●注目の新技術
パナソニックはCMOSイメージセンサーの同一画素内において、近赤外線域の感度を電気的に変えることが可能な電子制御技術を開発。これは独自技術の積層型有機薄膜に加える電圧を変えることにより、イメージセンサーの感度波長域を全画素同時に電子制御できるというもの。つまり、可視光/近赤外線域での撮像をフレーム単位で切り替えることができるようになるという新しい技術で、ひじょうに注目される。

可視光域と近赤外線域、それぞれの有機薄膜に抵抗比を設けて直接積層。この独自設計に基づく構造により、可視光域のみに感度を有する状態(左図)と、可視光域から近赤外線域に感度を有する状態(右図)とを一組の電極で電気的に切り替えることができる。

 

●従来の可視域撮影からさまざまな進化をもたらす
従来は、1台のカメラで可視域撮像と近赤外線域撮像を行う場合、センサー前面に可動式の赤外線カットフィルターを設け、可視光域撮像時にはこの赤外線カットフィルターを挿入してセンサーへ入る赤外線を遮断して撮影を行うというシステム。しかし可動部品による撮像波長の変更はカメラの大型化を招き、耐久性や切り替え速度にも課題があった。

パナソニックの新しい技術により、これまで可視光域と近赤外線域の撮像を切り替える際に用いていた赤外線カットフィルター、およびフィルターの挿抜を行う可動部が不要となる。そのためカメラの小型化や堅牢性向上にも貢献することとなる。
加えて、有機CMOSセンサーの特長であるグローバルシャッター(全画素同時タイミングによるシャッター動作)の機能も有しているため、ローリングシャッター現象が起きない構造。産業用カメラ分野やセキュリティ分野など高速・高解像度な可視光/近赤外線域撮像が求められる分野への活用も期待される。

●近赤外線域撮像で人の目に見えないシーンも鮮明な画像に
画面の右半分が明るく、左半分が暗い場合。可視光域のみで撮像した画面(左)、可視光域と近赤外線域で撮像した画面(右)
※試作素子にカラーフィルターが搭載されていないため、モノクロ画像での比較。

醤油で見えない部分も、近赤外線域撮像では水槽の醤油が透けて奥にある瓶のラベルが認識できる。

さらに、この技術はフレーム単位で感度波長域を切り換えた撮像が可能。イメージセンサーの近赤外線域感度を高速に電子制御することで、フレームごとに感度波長域を切り換えられる。つまり可視光域撮像による目で見たままの画像と、近赤外線域撮像による人の目では捉えることのできない埋もれた画像情報とを、1フレームごと交互に取得することが可能。

ひとつのイメージセンサーで高速に動く被写体の色情報と近赤外線を用いた不可視情報を取得できることから、産業・監視用途のカメラへの応用が期待される。