コメント:岐阜に何度も足を運んでいろんな職人の方と触れ合う中で、彼らの思いに触れて、それがすごく楽しかったんだと思います。今後とも人の想いだったりとか、残さなければいけないものを映像を通して残していけるような人になれたらと思います。

 

一期一句(いちごいっく)|活字
東京都/ippo

受賞コメント:普段から職人さんを撮ることが多くて、今回も活字職人さんをフォーカスしたものを作るのかなと思ったんですが、そこも大事ですが、そこの前後をむしろもうちょっと見せたいと。デジタル化社会でメールやラインなど簡単に文字が打ててしまう中、あえて活字の重さであったり大変さであったりを見せたくて、そこの前後を見せるためにはどうするかと。ほとんどノンフィクションですが、半分ドキュメンタリー、半分制作のものを作るということになりました。作り手の方と話す中で生まれてきた作品で、チーム一丸となって作った作品です。

 

京竹工芸 細川秀章|竹工芸(編組)一級技能士
神奈川県/渡邊広樹

受賞コメント:映像を初めて5年くらいで、24歳まではお笑い芸人を目指してやってて、全然芽が出なかったんですね。何かしなくちゃいけないと思って始めたのが映像で。3ヶ月だけ専門学校のワークショップに通って、勝手にやってきてしまったんですね、5年間。youtubeとか見ながら自分で映像ってどうやって作るんだろうっていうのを学んで。知り合いを通じて仕事をもらって、練習させてもらいながらやってきました。この賞をきっかけにもっと素敵なつながりが増えたら嬉しいなと思っております。

 

▲ニッポン手仕事図鑑編集長の大牧圭吾さんと受賞者のみなさん

 

◉ニッポンものづくりフィルムアワード公式サイト
https://nippon-teshigoto.jp/award2019